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追い詰められたバルフォード三世part2

「な・・・なんだぁ〜!?てめえらは〜!?」


舎弟と思われる男が驚いた表情で4人を見ている。


「その格好・・・てめえ!ここがどこの縄張りか分かってんだろうなあ!?」


アニキと呼ばれていた男が4人に向かってこう言った。


「なんて事だ・・・」


初老のおじさんが絶望した顔で呟いた。


「ここに許可なく侵入したやつらは全員皆殺しってルールがあるんだよなあ!!」


「お待ち下さい!私達は命からがらスレイヤード国から亡命してきたのです!今ある物は全てお渡し致します!ですから・・・何程お慈悲を!」


「ああん!?てめえら見た感じ何も持ってなさそうだし、丁度最近手に入れたこの武器を人に使ってみたかったんだよなあ〜」


「お許しください!私はどうなろうと構いません!せめて子供達だけは・・・」


「知らねえよバカがよお〜!まぁ、ガキどもは欲しがっている連中もいるし、そいつらに引き渡せばしばらく生きていけるしなあ!」


「そ、そんな・・・」


「おじいちゃん・・・怖いよ・・・」


「おじいちゃん・・・!」


子供達は初老のおじさんの後ろで怯えている!


私はすでに正気に戻ったが、今ある状況を理解していなかった。


ただ、あの男達は危険な人間だというのは、なんとなく分かっていた。


男達は、2人とも190cmを超えており、筋骨隆々で私と同じような露出が高い世紀末ファッションでハゲ頭が特徴の見た目は相当やばそうな奴らだ。


だが、そんな事よりも、あるひとつの事に衝撃を受けていた。


奴らが言っていた武器なのだが、それが・・・それが・・・









ギターなのだ!











私には初老のおじさんと子供達にギターを見せつけながら脅している世紀末ファッションの大男を見て、混乱していた。


そして、つい言ってしまった。


「あ、アンタその手に持ってるのなんだ!?それのどこが武器なんだ!?」


「なんだあ!?てめえ!これが武器以外の何に見えるんだ!?頭おかしいんじゃねえか!?」


「・・・はい?」


頭がおかしいのはお前達じゃないのか?

しかも、手に持っているのは、フライングVの形をした恐らく銀色の非常に珍しく変わった光沢のあるギターである。


「いやいや!アンタが持っているのはギターだろ!?」


「ギ・・・なんだって?こいつ何言ってやがる?武器に名前なんてねえよ!こいつはただの鈍器だ!」


「なんだって!?」


私は男が何を言っているのか分からなかった。どう見てもギターじゃないか!?誰が見ても分かるようなものを・・・どうなっているんだ!?


「おい!!そこの頭がイカれてる奴を見張っとけ!おれはそこのジジイとガキを処分するぜえ!」


「へい!任せてくだせえ!おい!てめえ!少しでも変なマネしたら首が吹き飛ぶぜえ!」


と、舎弟がバイクから棒のような物を取り出した。


・・・ただの棒のようだ。


「アニキの得物には遠く及ばねえが、てめえぐらいなら一撃よお!」


くっ・・・今の私にはどうすることもできない。ただでさえ状況について来れないのだ。しかし、このままだと私も含め全員やられてしまう・・・どうすれば!


「おいぃ!ガキどもぉ!ツラぁ見せやがれ!こそこそ後ろに隠れてんじゃねえぞ〜!」


「ひっ・・・!!!」


「おじいちゃん・・・!!!」


「お願いです!この子達だけは・・・」


子供達を庇い命乞いをするが・・・


「ジジイ!引っ込んでろ!」


初老のおじさんを手で突き飛ばした!


「ぐわあああ!」


「「おじいちゃん!」」


「さてえ・・・どんな顔をしてるか見せてもらうぜえ〜」


男は子供達のフードを乱暴に掴み引き剥がした!


そこでも私は驚愕した!


「「うぅ・・・」」


「て、てめえらは・・・!」











頭から猫のような耳が生えていた!












以前聞いたことがある。【ネコミミ】という存在が私の国で大流行したと。そいつは言っていた。


「あぁ〜ネコミミねえちゃんとデートしてみてえ!もっと早く生まれてくればなぁ〜」


「確かに。なんでもメイド服を着たカワイイ女の子がネコミミつけてこの界隈を埋め尽くしていたらしいぜ!」


「な、なんだってえ!?天国かよ!あぁ〜タイムマシンがあったら今すぐ過去に行きてえよ!」


「まあな。今じゃ何につけても規制だの法律だの逮捕するだの何もできやしねえ」


「ほんっと・・・不幸な時代だなあ・・・」


私が世を忍ぶ仮の姿で、とある小さなカフェでそう聞いたことがある。


少し気になったので調べてみたら成る程・・・好きになる奴はいるかもしれないな・・・と思っただけで、その後は全く興味を持たなかった。


それがネコミミとの小さな出会いである。








しかし!目の前に見えている子供達のネコミミはまるで生えているように見える!


怯えているように耳はうなだれているのだ。


「こんなところで獣人を見つけてしまうとはなあ〜!この武器を見つけてから俺は幸運続きだぜえ!」


「アニキ!最高ですぜ!こいつら差し出せば俺達良い暮らし出来ますぜ!」


「お待ちください!それだけはご勘弁ください!この子達は何の罪もないのです!」


「うるせえジジイだ!」


アニキは初老のおじさんの顔面を殴りつける。


「ごはぁ!」


「「おじいちゃん!!!」」


「動くんじゃねえ!ガキども!大人しくしてりゃあ痛い目みずに売り捌いてやるよお!グハハ!」


「アニキ!縄があるんでこれを使ってくだせえ!」


舎弟がアニキに縄を投げ渡す。


「大人しくするんだぜえ!ガキども!」


「いや・・・いやあ!」


「離せよ・・・!」


アニキは子供達を両手に掴み縄をかけようとする!


「くっ・・・まて!」


私はさすがに黙っておれず、駆け寄ろうとするが・・・


「動くんじゃねえ!」


舎弟に棒で足を殴られてしまった!


「ぐわあ!」


な、なんて力だ!足に激痛が走る!くそっ私は無力なのか・・・


「次は頭をカチ割るぜえ!」


このままでは、子供達は連れて行かれてしまう・・・


その時!初老のおじさんがアニキの足を掴んだ!


「お・・・お願いです・・・やめてください」


弱々しくそう懇願したが


「目障りなジジイだ。丁度いい!てめえをこの武器であの世に送ってやるよお!」


子供達を投げ捨てギターを両手に掴んだアニキは初老のおじさんの前に立ち・・・


「アニキがあの武器を持ってから何もかも破壊できるパワーを手に入れたんだ!てめえみたいなジジイは首がぶっ飛ぶだろうよ!」


「その通り!ジジイ!てめえは公開処刑だあ〜!死にやがれえ〜!」


アニキは初老のおじさんの顔面に思いっきりギターを振り抜いたのだ!


ガツン!!!


「ぐべらぁ!」


2〜3mは吹き飛んだだろうか、初老のおじさんは痙攣して頭から大量の血を出し恐らく首が折れている。


「なんだぁ〜首は吹き飛ばなかったなあ〜」


「アニキ!すごい威力ですぜ!このまま天下も取れますぜ!」


その時!私はある光景がフラッシュバックした!


そう、初めてメタルを知った運命のあの事件。


「これは人を殴るもんじゃねえ!こう使うんじゃい!」


メタルゴッドはそう叫んだ。その時から私はこう考えた。


楽器には魂があるのだと。


馬鹿げているかもしれないが、私は楽器と一身一体となることで、真のメタル、ゴッドメタルへと登り詰めたと信じている。


あえて楽器を破壊するパフォーマンスもあるが、私は決してそのような事をせず、激しいパフォーマンスの中でも楽器は特に丁重に扱うようにしていたのだ。


尊敬するメタルゴッド。ジーザスプリーストの顔に泥を塗る事は決して許されない!


それを・・・それを・・・


奴らは楽器を人を殺す道具として扱ったのだ!


許せない・・・許せない・・・


「・・・ろう・・・」


「あぁん?なんか言ったかてめえ!?」


舎弟がガンをつけながらこちらを見てきた。


そして私は・・・


「この◯ァッキンクソ野郎どもがああああああ!」


アニキに向かって走り出したのだ!

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