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第2話

「んん〜っと。」


俺は気持ち良く起きれた体をほぐしながら起き上がろうかと思った。


が、その時!


横に違和感を感じた。


いや、抱きつかれて起き上がれないでいた。


「う〜〜ん………あれ?なんでここに歩が?…………って私がこっちに連れてきたんだっけ?」


そう言って彼女………エナは抱きついている手を放した。


「向こうではあんまりこういう事してなかったよな………」


「そうだね〜〜…………嬉しい??」


笑顔を作りながらその眩しい光を俺に向けて質問してくる。


「ああ、そりゃあもう………嬉し過ぎて死にそうだよ」


「歩は私が死なせないから大丈夫!それより今日はこっちについての情報を教えて上げる!」


エナに感謝の気持ちを伝えようと話しかけようとすると………


『グゥゥゥ』


彼女の腹から、可愛い音が鳴った。


それは彼女も恥ずかしかったようで………


「とりあえず!ご、ご飯食べよ!」


誤魔化すために……そして空腹を満たすために朝食を誘う。


「ああ、そうしようか……誰かさんも腹が減ってるからな…」


「っ///」


「さっ!リビングまで連れてってくれ!」


俺は後ろからポカポカ叩かれつつもリビングまで連れてってもらう。


「うぅぅ………まあ、行きま『グゥゥゥ』………」


「よし!急ごうか!」


2度目の腹の虫を顔を真っ赤にして黙り込む。


そして早歩きで、リビングまで歩いて?(エキドナなので尻尾を引きずっているので歩いていると言っていいのかわからない……)行く。




「もう少しで着きます!」


まだ恥ずかしいのかちょっと強めの口調で言う。


「あ、ああ……」


そんなエナに戸惑いを覚えつつ、受け答えする。


ちなみにここまで来るのに5分程度かかったのだが………


「…………」


さっきからずっと口数が減ってる………


ただ唯一この場の空気を一変するものが1つ………


『グゥゥゥ……』


「………」


「………」


「「ぷ………あはははは」」


空気を悪くされたものに空気を良くされたのはなんとも言い難いが………ただこの時は本当にエナの空腹音に感謝した。


「しかしやっぱりエキドナ、エナの方が可愛いな!!」


「もう!歩ったら!」


たわいもない話をしながら廊下を歩く。


流石王女様と言ったところか、召使いがいて、料理人がいて、メイドがいて、本当になんで地球に居たんだろう………と思ったが俺が原因だった………


「歩、この世界にいる気分はどう?」


「ああ、気分……ね」


正直……普通の人間なら誰しも初めは不安しかないだろう。


見知らぬ人に周りは人外。


すぐ受け入れる奴なんて本当に地球に未練なんてない奴だけだ。


だけど未練がない奴なんて早々いない。


だが……


「最高だよ」


俺の唯一の未練は自室だけ……


この世界ではエナも居るし、優遇されてる。


更にエナは俺好みになったし、地球には親もいないし、親戚もいない。


「ただ一つの落ち着かない事を言うと………」


「言うと?」


「…………………視線………かな」


俺が人間……人族だからか…皆から恨みや憎しみのような視線を受ける。


「あ〜それは……後々好感度上げていこ!」


俺はこの魔物達が人間にどんな事をされたかわからない……分からないけど…


何故か…申し訳ない気持ちになる。


「ああ、だけど…召使いさんたちには申し訳ない」


そう言って俺は頭を下げる。


召使い達は驚きつつもこちらを見る。


「すまないが俺は人族が魔物達に何をしたのか知らない。人族がした事を許してくれなんても言わない。」


魔物達の見る目が更に強くなる。


それは俺が魔物達にした事を分からないと言ったことに怒ったのか…それとも許してくれなんて言うと思ったが違ったことか……


俺にはわからない………だけど……


「あんた達は俺の身の回りの世話をしてくれるんだろ?だから嫌いな種族の世話をさせるのは申し訳ないと思ったから……今のは俺からの感謝と、すまないと言う謝罪だ。受け流してもらって構わない。」


召使い達は固まり……その場で数十秒固まったままだが、俺とエナが座ろうとすると……ササッと動き、メイドが椅子を引いてくれる。


「ありがとう」


そう言うとメイドは深々と礼をし、後ろに下がる。


「ふふっ。カエデ、歩は譲らないわよ?」


「す、すみません」


顔を真っ赤にしながら、後ろで立っているメイドにエナが生き生きとした顔で言う。


「譲らないってどういう事だ?」


「ふふ…やっぱり歩は鈍化だな〜」


「ん?」


「うんうん、何でもない!さっ!食べよう!」


エナが合図を召使いに言うと召使いは奥から出来立ての朝食を持ってくる。




パンと、スープにミルクだったが、パンに乗っていた、ベーコンがとても美味しかった。






メイド(カエデ)視点


初めはとても嫌でした。


まさか見習いメイドを卒業し、エキドナ様の元で働けると思ったのですが、なんと!人族の身の回りの世話をしろと言われたのです!


魔界に人族が居ることも驚きですが、エキドナ様の傍に居ることも驚きです。


「はぁ〜ついてないな〜」


「カエデ、いくら誰も居ないからってため息は良くないわよ」


彼女はエキドナ様の付き人、エルフのメイド長のリザさんです。


新人の私にも優しく教えてくれます。


「「あはははは」」


どうやら今の笑い声は例の人族と、エキドナ様の声です。


リザさんは近くにエキドナ様が居ることを知っていたのか、私に注意してくれた様です。


「おはようございます。今の笑い声はエキドナ様と例の?」


「はい、どうやらその様です。」


「………」


私が付き人になる相手はどんなのか……と言う不安を覚えながらエキドナ様が来るのを亜人族の召使いのメギさんとリザさんと待ちます。


ただまた一つ悩みが出来ました。


エキドナ様はどうして、人族を魔界のこの城に連れてきたのでしょうか………


人族が姿を現します。


どうやら名前はアユム……と言う変わった名前らしいです。


「視線かな……」


どうやら私たちの本能が彼を受け入れなかったのか、視線に恨みが入っていたようです。


しかしそれはメギさんもリザさんも同じようで、視線が強くなっていた。


「あ〜それは……後々好感度上げていこ!」


エキドナ様がそう言ってどうやら睨んでいてしまった……と自覚したのかリザさんとメギさんも視線を緩くしようとした時………


「ああ、だけど…召使いさんたちには申し訳ない」


その言葉を聞いた時……私は耳を疑いました。


いえ私だけではありません。


2人も驚き、そして私も2人も人族をただ見つめていました。


「すまないが俺は人族が魔物達に何をしたのか知らない。人族がした事を許してくれなんても言わない。」


彼の言葉は驚きと恨みが増す言葉でした。


まさか人族が私たちにした、あの虐殺を知らないとは思いもしませんでした。


それと同時に何故許してくれ何て思って下げた頭は許して欲しいと言う意味ではなかったのです。


じゃあ彼が頭を下げる理由が何か分からなくなった驚き。


そして私たちメイドごときに頭を下げる客なんていません。


そう言う意味で驚きが隠せませんでした。


「あんた達は俺の身の回りの世話をしてくれるんだろ?だから嫌いな種族の世話をさせるのは申し訳ないと思ったから……今のは俺からの感謝と、すまないと言う謝罪だ。受け流してもらって構わない。」


まさか人族から……いいえ、アユム様が言ったことはとても私たちの心に刺さりました。


まさかアユム様から感謝の言葉と謝罪の言葉を言われるとは思いもしませんでした。


しかし唖然とする時間もありません。


自分で椅子を引こうとするアユム様。


ですが席を私が引くのは仕事です。


だから素早く動き座ろうとする席を私が椅子を引くと……


「ありがとう」


そう言われ私はどこか嬉しく、どこか恥ずかしい気持ちになるのを誤魔化すため、深々と礼をします。


ですが……


「ふふっ。カエデ、歩は譲らないわよ?」


「す、すみません」


どうやらエキドナ様にはバレていたようで、更に恥ずかしくなり、また深々と礼をします。


この仕事………ちょっと嬉しいかも!


その後、アユム様が、料理人に


「ありがとう」


と伝え、出ていった時、チラッと料理人さんの熊の亜人、クラさんを見ると驚いたあと泣いていました。

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