↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キズナの鬼  作者: 孔雀(弱)
第1章「天后の位と近所一のバカ」
PR
4/86

「非日常の幕開け」



 それからしばらく、二人で歩いたり、話したり、アスレチックに座ったりしていた。

 喋っているうちに徐々にだけど口数も増えていったような気がする。

「……孔弌、あれは何してるの?」

 テンちゃんがおんぶしている親子を指さして

「あれは、おんぶして遊んでるんだよ」

 僕にもしお父さんがいたら、きっと僕もああやって遊んでたんだろうなぁ……。



「ボクもやってみたい」

「え? おんぶしてみたいの? 僕、そんなに重くないけどテンちゃんには難しいと思うよ?」

 しかもその光景は男としてはあまりにも情けない。

「そっちじゃない。孔弌が下」

「え、あぁそういうことね」

 まぁそうだよね普通。お前が下で俺が上だぁってやつだ。



「はい、僕の上に乗って」

 とりあえずしゃがんで背中を向ける。

「ん……」

 ズシリと確かな質量が僕の背中に……。ごめん、実はそこまで重くない。

「乗った」

「よし、超絶恒久融和合体!」

「何それ?」

「いや、合体の時ってこういうの言いたくならない?」





 ひとしきり遊んだあとで人気のない閑散としたところまで来てベンチに座る。

 どこにいっても無駄に人の多いこの公園では、滅多に人が来ないかなり穴場の静かなところだ。

 傍から見ると僕が幼気な少女に如何わしい事をしようとしてるみたいだな、この光景……。

「あぁ……疲れた……。最近運動してないから、どうにも疲れやすいみたいだ」

 テンちゃんは僕ほどばててはいないようだ。

 箱入りなのにスタミナあるなぁ……。



「なんかごめんね、体力のない男で」

 きっとすぐに遊び疲れる僕みたいな人よりも、無限に体力がある同年代の子供達とはしゃぎ回るほうが楽しいだろうに。

「……ううん、孔弌と一緒にいると楽しい」

「そっか、それならよかったよ」

 僕としても退屈な一日を過ごすよりはずっと楽しかったし。

「……ボク、孔弌の事が好き、なのかも」

「そっか、それじゃ僕達もう友達だね」



「……友達?」

「うん、友達。こんな風に遊んだり、助けあったり、仲のいい人の事だよ」

「そっか……友達……」



「孔弌、もしボクが孔弌を……」

 テンちゃんが何かを言いかけた瞬間。

「……! 孔弌伏せて!」

 あまりの剣幕に押されて思わず伏せると

 ――ビュオオォォ

 凄まじい速度で何かが通り過ぎて行った。



 衝撃波が去ったのを確認して急いで起き上がると

「なぁにこれ……」

 周囲のところどころが燃えていた。

「何が起きたの……」

 自分の後ろを見てみると

 ――ゴォッォォォオオオオ

 ガスバーナーを使ってる時みたいな音を出して赤い何かが飛んでいる。



「火、消さないといけない……」

 テンちゃんがそういって手を広げ。

「水、水……」

 あたりの火に一斉に水が落ちてきた。

「テンちゃん、これは?」

 何が起きているんだ……これは一体。

「……説明はあと、今はとにかくここから離れて」

 この流れは、僕がテンちゃんの足手まといになるパターンだな……。

 よし、そうなる前に逃げてやる! 全力で!



 赤い物体が旋回して、こっちに向かってきた。

「ぎゃあぁぁぁ、戻ってくんなぁ!」

「……ボクが防ぐから、受け止めたらその瞬間に逃げて」

 よし、Ok、全身全霊で逃げ切ってやんぜ

 非常に情けないけど、とにかくすごい勢いで逃げる態勢を作ったその時



「見つけたぞ、こんなところにいたのか!」

 なんか最近聞いたことのある声と顔が……。

「あ、ゴミだ!」

「何!? 人を指さしてゴミとはどういうことだい!?」

 だってあなたはさっき会ったゴミの人だもん。

「っ……!」

 ゴミの人が来た瞬間、テンちゃんの様子がおかしくなった。



まるでミサイルみたいな爆音が近づいてくるけど、テンちゃんは動揺して気付いてない。

「危ないテンちゃん!」

 テンちゃんが赤いのにひかれそうになっていたのをボクが飛び込んでかばう。

「うわ、熱っ、マジあっつ! あっつっぅぅ、やばい、これはちょっと想定外、死ぬ死ぬっ! カッコつけてすいませんでした!」

 体に信じられないような痛みと燃え盛る炎がやってきた。

 くそ、ホントはそのままテンちゃんを庇って僕も回避する予定だったのに、いやっ、マジ熱い!!

「孔弌ィ!」

突然僕の体が水に覆われて炎はすぐに消えた。



「な、何、どういうことだ……!」

 ゴミの人が慌てている。

 いやいや、どういうことって……それはむしろ今服が燃えた僕のセリフなんだけど。

「……話はあと。今は争ってる場合じゃない」

 そういうとテンちゃんは赤い物体に対して構えをとり。



「水芽」

 テンちゃんの手に現れた水が可愛らしい剣の形に変形する。

「あれはこの町の妖怪じゃないな……もう集まってきたのか」

 こっちはこっちで意味不明な事を言っている。



再度突っ込んできた赤い物体をテンちゃんは水のシールドのようなもので受けて

「泡は泡《ほう》であり、包《ほう》であり、封《ほう》!」

 テンちゃんはこのタイミングで何ダジャレなんか言ってるんだ? と思った次の瞬間。

薄い水のようなものが赤い物体を取り囲み、丸くなった。

「……やぁっ!!」

 その球体ごと赤い炎を切り裂いた。



 と同時に泡の中で凄まじい音と共に爆発が起こった。先に言ってほしかった。耳が痛い。

「ふぅ……」

 満身創痍といった感じでテンちゃんがため息をつく。

「助かった……の?」

 服は燃えて、胸のあたりが骨折したみたいに痛いけど、命は助かったらしい。

そういえば大昔に一回鼻の骨折ったことあるんだけど、あの時より痛いかも。



「な……! どうして君が人間を守っているんだ!」

 ゴミの人が突然テンちゃんに対して大声で問いかける。

「…………友達だから」

 そう言うとテンちゃんは意識を失って倒れた。

「テンちゃん!」

 すぐに駆け寄ってテンちゃんを抱え上げる。

「大丈夫、疲れて機能を停止しているだけのようだ」

 ゴミの人が言う。

「……眠ってるだけってことか……」



「とにかく、詳しい話を聞かせてほしいんだけど、どこかゆっくり話をできるところに行かないかい?」

「え? でも今のって僕にも何が起こってたかよくわかんないんだけど」

 あんな出来事、かしこい僕でもそう簡単には理解できないよ。

 正直詳しい話を聞きたいのは僕のほうだ。

「まぁとにかくあれだ……僕の家……は今ないんだった」

 あなたも家なしですか? 最近多いなぁ家なし。夏だからって無茶すんなよ……。

「少し歩くことになってもいいなら近くに僕の家があるけど」

「ん~、じゃ君の家に行こうか」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。