第7話 学年レクリエーション①
今日は夏に入ろうかという6月の中旬のある日の朝。
「瞬!!起きなさいーー!今日レクリエーションでしょ?」
母の叫びで僕は飛び起きた。
今まですっかり忘れていた。
今日は学年レクリエーションの日だ。体育祭のミニバージョンだ。まず、男子はサッカーをして、
女子はドッチボールそのあと決勝戦を行い、優勝を決める。最後にクラスでリレーをして終わり。
リレーは全員参加なのだ。
朝ごはんを飲み込むように食べ、服装は完璧でないまま、体操服だけをかばんに突っ込んで大急ぎで家を出た。交差点を曲がって一時走っていたときのこと。
プップー、プップー
車のクラクションが聞こえた。漫画でよくあるような、口にジャムを塗った食パンをくわえながら素の姿で振り向いた。
その車は黒色のプリウス。つまり、城ヶ崎家の車だった。
「伊崎瞬ーーー!早く乗れ!!」
城ヶ崎晴海が車の後部座席の窓から顔をのぞかせて叫んでいる。
叫び終わるころにはもう、僕の横に後部座席のドアがあった。
「おい、そこの少年!乗りな!遅れんぞ!」
晴海は少しボーイッシュな感じで話してきた。
「え、えっ?晴海さんですか?いつもと感じが違いますね。」
「それは置いといて。ってか早く乗ってよ。時間がぎりぎりなの。」
「あ、はい。」そういって僕は後部座席のドアを開けて車に乗り込んだ。ただいまの時刻7時45分。ここ
から車で5分。歩いて15分。走って10分。
車内は静かだった。だって晴海は隣で寝てるんだもん。あの時あんなに叫んで俺を呼んでたのに……光の速さで寝ちゃったよ。まぁ、寝顔も可愛いものだ。そういえば半月前、学校で「美少女コンテスト」があってその1位が晴海だった。そして2位はまさかの清海。姉妹で1位と2位を独占してしまった。そのあとは2人に対する告白ラッシュだった。1日平均3人。それが1週間ぐらい続いた。かるく20人は超しているのだ、姉妹だからそれの2倍。一応カメラに収めて置こうっと。
パシャ!
「……はっ!瞬!今何した!?」
「いいや、な、なにも?ほら、外の花がきれいだったかーーー」
「嘘おっしゃい!!!」僕が言葉を言い終わる前に晴海の声が入った。
「えっ…あ、あぁぁぁ…」
答えに詰まっていると前の席のほうから声がした、健之助さんだ。
「お嬢様、瞬様。学校に着きましたよ。時間がぎりぎりなのでお急ぎください。」
「あ、ありがとうございました。ほら、晴海、行くよ。」
なぜか晴海は動こうとしなかった。拗ねているのだろうか。
「ほら、晴海ー!行くよ。」
「……うん。」
あぁ、やっと動いてくれたよ。車から降りて、車が立ち去るのを見送っていると
「瞬ーーーー!遅刻しても知らないからねーーー!」
晴海が玄関の前で叫んでいた。あれ?いつのまに?さっきまで隣にいたのに。
「いつそっちにいったんだよーーー!?」
キーーーンコーーーンカーーーンコーーーン
やばっ!!!
こりゃ、遅刻だ!
あっ、今日はHRの開始時間が10分遅い!8時10分まで更衣の時間だった!安心だ。
さぁ、早く教室に行って着替えなければ!