(6)
「監視されてるのか?」
「みたい……」
「ここです。この建物の地下」
「靖国神社」の従業員達は、あたし達を見ると、どこかに連絡している。そう、「金持ちの外国人向けの観光地」であるここでは、「金持ちに見えない上に『従業員』でも『出入り業者』でもない『日本人』」は……あからさまな不審者だ。
「和服着てるのは……1人残らず『敵』か?」
「まぁ……他に言い方が無いけど……」
「ここまで来る途中の監視カメラの場所は?」
「一〇〇%とは言えないけど……大体は押さえてる」
「私が人間の敵を何とかする。そっちは……監視カメラを何とかしてくれ」
「了解」
「ちょっと待て、何を……」
荒木田さんは……すぅ……と深呼吸。
『ねぇ、あれやって、あれ』
その時、荒木田さんの「神様」が何か言い出した。荒木田さんは、一瞬、嫌な顔をする。
「私が変な事をしても、気にせず、そっちの仕事をしてくれ」
「えっ?」
「最も明るき昼も……最も暗き夜も……如何なる悪も我が眼差しより逃れる事能わず。悪しき力に魅入られし者達よ。畏れよ、我が力を……天照大神の光を……」
荒木田さんが、そう唱えると……周囲の道端に居る「靖国神社」の従業員が次々と倒れる。
「えっ?」
「早く、監視カメラをブッ壊してくれ‼ 多分、人間の体温を死なない程度に上げるのはこっちが得意だけど、単純な熱量は、そっちの方が上だ‼」
「わ……判った」
続いて、あたしの能力で街頭監視カメラから次々と煙が上がる。
「突入するぞ。中に人間が居れば、私の能力で感知出来る」
「ねぇ、今の何? 昔のファンタジー漫画に出て来るような、そんな間抜けな呪文唱えなくて、あたし達、能力を使えるよね?」
「アメコミの『グリーンランタン』のパロだ……。こっちの神様は、ここ二〜三〇年ぐらいアメコミにハマってるみたいで、時々、アレをやらないと機嫌が悪くなる」
「はぁッ?」
「一体全体、何が、どうなってるんだよ⁉」
「だから、『日本の神様』が、何でアメコミ・オタクなの?」
「知らん。どうも、人間と『神様』じゃ『国』の定義そのものが違うみたいだ。どっちみっち、『神様』からすれば、人間の文化なんて、あっと云う間に変るモノだし、住んでる人間も結構あっさり入れ替わる。『日本の神様』でも『日本の古い文化』に愛着が有る訳じゃないし、外国の文化にハマる事も有るみたいだ」
「訳がわかんないよッ‼」
まぁ、とは言え、私の「神様」も、「日本の神様」なのにカトリックの信者で国籍は日本じゃない日系ブラジル人のあたしに取り憑いてる訳だけど。
「取り憑かれてる私も、さっぱり訳が判らん。未だに、二〇一一年にライアン・レイノルズ主演の『グリーンランタン』の映画が制作中止になった事について愚痴ってる」
「だから、何の話だよ⁉」
事情を判ってない勇気が叫ぶ。
「ともかく、子供らしいのが二〇人以上と大人の男が三〜四名、上の階に……大人の男が一〇名ほど地下に居る」
あたし達は、窓や壁に和風……と言ってもあくまで「日本をよく知らない外国人がイメージする和風」の飾り付けがされた、屋上には神社もしくは神社風の外見のペントハウスが有る、5階建てのビルに入る。外見こそアレだけど、中身は普通の雑居ビルっぽい作りだ。
「その……大人って、銃は持ってるの?」
「すまん、私に感知出来るのは『生きた人間の存在』だけだ」
「どうするのが良いと思う?」
「敵が銃なんかを持ってると、私達の能力が有ってもてこずる可能性が高い。下を急襲して……戦闘力を奪う」




