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第12話

「魔王様、私達が不死の森に行きます」


そう言ったのはメイド長のリザさんを始めとした、数人のメイドだった。


「私達なら抜けても変わりありませんよね?」


「ダメ。あなた達が行く理由はない」


「理由ならあります。彼を助けられなかったのは私達のせいです。それにカエデのためにも……」


「「………………………」」


エナは彼女達を睨みつける。しかし彼女達も引き下がれない理由がある。


「はぁ………分かったわ。でも!!私も行きます。」


「え?」


みんなが唖然とする中、召使いのメギだけが冷静に対処した。


「何度も言いますがあなたに不死の森に行くことは皆も容認出来ません。」


「いや、俺は賛成するぞ。」


賛成したのは暗黒騎士団の団長。

デュラハンのクロウだった。


「よ、よく考えてください!魔王様があの森に行かれると戻ってこないんですよ!?」


「ならば我らも行こうではないか、少なくとも我々は魔王様に忠義を誓った者だ。ならば朽ち果てる時も一緒だ!」


同時に暗黒騎士団全員が敬礼した。

これ程忠義の高い兵も人間では居ないだろう。


「みんな…………」


「はぁ………やれやれ……ですね」


「すまないメギド、私は彼を助けたいんだ……恋人として、魔王として」


「……分かりました。ならば行きましょうか」


緊迫した状態で、不死の森におもむくが…………






歩視点


「そろそろ魔王達が来ますよ。」


「本当か!?よし!ミスト、竜に合図送ってくれ」


「分かった〜」


そう言うとミストは前のように可愛らしく。


「グルぅぅ」


と鳴いた。

そんなに大きい声では無いのに、何故か竜には聴こえていたのか…………


「グラァァァァァ」


と鳴いた。





三人称視点


エナたちが、不死の森に入って待ち受けていたのは竜だった。


「ヒィ!」


殆どの騎士団のメンバーが恐怖を覚える。

殺される!

と言う恐怖を。


しかしそれも杞憂に終わる。

何故なら竜は………


「グルゥゥゥ」


と鳴いていた。

それはまるで戦う意志がないという意思を表していた。


「この竜………戦う意志が無い……のか?」


流石の騎士団長も恐怖を覚えたのか恐る恐る言う。


「グルゥグルゥ」


竜は首をクイックイッと動かした。

その先には魔王が………エナがいた。


「何か……私に用があるのか?」


「グルゥ」


次はエナから自分の背中に向けて首を動かした。

まるで乗れと言っているように。


「ま、魔王様!!罠の可能性があります!危険です!!」


「…………竜よ、1つ……質問がある。アユムは………アユムはそっちに居るのか?」


「グラァァ」


竜は頷くように首を動かした。


「私も!!私も行ってもよろしいでしょうか?」


そう言ったのはメイド長のリザだった。

竜は見定めるように彼女を見つめ……


何か納得したのか頷いた。


もうすぐ……2人は再会する。

しかしそれはこれからいい方に傾くのだろうか………

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