メンセツ
以前書いたロクデナシの前日譚のようなものです。
さて何を書いたらいいのだろうか。
久しぶりに創作活動をして久しぶりに評価を頂き、調子に乗ってシャーペンを握ったものの特に思いつく内容もなく安物のクッキーを齧っていたわけだが、ふと少し前およそ半年前いや年末年始のアルバイトの面接の話でも書こうかと思った。
当時の私は売れない創作活動をするクリエイターだった。普通の生き方はせず、ひたすら作品を作り続けては大物ぶって街を練り歩く日々、それはもう大満足の毎日だった。
というのは軽いジョーク、いやブラックジョークに近いと思われる。なぜならば作った商品が売れるという確証が無ければ販売することすら許せない、いや、恐れていたと言うほうが良いだろう。つまり見栄を貼るだけでいつか大物になってやるとさえずるチキンなエセクリエイターだった。早い話がほとんど開店休業状態の自営業、といえば聞こえはいいが、実際は数年もの間無収入の時を過ごし続ける無職でニートだったわけだ。
そんなこんなで貯金が尽きてしまい、年末年始に慌ててアルバイトの面接に行く日々が続き、フリーなクリエイターからフリーなアルバイターになってしまったわけだが、ろくに働かない年月が長かったために面接がうまくいかない。昔は「はい」「そうです」だけで採用されていた気がするのだが、背広に身を通しどんなに巧みなアピールをしようとも採用されず困り果てていた。
何故だ
私は考える。そして落ち続ける面接を繰り返し、そして気づく。
三十路を超えたら裏方の仕事しかできないのか
そして現在、装い新たに生真面目なイエスマンのフリをしつつ荷物運びや警備の仕事をしていた。本当は適当で無責任で楽観的なフリをし続けていた臆病者の見栄っぱりなのだが、まぁ良しとしておく。
しばらくして、ある知人からこんなことを言われた。
お前ようやくヤクザから足洗ったんだな
どうやら職歴不明の売れないクリエイターというのは世間ではヤクザに見えるらしい。
そんなわけないでしょーが
私が呆れて答えると、知人をスマホの画面を押し付けてきた。
そこには年甲斐も無く首にネックレス、ゴツい腕時計に数珠のブレスレットなどアクセサリーをガチャガチャ装備していた当時の粋がる私の姿が写っていた。
ヤクザだろ?
ヤクザじゃない
そう言い合いをしてみたものの、客観的事実と職歴から見ればヤクザに見える気がし…ないハズだと自分に言い聞かせた。
なかなか難しいですね、自分の考えをまとめて伝えるのは。