Prologue
ご覧いただきありがとうございます。
初作品であり、不定期更新ではありますが、どうぞよろしくお願いします。
森の中にいた。
目をこする。
もう一回、見てみる。
うん、森の中にいる。
「…いや、どこだよ」
頬をつねる。
痛い。
「…夢でもない、と」
ベタな方法だけどわかりやすい。
よし、整理しよう。
俺の名前は村崎 柴朗。17歳・男・O型。
昨日は学校が終わってバイトして、帰ってきて着替えて飯食ってゲームして、いつの間にか寝落ちしてた。
派手な声で『おっめでとーっ!』とか言われる夢を見て、んでさっき起きた。
「以上。…っておい」
整理でもなんでもない。
何がめでたいんだか。
いつも通りの、なんというかいつも通り過ぎる昨日。
両親が事故で死んで、妹と二人だけになって。
最初は二人で祖父母のところにお世話になっていた。
けれど高齢だし、なんとなく、本当になんとなくだったけど二人とも世話になりっぱなしではいられない。
そう思ったから一人暮らしを始めたんだ。
妹は泣いていた。そりゃそうだ、急に両親がいなくなって、俺まで離れようとするんだから。
だからって会えなくなるわけじゃない。
だから説得して、毎週土日は会いに行っていたのに。
明日が土曜日だし二人でゆっくりしようと思っていたのに。
「なんで俺は、こんなところにいるんだ?」