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Neo Tokyo Site 01:第一部「Road to Perdition/非法正義」  作者: HasumiChouji
第一章:宿怨 ― Hereditary ―
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(8)

 最上階の監視カメラから送られてくる映像の中では、部屋に居る大人がバタバタと倒れている。

「な……何だよ、このチート……」

 勇気は呆れているが、あたしは、それどころじゃなかった。マズいよ……これ……。

 その時、勇気が携帯電話(Nフォン)を取り出した。

「はい……えっと……違います。違います。その子も違います……」

 画面を見ながら、そう言い続ける勇気。

 あたしは仁愛ちゃんの携帯電話(Nフォン)に電話をかける。

 監視カメラの画面に映っているのは、通知音に気付いたらしい荒木田さんの姿。……そして……通知音の発信源を探してるらしい荒木田さん。

「あ……えっと……。レナ……仁愛の携帯って見た事有る?」

「あのさぁ……自分の妹でしょ。まぁ、いいや、ちょっと見せて……」

 勇気の携帯電話(Nフォン)の画面に映ってるのは……あたしが子供の頃のアニメに出て来た恐竜「ガジくん」のデコカバーの携帯電話(Nフォン)。そう、正義くんの携帯電話(Nフォン)のデコカバーの「タル坊」と同じアニメのキャラだ……。

「仁愛ちゃんの……。あと……すぐ下に来て。PCのデータにエラいものが有った」

 数分後、勇気は頭を抱え、荒木田さんは子供をゾロゾロ連れて現われた。

「どうするの、その子供たち……?」

「気付いとくべきだった……売り飛ばす為の『誰でもいい』誘拐なら……他にも子供が居るって……」

「ともかく、正義くんと仁愛ちゃんは、もう他所(よそ)に移されてる、これを見て」

 PCの画面には……気を失なって裸にされてる子供の写真と「入荷時間」だの「出荷先」だのと云う、この状況では禍々しさしか感じない言葉が書かれたファイルが表示されていた……。と言うか、このファイルを見付けて表示したのはあたしだけど。

 まず、あたしは、「入荷時間」が勇気くんと仁愛ちゃんが家を出てから今までの間のデータを探した。その中から、「出荷」が終ってるのを更に絞り込む。そして……。

「あの……この意味って判ります?『用途』の『CS』と『G&PL』……。あと『出荷先』の『LJG』」

「ちょっと待って……知ってそうなヤツに聞いて……」

 そう言って荒木田さんは電話をかけた……。そして……。

「すまん……変な事聞くけど……犯罪組織絡みでこう言う略語を聞いた事無いか?『CS』『G&PL』『LJG』」

『あんた……今……どこで何をやってるんだ?』

 どうやら、荒木田さんが音量を最大にしてたみたいで、相手の声はあたし達にも聞こえた。

「おい、齢上に『あんた』って何だよ⁉」

『まずは、質問に答えろ。声の調子からして一刻を争う事態だろ。今、どこで何をやってる?』

 荒木田さんの携帯電話(Nフォン)から聞こえてきたのは……あたしと同じ位の齢の……けど妙に落ち着いた女の子の声。

「Neo Tokyoの『千代田区』の『九段』で……ちょっと厄介事に巻き込まれて……」

『厄介事って?』

「児童誘拐……」

『最悪だ……。「CS」は、多分、Child Soldier……つまり、少年兵の略。「LJG」はテロ組織の『正統日本政府』の略称。で……「G&PL」は……あんたが居る「九段」でやられてる下衆な見世物だ』

「何だ……えっと……まさか、児童ポルノとかそう言う……」

『同じ位マズいモノだけど、マズさのベクトルが違う……。未成年の女の子を戦闘用パワーローダーに乗せて戦わせる見世物だ」

「おい、待て、『G&PL』って一体全体、何の略だ⁉」

『Girls & Power Loders。「見世物」に使われる女の子は、貞操の危機じゃなくて命の危険があるような代物だ。あと、「操縦者」はロボトミー手術をされる可能性大』

「え……」

「冗談でしょ……」

 あぁ、そうか……こんな時は……泣いたり叫んだり出来なくなるんだ……頭が真っ白になって……。膝がガクガクしてる……椅子に座ってて良かった……。多分、立ってたら……倒れるか、座り込んでた……。

 正義くんは……少年兵としてテロ組織に売られ……仁愛ちゃんは……「出荷先」こそ「『九段』内」だが「貞操の危機じゃなくて命の危険があるような」見世物に使われる……。しかも……えっと……ロボトミー手術って確か……。

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