1話
初めての連載開始ですっっっっっ!!!!
――なんでこうなったんだ。
白く朽ちていく世界で、少年は走っていた。
ビルは崩れ、空は割れ、全て、塵になっていく。
「誰か、だれか。だれでもいいから!」
息が切れる。自分の心臓の音で頭がおかしくなりそうだ。
何も聞こえず、誰も答えない。
見慣れた風景が、日常が、真っ白に、漂白されていく。空白になっていく。
「姉さんは、僕のたった一人の家族なんだよ」
涙がこぼれ、額をつたい、顎から落ちて、消えていく。
「姉さんを返してくれよ、お願いだから」
身体から力が抜ける。
「僕が悪いのか」
両ひざをつき、首を垂らして、地面にうずくまる。
少年の前には、もう、道は続いていなかった。
「せめて、姉さんだけでも、助けて、ください」
少年の肩に、背中に、頭に、みるみるうちに、灰が積もる。
消える世界の亡骸が、積もっていく。
「僕が悪いのか」
何度も繰り返す恐怖と自己嫌悪の中、くすんだ記憶が脳裏を蝕み、少年を吐かせる。
「僕が――――異世界転生を拒否したから」
空からビルが降ってくる。
倒れるマンションの影が少年を覆う。
少年は、途絶えた道路に載ったまま、小刻みに震えていた。
全ての気力を失っていた。
大きな風切り音が少年に迫る。
ビルが倒れる。破片が散り、砂煙が舞う。
それすらも、世界が消えて、灰になっていく。
塵になって、風になって、切れていく。
「さぁ、始めましょう――」
煙が晴れると、横たわった高層マンションの真ん中に、赤い傘が咲いていた。
傘の下には、上を見上げる少年と、それを見下ろす一人の少女がいた。
「――――私たちの異世界転生を」
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次話は2022年5月4日の22時代のどこかの素数分に公開します!