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そして、勇気のお父さんの形見である「水城」が置いてある部屋から、卓袱台その他の家具が運び出され、続いて、ブルーシートが床に広げられる。
「おらよっ……と」
「うおっ……」
勇気と今村君は2人で水城を床に寝かせる。続いて、全員で、装甲を取り外す。もちろん、後で付ける場所を間違えないように、取り外す毎に、装甲と本体には油性マジックでどこの装甲かを識別する為の番号を書き入れる。
数十分後、前面の装甲は全て取られ、再び、勇気と今村君が水城を引っくり返す。
更に数十分後、背面の装甲も全て取り外された。
次に、装甲と機関部の間の特殊繊維製の「皮膚」を剥す。関節には何本もの太いケーブルのような機器が有った。
「こいつが『人工筋肉』か……」
通電により伸び縮みをする部品。瀾って云う女の子から送られてきた手順書に書かれてる通り、暗い青とピンクに近い明い赤の2色。
人間の筋肉は、力を入れると必ず縮んでしまうモノらしい。つまり、例えば肘を曲げようとすると、肘の内側の筋肉が縮み、その結果、肘関節が曲る。
それに対して、この「人工筋肉」は、「通電すると延びる」性質を持つ青いのと、「通電すると縮む」性質を持つ赤いのの2種類が有る。そして、肘や膝なら、曲げた時に外側になる方に有る「通電すると延びる」青と、内側に有る「通電すると縮む」赤いのに電流が流れ、その結果、関節が曲る。逆に関節を伸ばす場合は、曲げた時に外側になる方に有る赤と、内側に有る青に電流が流れ関節を伸ばす……らしい。
「じゃあ、ブッ壊れてる人工筋肉を取り外すぞ」
「足首L青1」
「はいOK」
あたしと勇気が取り外し作業をして、望月君と今村君が、手順書通りにやったかを確認。
「ブッ壊れてたのは、全体の1〜2割ってとこか……」
1時間ほど後、部屋の隅には取り外した人工筋肉の山が出来ていた。
「続いて、まず、膝R赤2を膝L赤1に移植」
「はい、OK」
次は、壊れてる人工筋肉が多い関節に、他の関節の人工筋肉を移植する。
「マズい……そろそろ、この辺りで飯食える店、ほとんど閉まる」
勇気がボソっとつぶやく。
人工筋肉移植作業が終る頃には、そんな時間になっていた。
「じゃあ、続きは、飯食って、一眠りしてからにする?」
「じゃあ、寝る前にシャワー貸してもらえます?」
「ついでに洗濯機も……私と暁の着替えが、そろそろ……」




