第5話 サプライズ!
清海と別れてから30分ほど経っただろうか。
買い物も終え、アトラクションにも思う存分乗れたので最後に園内を1周してベストショットを撮ろうという話になった。
園内をくまなく見て周り、いろんな角度から写真を撮っていた。
お陰で携帯の画像フォルダが満杯になった。
写真を撮りながら、僕は時間を確認した。
「そろそろ、かな……」
「ん?なにが?」 げっ!聞こえてたのかよ!独り言のはずだったのに…
「ああ、いや、なんでもないよ。それより最後にシンデレラ城に行かない?」
「あっ、いいよ。」
そしていよいよ僕の計画が動き出す。
何をするのかといったらもちろん愛の告白。
この場所で告白するのは多いかもしれないけど、いい。
気持ちが伝わればね。
そして、シンデレラ城の前について計画を実行に移す。
「晴海!」晴海との距離は2メートルぐらいだ。
そして僕はゆっくり晴海に近づいた。
「目を閉じて」僕は小声でそう言った。
そしたら晴海が唇を潤すためだろうか。舌で唇をなめたのに気がついた。
「キスはしないっつーの」心の中でそうつぶやき、背中のほうにまわった。
そこで僕は晴海の首にネックレスをつけてあげた。
そして前に立ち、手をとってネックレスの先についているものを手のひらに載せた。
「目を開けて。」
「うっ、うん。」そういって恐る恐る目を開けた。
「わぁ!」大きな目がまたさらに大きくなった。
「な、なにこれ!?どうしたの?」
「うん?あっ、さっき買った。まぁ、晴海にしては安いものだと思うけど…」
「ううん。これはお金で買えない価値があるね。」
「それなんかのCMで聞いたことあるぞ?」
「うふふ。」
僕が渡したのはミッキーとミニーが彫ってある指輪だった。
しかし、まだお互いに子供だからネックレスにした。
僕もおそろいのものを買った。
2つで約5万。僕には痛い出費だったが晴海のためならどうってことない。
「で、渡すので終わらないんだ。」
「うん…?」
「ちょっと早いけど、そ、その…えっと…大人になったら結婚しような!」
「…(照)」晴海が俯いてしまった。どうしよう…。
「うん!!!いいよっ!!」
バサッ
いきなり、飛びついてきた。
いきなりだったから体が少し後ろに下がったものの何とか受け止められた。
「よかった。それ、婚約指輪ね。大事にしてよ」
「了解っ!私、瞬も海斗も大好きだからね!」
「ありがとうございます」
なぜか晴海と2人でいるときは赤西海斗になってしまう。
晴海がそのほうがいいって言うからさ…
約束の時間になり、ゲートの前でやってくると清海が小走りでやってきた。
「お、お姉ちゃん!悪いけど少し持って!!」
清海は遊びに行くときはなかったはずの、買い物袋が両手で収まりきらないほど持っていた。
『何をそんなに買ったの?』ハモった。
「友達といっぱい買っちゃった。あはっ☆」
「おい、早くしないと電車が混むよ!」
『はーーーい」城ヶ崎姉妹もハモる。
電車の中で俺と晴海は清海の話の聞き手にまわった。
友達と何をしたか、いくら使ったのか、何を買ったのか、全部話してくれた。
その話の中でのこと。
「……それはお金使いすぎだね。」
「でしょ?っていうか今気がついたけど何で2人おそろいのネックレスしてるの?」
「あっ、これ?俺が晴海とおそろいのものを買ったんだよ。」
「えええええ!私のは!!」
「残念。」
「お姉ちゃんだけずるい!瞬先輩とラブラブで!!」
「ごめんなさ~~~い」晴海わざとらしく言った。
「もうっ!お姉ちゃんったら!!」
駅に着くまでの数十分間、城ヶ崎姉妹のじゃれあいを僕は黙ってみていた。
駅に着いたら正面のロータリーに黒塗りのプリウスを発見した。
すると健之助さんが後部座席のドアを開けて
「晴海お嬢様、清海お嬢様、お帰りなさいませ。」
『あっ、健之助さん、お疲れ様です。わざわざありがとう」
「いえいえ。…あ、瞬様もお乗りください。送って差し上げます。」
「あっ、ありがとうございます。」
その日は送ってもらい、家に帰ってお風呂に入り速攻で寝た。