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第1話

なんか……自分でも…どうしてこうなった・・・

「と、とりあえず歩!異界に行こう!」


「ああ、いいがお前魔王だろ?勇者が主人ってやばくないか?」


そう…この状況……かなり危ない。


俺が衣奈の主人……魔王が勇者の奴隷なんて、衣奈の部下達が魔王様の為なんて言って俺を殺しかねない……


「なあ衣奈………どうしても行かないとダメ?」


「うん……このままじゃあ歩は王国側の洗脳によって操られるんだから……」


まさか………そんなに勇者側がおっかないとは………


事実を詳しく衣奈から聞くともう少しするとクラスごと異界に連れていかれるらしい……


目的は俺だけど彼ら達も英雄クラスまで強いらしい。


だからどう転んでも奴らには利しかないらしい。


「歩……とりあえず魔王城に来て!話は私が付ける………」


とりあえず今は衣奈の言う通りにしようと俺も覚悟を決める。


「じゃあ行くよ?『我、異界と魔界を繋ぐものなり。汝、我を魔界にかえしたまえ!』」


そうすると、衣奈の部屋全体が光出した。





眩しい光が収まるのを待ち続け、目を開けたそこは………良くファンタジーの魔王城などで見る、赤い絨毯にローマ時代の様な石の柱………そしてその奥には大きなふかふかとした黄金の椅子が合った。


「歩、無事?………うん、大丈夫そうだね!」


えっ?


「ああ、ごめんね言ってなかったよね………私は魔王、魔王エキドナこの世界の4分の3を支配するもの……」


なんと衣奈の姿は一変していた。


背中からは翼が生えており下半身は蛇のような体だった。


「ごめんね……失望した………って感じかな?」


「か………いい」


「え?」


「めちゃくちゃ可愛いよ!俺衣奈には言ってなかったんだけど人外娘って超好きだったんだ!たまに衣奈が人外だったらって思うこともあったほど!」


俺はマジでそれを思っていた。


衣奈がアラクネやナーガなど上半身人、下半身は魔物の様な女性だったら100点中1000点だったのにな〜。と思っていた。


ちなみに人の時の衣奈は100点中500点。


「えっ?受け入れてくれるの?私魔物だよ?」


「ああ!全然いい!いやむしろこっちの方がいい!!」


髪は綺麗な茶色。そしてそれに似合った、緑の瞳に赤の尻尾。人外好きにこれほど美味しい姿はない。


だから褒めると衣奈は何故か大泣きした。


「ひっぐ、うわぁぁぁん」


「ど、どうしたの!?俺なんかいけない事言った?ごめん衣奈だから泣かないで!君は笑顔の方が似合ってるって!」


俺が更にまた追い打ちをかけた様で衣奈がさっきより更に泣き出す。


「うわぁぁぁん!」


「誰か助けて!?」


泣き止むこと数十分。


「お、落ち着いた?」


「うん大丈夫。ありがとう歩……さっきのは嬉し泣き……」


(嬉し泣きって普通あんなに号泣するものか?)


と、思いつつも何で嬉しかったのか聞いてみると………


「まさか人外で更に好きって言われるとも思わなかったし、その上にあんな言葉まで言われたらもう…………ああ、嬉しすぎて倒れちゃいそう………」


そう言って衣奈はマジで倒れた………と言うより泣きすぎて疲れたのか寝た………


「さてベットに寝かせようかな………」


と思い持ち上げようとするも………


「尻尾………引きずるな………」


それは良くないと思いつつその場に一旦下ろし膝枕してあげる。


「そう言えば向こうでも膝枕してやったことが何回かあったな………たまにはして欲しいもんだけど……」


と、思いつつ俺はその場で苦笑する。


「歩…………ありがとう………」


寝言だろうか?


そんな声が聞こえた………


「どういたしまして………」


ゆったりした気持ちになりつつ、周りの建物と衣奈を見て異世界に来たことを実感する。


するとドアが行き良い良く開き!


「魔王様の悲鳴を響かせたのは誰だ!」


反応と来るの遅!?ってかなにあの数!?


あ、そうか魔王を泣かせる程度だから数人じゃあ無理と思って大部隊派遣してきたわけね………


って俺超ヤバイじゃん!いや待て!今は衣奈の膝枕をしてやってるんだ………友好的なのは目に見えて………



「奴だ!魔王様に無断で触れ!しかも気絶させるとは!死ねぇぇ!」


と言って特攻してくる………あ、俺死んだ…


「衣奈マジでごめん、俺……ここで死にそうだわ……まあ、どうせ俺は勇者だったんだろ?俺とお前が元々傍に居るのは良くなかったんだよ……だから…お互い殺し合わず衣奈が生きれるならそれでいいじゃないか………」


と思い俺は死を覚悟した。


彼女の近くで死ねるのならそれも本望だったのだ。


強いて言うなら彼女の膝の上で死にたかった…


兵士の剣が俺の心臓を突き刺す…………


はずだった。


「えっ?」


瞑っていた目を開くと剣は俺と衣奈を囲っている結界のようなものによって防がれていた……



「これは結界よ」


「衣奈!起きてたのかよ………ってまた涙目!?」


「こ、これは気のせい!それより!お前達!」


「はいぃ!」


どうやら俺と衣奈が仲良くしていたのを見て俺が衣奈の大切な人と言うのはわかったらしい。


それを攻撃しようとしたのだ……


死ぬのを覚悟するのは仕方ないだろう。


衣奈がどれだけ強いのかは知らないが、こんな凄そうな結界を張るのだ。


超強いんだろう。


「この結界は私のモノじゃないわ!!みんなも魔法の質を見て分かるでしょうけど……」


ん?この結界衣奈のじゃないのか………じゃあ誰だ?


「す、すみません魔王様……私は魔王様が魔法技術を向上させたと思っておりました……ですがまさか……その人族が…ですが魔王様の魔力を遥かに上回っているということですか?」


「そうよ……しかもこの結界は無意識……つまり敵対するものから自動で張ってくれる物よ」


「なっ!」


ん?ちょっと待ってくれ!まさか……この場に人っぽい人なんて誰1人居ないぞ!


さっき人族って言ったよな?もしかして………その人族って……


「そう!彼は私、魔王をも上回る魔王……大魔王よ!」


「だ、大魔王様!?」


「あの、10000年以上この世界に現れていないと言われる大魔王様!?」


やばい頭がこんがらがってきた………ちょっと寝させて欲しいんだが……


「えn「私は大魔王に全てを捧げたわ!文字通り全て……これを見なさい!」……」


そう言って支配下に見せたものは………奴隷の刻印だった。


「えn「あれは奴隷の刻印!」えn「嘘だろ?マジで全身全霊を捧げたのかよ……」えn「あいつマジでなにもn」ちょっと黙ってくれる!?」


そう言うと何かに威圧されたのか……衣奈の部下達は一気に気絶する。


「あれ?なんでみんな気絶してんの?」


「歩……迂闊に威圧なんて使ったらダメだよ?って知らないまんま使った感じだけどね………」


えっ?まさか全員倒れたの俺のせい?


「歩がさっき『黙ってくれる?』って言ったでしょ?その言葉で倒れた理由はスキルにあるの」


スキル?ああそうかファンタジー世界でしたねここ……


「さっきのは威圧ってスキルを含んだ言霊なの、………歩ぐらいの威圧だと、私ぐらいの魔力の持ち主か、相当な手練じゃないと耐えれないね……」


ああ、なんか頭痛くなってくる………


「その魔力量の多さどうやって見分けるんだ?」


「ん〜その話は明日しましょう……もう日が落ちているわ……私達は寝ましょう。彼らも相当タフだからあの程度では死なないわ……それより歩…」


まあ、元々衣奈以外の人の心配なんてそうそうしないけどな………


それより………


「どうした?衣奈?」


「………ベット余ってるの、一つもないのよね〜私のベットは尻尾を置くためにめっちゃ大きくしてもらってあと1人は寝れるスペースがあるのよね〜」


「衣奈がいいなら一緒に寝たいです!」


ここは男らしく言うべき!


「ふふっ♪その言葉を待ってた……お風呂はこっちよ」


そう言って着いて行くとお風呂があった。


マジで大浴場の………


「ここで一風呂浴びてきて私も浴びてくるから……先に上がったらこの入口で待っててね………私もすぐに行くから…」


「えっ?最後なんて言った?聞こえなかった」


「いやなんでもないよ!ほらほら!着替えは用意してるから!」


そう言って取り出した服は浴衣だった………


内装はローマっぽいのに、何で服は和風!?


と、まあ思いながら脱衣場で服を脱ぎ、風呂に入る。


「ふぁ〜落ち着く………それにしても貸切か〜こんな大浴場、なのに人1人いないなんていい気分だな………」


そう思いながら湯に使っていると……脱衣場の方から物音がした………


「貸し切りもつかの間って感じか……あ、先に体洗っとこうかな………」


湯から上がり、椅子の上に座ってシャワーの様なものから頭から水を被るも……


「あれ?石鹸がない……」


石鹸が無かった……


するとガラガラと物音がした。


人が入ってきたのだろうと思って俺は石鹸の事を聞こうと振り返りながら聞いた。


「すみません、せっけ……ん…………って何で衣奈居るの!?」


「あ、ごめんね歩言ってなかったね!この世界は石鹸じゃなくて魔法で泡を出してその泡を布に付けて体に擦るの今日はやってあげる!」


冷静に俺の質問に対処するが俺は冷静ではいられない……


いや、何処と無く衣奈の顔も真っ赤だった気がする。


「え、衣奈!どうしてここに君が!?」


「ここ、元々掃除するメイドしか私以外は入れないよ?まあ、風呂自体も貴族や王族みたいな大きな立場にいる人しか入らないしね〜」


「し、質問が噛み合ってないよ!」


目を逸らした先には鏡で反射して衣奈の裸体が映る。


「噛み合ってるよ?どうしてここに居るのって聞いたからここは私専用の大浴場だから私が自由に出入りしてもいいでしょってね?今日は洗ってあげる。」


そう言って衣奈は魔法を使い、布は泡を立て始める。


「ほらじっとしてて」


俺はされるがままに鏡を見ないよう目を瞑る。


目を瞑っていると唇に柔らかい感触が当たった。


「ダメだよ?目を瞑ってたりしたら不意打ち受けちゃうよ?」


そう言って衣奈は火照り顔で俺にそういった。


「はい!終わり!じゃあ私は体洗うから先にお湯に浸かっといていいよ〜」


衣奈は別の椅子に座り体を先ほどの布で洗う。


その間俺はお湯に浸って状況を整理した。


衣奈がここに来たのは石鹸のことを伝える為?


それとも単に来たかっただけ?もしかして………


石鹸を理由に一緒に入りたかったのか………


衣奈の性格上……そういうことが多い。


多分今回のことだって本当はもっとはじめから俺をこっちの世界に連れてきたかったのかもしれない。


でも連れて行かせる理由が無かったのだ……


だから勇者召喚……と言う好都合によって俺をここに連れてきた……


って思うのは俺の自意識過剰か?


だって俺を奴隷にしようとしてた時、自分が奴隷になって素で驚いていた……


つまり狙ったわけじゃない……


ああもう何もかも分かんねぇ………


「お待たせ歩」


うん……もういいや……衣奈がかわいいってだけ分かってれば……




その後は特に何もなく普通に風呂から出て腕に抱きついてくる衣奈を連れて衣奈の部屋に入り、衣奈と一緒に寝た。


寝た時だが、頭の感触は最高!そして尻尾を優しく摩るといい声が隣から聞こえたぜ!

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