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風鈴

 連日のように続く猛暑の影響を受け、私の引きこもり生活にも影が差し始めた。部屋に設置されたクーラーは故障のためしばらく使えず、友人である新宮から譲り受けた小型の扇風機が時折首を振って生ぬるい風を提供してはくれるものの、風通しの良くない部屋ではさほど効果が実感できない。このままでは暑さに殺されてしまう。クーラーの修理が終わるまで、何とか生き延びねばならない。


「うわ、窓も開けずに何やってるのさ」


 片手にコンビニエンスストアのビニール袋を提げて訪れた新宮が部屋に入るなりぼやく。私とて、好きで窓を閉めきっているわけではない。閉めねばならない理由があるのだ。



「風鈴の音? ボクが窓際に吊るしているやつじゃないの?」

「いや、違う。一つじゃない」


 私にアイスクリームを手渡して、窓へと近づきふと立ち止まる新宮。彼女の口から聞こえてきたのは「キミ、また何かやらかしたね?」という、怒気を含んだ声だった。


 結果から言ってしまえば今回の件は新宮でもお手上げであり、私はただただ『それ』がいなくなるのを待つことしかできないのであった。

 クーラーの修理が入るのは来週。それまで私は、窓の向こう、ベランダの柵の上に座る菖蒲柄の浴衣を着た『それ』の様子を眺めながらアイスマットに寝転がり、氷枕で頭を冷やして暑さを乗り切らなくてはならない。ああ、もう冷気が失われてしまった。八つ当たりに窓の向こうの『それ』の背中を睨みつけると、どこからか大量の鈴の音が聞こえたような気がして、私は再び鬱々とするのであった。

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