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Neo Tokyo Site 01:第一部「Road to Perdition/非法正義」  作者: HasumiChouji
第二章:未来昔日 ― Days of Future Past ―
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(4)

 あたし達は地下鉄で「銀座」に向っていた。この「島」は「人工の浮島」である以上、島の「地下」は空洞になっていて、その一部が建物の地下室や、町の地下街、電力・水道・通信その他のインフラ、そして、地下鉄に使われている。

「なぁ……来た時から気になってたんだが……この下にも……人が住んでるのか?」

「えっ?」

「いや……噂は有るけど……多分、都市伝説ってヤツ……」

 荒木田さんは、首を傾げる。そう言えば、この人は「人間の生命力」みたいなモノを感知出来るんだったっけか……。って、ちょっと待ってよッ‼ マジで、「島」の最下層に「『関東難民』の中の更に『知られざる難民』」が住んでるって話、本当なのッ⁉

 そして、地下鉄を降りて地上へ。正義くんと仁愛ちゃんの事が心配な上に、怪談めいた事を聞いて、朝の青空が全然さわやかに見えない。

 コンビニで(ヒゥ)君に送られてきた「手順書」を印刷した後、待ち合わせの場所であるおしゃれ系のカフェへ。本社は沖縄で、「本土」では全国展開してるみたいだけど、この「島」では、「有楽町」と「神保町」にしか支店が無い。もちろん、あたしは、めったに行かない。

 お盆の筈なのに、店内には、朝っぱらからモバイルPCで作業してるビジネスマン風の人がチラホラ。

「あ〜、こっちです」

「ど〜も」

 イマイチダサくてイケてない感じの、あたしや勇気と同じ位の齢の男の子2人組。

 1人は、短めの髪で、背は高めで、結構マッチョ。でも、いわゆる「体育会系」っぽくも「ヤンキー系」っぽくも無い顔。

 もう1人は、背は中ぐらい、ガリガリ気味、気が弱そうな顔。

 ガタイが良い方は、名物の焼き立てパン複数個に、多分、一番大きいサイズのカフェラテかカフェオレ、そして更にケーキ。ガリガリの方は朝食セット。

 言っちゃ悪いが、この2人より、勇気の方が女の子にモてそうな気がする。ただし、外見だけなら……。勇気と付き合いたい、って女の子の友達が言い出したら、全力で止めるけど。

「今村です。今村亮介」

 まずガタイがいい方が自己紹介。

「望月です。望月敏行」

 続いて小柄な方。

「確か、何かのついでみたいだけど、何しに来たんだ?」

「『有楽町』と『神保町』の間あたりで開催される中古の電子部品の即売会に……」

「じゃあ、そこで、カメラ付きのドローンを何台かと、通信機を人数分買って来てもらえるか?」

「通信機は暗号化されてるヤツですよね?」

「もちろん」

「距離は?」

「この『島』内だけど……出来れば、端から端まで」

「距離は……最大で5㎞ぐらいですか? 厳しいなぁ……」

「ちょっと、高木と話して手を考えます」

 どうやら、その「高木」と云うのが昨日の女の子の事らしい……。待て……「高木」?

「高木製作所の『高木』? あの……強化服(パードスーツ)水城(みずき)を作ってる……?」

 勇気も、同じ事を思ったようだ。

「黙秘していいですか?」

 「本土」から来た2人の男の子は、一瞬だけ顔を見合せると同時にそう言った。

 どうやら、(ヒゥ)君が口を滑らせた事は本当だったようだ。

「あの……修理に使うネジは……普通のホームセンターで売ってるヤツでいいんですか?」

 手順書を見た勇気が質問。

 送られてきた手順書には、水城(みずき)の部品や装甲を止める為のネジの規格も書いてあった。

「1回だけ大暴れするなら、ギリギリだけど、普通の素材で作られたネジでも持つって。あと、どうしても、最大出力の六〜七〇%のパワーしか出せないんで、ネジなんかにかかる負荷も小さくなるって……メールに書いてあった」

「じゃあ、俺達がドローンとか通信機を買って来ます」

 「本土」から来た2人のガリガリの方がそう言った。

「なら、私が小物類を買いに行こう。え〜っと、安全靴持ってる人」

 あたしと勇気が手を上げる。

「作業用の防御ゴーグル持ってる人」

 続いて、またしても、あたしと勇気が手を上げる。

「色付き? それとも透明?」

「透明です」

「同じく」

「顔バレ防止の為に色付きのヤツが良いな……。あと、原付や自転車用のヤツで良いんで、ヘルメット持ってる人?」

 なし。

「じゃあ、俺達が装甲の欠けた部分を作ります。高専(学校)の実習室に3Dプリンタが有るんで」

 続けて勇気がそう言った。

「で、肝心の軍資金は?」

 「本土」から来た2人のガタイの良い方がそう言ったので、あたしは「靖国神社」の「従業員」から奪った現金が入った袋を渡した。

「な……なに……この大金?」

「お金の出所については黙秘していい?」

「むしろ、何も知らずに『善意の第三者』のままでいたい……。金額が金額なんで……」

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