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21 個別訪問④(第三側妃とセイン王子とクイデ王女)その1

「ようこそおいでくださいました」


 第三側妃セレジュは淡々と俺達に対しそう言って出迎えた。

 だがそれまでの三カ所に比べ、実に――何というか――


「どうも」


 バルバラは素っ気なく挨拶をする。


「あなた方もご挨拶を。セイン、貴方の婚約者でもあるのよ」

「……どうも」


 同じ言葉でセイン王子は返してくる。


「宜しく頼む」

「こちらこそ宜しく」   


 だがそこにあるのは、……あれだ。


「何なのだこの冷気は」


 そうゼムリャがぼそっとつぶやいたのを俺は聞き逃さなかった。

 バルバラはとりあえず周囲を見渡した。


「おや、八路盤将棋が。どなたかなされるのか」

「一応、ここでは皆……」


 セレジュ妃は語尾を濁した。


「誰かと一局打ってみたいと思うのだが」

「セイン、お相手なさい」

「母上の方がお強いでしょう」

「ではクイデ。貴女確か、セルーメ先生に教わっていたでしょう?」

「セルーメ先生、と言うのは、カイシャル・セルーメ氏のことだろうか?」

「お調べに?」


 貼り付けた笑みで、セレジュ妃はそう聞いてくる。


「多少は縁談の際に聞いている。確か、セイン王子の教師はバーデン・デターム氏で、クイデ王女の教師がセルーメ氏だと。セルーメ氏はうちの方にも一年程滞在したことがありまして、面白い方だと記憶しております。うちのこの護衛騎士も、ハモニカを教わったことがありますし」

「成る程。それは非常にご縁のあることですのね。ではクイデ、お相手なさい」


 クイデ王女は短くはい、と答えると、召使いの出した盤で、八路盤将棋を打ち出した。

 お茶の用意がされていたので、周囲はそれを口にしながら二人の対戦を見ることとなった。

 お茶は非常に美味い。

 他で出されたものよりずっと。菓子も同様だ。

 だがそれで話を広げる気に、どうしてもなれない。

 話をしようという気があるのか無いのか。

 盤面に集中する二人をセレジュ妃はじっと見ているし、セイン王子は面倒くさそうにあちらこちらにと視線を移している。


「負けました」


 バルバラがそう言って投了した。


「貴女は強いな」

「セルーメ先生の教え方が良かったんです。将棋は相手の出方を読んで……」

「クイデ」


 そこでセレジュ妃は言葉を止めた。


「続きを聞きたい、と思うのだが」

「お母様がお止めになりたいのだから、止しますわ」

「そうか。実はこの男、先日、所用で帝都に出かけた折り、強い方と対戦して、ポロ負けしたのだが、此奴とも一局願えないだろうか」

「帝都で?」

「帝都にまた何の用で!?」


 唐突にセレジュ妃とセイン王子の声が上がった。


「所用です。自分は護衛騎士ですので、領主様の御用で参りました。その時に、相手先の旦那様と一局打ったのですが、とても強い相手でございましたので、大敗致しました」


 間違いではない。

 ただここで相手が皇帝陛下ということは無いだろう。


「では俺と一局するか」


 セイン王子は俺に対戦を挑んできた。

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