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第2話 発覚!

ついにばれた。


しかもばれたのがあの幼馴染の城ヶ崎晴海だった。

本当に何気ないことでばれてしまった。


それはある金曜日の放課後だった。

僕は相変わらず教室で一人本を読んでいた。

教室には僕一人しかいない。

確か5時27分ぐらいだったと思う。

いきなりすごい音を立ててドアが開いた。


ガラガラ  バン!


一瞬体がピクッっとなった。そこには顔を真っ赤にしていた晴海がいた。そして僕に気づいた瞬間


「ねぇ、あたしの筆箱知らない!!??今家に帰ったらなかったのよ!ねぇ、知らない??」


とすごい勢いで僕の胸倉をつかんできたのだ。それに揺らす。すごい勢いで揺らされた。その瞬間だった。


眼鏡が取れた。


カモフラージュ用につけていた眼鏡が取れた。僕は急いで眼鏡を取ろうとしたけれど床に落ちたし、晴海に胸倉はつかまれたままだし動けなかった。


時が止まった。何分ぐらい2人の動きが止まっただろうか。聞こえてくるのは運動部の威勢のいい声だけだ。


「……」


「……えっ?」


最初に声をあげたのは晴海だった。


「そ、それより眼鏡取ってくれない?」


「あ、ああ、ぅうん……」


かなり動揺しているのがわかった。はい、と手渡されてありがとうと言ってかけ直した。


「瞬、聞いてもいい?」


やばいことになるかもしれないっ!


「う、うん。いいけど…」


「あんた、伊崎瞬だよね?」


「うん。そうだよ…」


「伊崎瞬であり赤西海斗なの?」


やっぱり聞いてきたか。僕は迷った。ここで本当のことを言うべきだろうか。それとも嘘をついていつもびくびくしながら過ごすのか。


「・・・・うん。」


「あ、やっぱりね。って、ん?今肯定した?」


「う、うん…」


晴海の顔色が変わった。


「え、じゃぁさぁ、伊崎瞬は赤西海斗で、赤西海斗は伊崎瞬な訳?」


「ごめん、今まで黙ってて…」


すると晴海の表情がすっごく明るくなって、


「ううん、いいの。っていうかそんなことは黙ってないといけないことじゃん。」


「そうなんだけどね…」


「私、誰にも言わないから安心して。でも、まさか瞬が海斗とはね…」


「あんまり名前を出さないでよ。ってか本当に誰にも言わないでね。」


「了解!任せてっ!私、幸せものだと思わない?」


「なんで?お金持ちだから?」


「違うわよ。だって私は赤西海斗と付き合ってるんだよ!こんなすごいことないでしょ!?」


「晴海が付き合ってるのは伊崎瞬じゃないの?」


「伊崎瞬と赤西海斗。いわいる二股?」


「え~~晴海ってそういう人だったんだ…なんかショック…二股かけられるなんて…」


「冗談だって!」


「わかってるよ。」


「もう、バカ!」肩を思いっきり叩かれた。


「痛いなぁ、何すんだよ!」


「さっきの仕返しだよー。」


「ああぁ……」


冗談が結構続いた。こうしてるうちに5時50分になっていた。


「っていうか晴海、筆箱は?」


「あっ、机の中にあったよ。」


「あったんだ!まっ、見つかったならよかったね。」


「うん。」


「よし、帰るか。どうせ晴海は健之助さんのお迎えがあるんだろ?」


「あ、今日は送っていくよ。健之助さんにも話しつけとくから。ほら、いこっ!」


本当にお嬢様な感じがしない。運転手を「さん」付けで呼ぶお嬢様は晴海と清海だけだろう。


玄関で靴を履き替えていると奥のほうから晴海を呼ぶ声がした。


「お姉ちゃん~~待ってよぉ~~」妹の清海だった。


「あっ、瞬先輩。こんにちは」


「こんにちは」礼儀正しい城ヶ崎姉妹である。


校門を出たら一台の車が止まった。真っ黒のプリウスだった。


「お帰りなさいませ、お嬢様方。こちらは瞬様ですね?いつも晴海お嬢様がお世話になっております。」


「あ、いえいえ。こちらこそ晴海さんにはよくしてもらっています。」


「今日はお家のほうまでお送りいたします。どうぞお乗りください」


「ありがとうございます。」

そうして僕と晴海と清海は健之助さんが運転するプリウスにのった。


車の中ではすごく盛り上がった。健之助さんは落語が好きらしくて、面白いトークをしてくれた。家に着くまでがすごく楽しかった。


だんだん家が近くなってきた。

「あ、健之助さん。ここでいいですよ。あとは細い道なので。」


「わかりました。でわ、お気をつけてお帰りください。」


「はい、ありがとうございました」

と言って車を降りた。


「瞬、また明日ね。じゃ。」


「うん、じゃあね。


「瞬先輩。また明日お会いしましょうね」


「ああ。会えたらね。」

といって車は走り去った。


清海がずっと手を振っていたので、僕も車が見えなくなるまで手を振り続けた。


「ただいま~~~」


「お帰りなさい」母の伊崎敦子である。


「ご飯出来てるから早く食べなさいよ。」


「っていうかまず着替えてくるわ。」


そして部屋に入って着替えているときに携帯が鳴った。誰だろう、と思いディスプレイを見たら「城ヶ崎晴海」だった。とりあえず、電話に出た。


「もしもし、さっきはありがとね。で、どうしたの?」

『さっき、瞬を下ろしてから家に帰るまで瞬の話になったの。そしたらいきなり清海「私、瞬先輩のことが好き!」って言い出したの。私、瞬と付き合ってること清海に言ってなくてさぁ。どうすればいいのかな?』


「本当のことは言わなくていいよ。僕のほうから上手く傷つけないように教えるから。安心して。」


『わかった。ごめんね、忙しいときに電話して。じゃ、また明日』


「うん。また明日ね。」

そこで電話は切れた。


その後夕食を食べ、お風呂に入って、3時間勉強して寝た。


そしてそれから1ヶ月がたったある日のこと。とうとう清海に真実を告げるときがきた。

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