俺様のメタルを聴きやがれ〜!
時は20XX年、世界はメタル根絶の炎に包まれた・・・!
〜とある小さなライブハウス〜
「ヒャッハー!!!てめ〜ら俺様の名を言ってみろ〜!!!」
「ゴッドメタル!」
「ゴッドメタル!」
「ゴッドメタル!」
「そうだ!俺様がゴッドメタルことバルフォード三世様だぁ〜!」
「しびれるぅ〜!」
「さすがメタルゴッドの血を受け継ぎし者だぜぇ!」
「一生ついていきますぜ!」
「てめえら食らいついてこいやぁ!いくぜ!ニュ〜ソング!『ゴッドメタルはこの世を支配する』だぁ〜!!!」
「うひょー!新曲だぜえ!」
「ミュージックカモーンヌ!」
響くドラム
低く重いツインギター
唸るようなベース
正に王道なヘヴィメタルである!
(そなたの願い聞き届いたり)
「俺様がこの世を・・・「た、たいへんだーーー!!」
「と・・・取締りの奴らが来やがったぜーーー!」
「なにぃ!」
どよめく会場・・・その時!
ガンガンガンガンガンガン!
「開けんかいこらぁ!」
「メタル取締法で、てめえら全員逮捕じゃい!」
扉を今にもこじ開けそうな勢いで怒号が響く
「ちきしょう!もうここまで嗅ぎつけやがったのか!・・・おいてめえら!早く逃げるぞ!ステージ上から裏口がある!早く登れ!」
「・・・いや、俺達全員逃げるのは不可能だ!ゴッドメタル!あなただけで逃げるんだ!」
「何言ってやがるバカやろう!てめえらを失うわけには・・・!」
「俺達は覚悟してここまで来た!もう悔いはねえ!あなたにはメタラーを・・・メタルを導く使命がある!」
「ここはかっこつけさせて下さいよ!」
「オラも残る!あんたにゃ人生を教えてもらったんだべ!」
「てめえら・・・!勝手なこと・・・!」
「さぁ!アニキ!こっちですぜ!」
「おい!引っ張るんじゃねえ!離せやあ!」
「アニキをここで失うわけにはいかんのです!」
と、太った兄ちゃんが思いっきり引っ張り
「許してください!アニキ!どりゃああああ!」
「おぶらっ!」
裏口に思いっきり投げ捨てられた!
「後はまかせてください!アニキっ!」
バタンッと扉は強く閉められた・・・
「くそっ・・・くそくそくそくそぉぉぉあああ!」
扉を強く叩いてもびくともしない。裏からバリケードを張られたのだろう
「まただ!また仲間を失い!また助けられた!なんて無力なんだ・・・私は!」
己の無力にうちひしがられ、セットした化粧もグシャグシャに涙を流してへたれている!
その時扉の向こうから・・・
「観念せいやあ!全員逮捕じゃい!」
「ただで捕まえられると思うなよお!おまえらメタル根性見せたれや!」
「ウラーーーー!」
「全員でかかれー!」
怒号とともに、揉み合い殴り合う音が聞こえる
「ちくしょう・・・」
ここでへこたれている場合じゃない!彼らの為にも逃げねば!
外は冬空、しんしんと雪が降り積もっている。
今年も、寒い日が続くらしい。
雪の中を世紀末ファッションに身を飾り、顔がグシャグシャなモヒカンおじさんが駆け抜けていく。
「・・・不幸な時代だ・・・」