第三章
みなさんこんちわ。
FF零式がほしくて若干病んでいるDragoonです。
CHAOS Break第三章、お楽しみいただけると幸いです。
気がつくと俺は見知らぬ場所に立っていた。
霧がかかっていて前がよく見えない。
後ろを振り返ってみるとそこには真琴が立っていて、悲しそうな目で俺を見つめてくる。
なんでそんな目で俺を見るんだ……?
俺はふと自分の手に何かが握られていることに気付いた。
真っ白な刀。
俺はそれを見た瞬間、無意識に真琴の方へ足を踏み出していた。
体が勝手に動いている……?
真琴の前まで来ると俺は刀を振りかぶった。
逃げろ真琴!
頭ではそう考えているのに行動が矛盾している。
真琴は全く逃げるそぶりを見せない。
そして俺は。
振りかぶった刀を真琴の肩に。
振り下ろした。
よほど斬れ味がいいのか感触は薄く、そのまま刃を腰から抜く。
真っ赤な鮮血が俺の視界を埋め尽くす。
真琴が真っ二つになり、断面から臓物を吐き出しながら倒れている。
――やったのは俺じゃない、俺は真琴を殺そうなんて思っていなかった。
だけど実際にこうして俺は無意識に体を動かして真琴の体を斬った。
「……あ…あぁ……」
俺は刀を手放してその場にうずくまる。
わけがわからない。
俺はやってない。
俺は無実だ。
俺は違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う。
俺はこんなの望んでいない。
(一区切り)
「――!」
気づけば俺はベットの上。
……夢か。
後味の悪い夢だ。俺が真琴を殺せるわけがない。
それにしてもあの遺体はなかなか現実味があったな。
「……うぇ…」
駄目だ。思い出すと吐き気がしてくる……。
携帯を取って時刻を確認すると、今は朝の八時ごろ。
今日も特にやることはない。
携帯を置こうとして何か冷たくて硬いものに触れた。
大型拳銃……思い出した。
俺は昨日人間離れしたことをやってのけたんだった。
俺は自分でもよくわからない能力に目覚めて、連続猟奇殺人事件の犯人を――殺したんだ。
あの後俺は尋常じゃない疲労感に襲われてすぐに寝た。
あの時確かに俺の腕は一度無くなった。今そのことを思い出すとゾッとする。
右腕を見てみると、やっぱり青い亀裂のような模様は残っていた。
なんか現実じゃないみたいだ。
そういえば昨日崩落したトンネルはどうなっただろう?
そう思ってテレビの電源をつけてみる。
『昨日夕方6時ごろ名古屋駅周辺のトンネルが崩落するという事故が起きました。未だ崩落した原因は――――』
「……ハハッ」
思わず笑ってしまった。
これを俺がやったと思うと笑わずにはいられない。
そういえば真琴起きたかな?
ちなみに今真琴はこの家にいる。
あの後真琴はずっと気絶したままだったので家で寝かせておいた。
ちゃんと真琴の親にも言ってある。こう見えて俺は真琴の親には信頼されているからな。
……まぁ、いくら幼馴染とはいえ、男女ともに同じ部屋で寝るわけにはいけないため別の部屋で寝かせたが。
その部屋のドアをそっと開けて中をのぞく。
「真琴、起きてるか?」
返事はない。
まだ起きてないか……。
まぁいいか、今日は何もないはずだし。
そう思い朝食を作ろうと台所へ行こうとしたら、
「んぁ?」
携帯が音を鳴らしながら振動しだした。
「電話か?」
こんな時間から電話なんて誰だ?
俺は携帯開いて耳にあてた。
「はいもしもし」
「もしもし、織坂くんですか?」
この声は同じクラスで委員長の『御巫 朱音』だな。
「ああ委員長か。どうした?」
「どうしたじゃないですよ! また補修サボるつもりですか?!」
え? 補修?
「このままじゃほんとに留年しちゃいますよ?!」
たしかそんなような事があったような気がしないでもない。
「あああぁぁぁぁぁ!!」
しまった! 前回の補修は原因不明の病で寝込んでて行けなかったから今日に懸けてたのに!
「も、もしかして忘れてたんですか……?」
「ああ、完全に忘れてた……」
時計を見ると時刻は8時10分。
俺の家から学校までは近いわけでもなく遠いわけでもない。 でもどっちにしろ今から行ったって間に合うはずもない……。
「あぁ……。終わった……」
「まだテストは始っていません、急いでこればテスト開始までには間に合いますよ!」
!
留年だけは絶対に避けたい!
俺はすぐに電話を切り学校に行く支度をする。
当然朝食なんて作っている暇なんてない。
青い亀裂の入った腕は目立つので包帯を巻いておく。
俺は急いで玄関を飛び出そうとしてふと、ある言葉を思い出した。
『まぁどっちにしろお前はいろんなことを知ってしまったからな、これから悪魔共に狙われるだろう』
あの如月涼夜とかいうやつがそう言っていた。
俺は念のためリビングに戻って大型拳銃の『Deadly Mephisto』とショートブレードの『黒鴉』を懐に忍ばせて玄関を出た。
現在時刻は8時15分過ぎ。次の電車は8時26分だったはず。どうにかしてその電車に乗りたい!
俺の家から地下鉄名古屋駅のホームまで徒歩25分くらいだ。
いつもは徒歩で行くのだが今日ばっかりは徒歩では行っていられない。
しかたない、原付で駅までとばすか。
原付にまたがり、人通りの少ない細い道をフルスロットルで疾走する。
何度か事故に合いそうになってクラクションを鳴らされたが、なんとか到着した。
時刻は8時24分。我ながら10分も掛からずについたことに感動する。
あと2分。
俺は素早く原付を駐車場に止めて改札まで走ろうとしたところで、
「ちょっといいかな?」
見知らぬ女性に話しかけられた。
ああ! なんだよこんなときに!
「すみません、今急いでるんで」
悪いが、見知らぬ女性に構っている暇はない。
そう言い放って女性に背を向けたとき――
「……トンネルの崩落……連続猟奇殺人事件……白い炎……白い刀……」
!!
い、今確かに後ろの女が口にした……。
トンネルの崩落、連続猟奇殺人事件、白い炎、白い刀。
全部俺に関係していることだ……!
なんで他人が知っているんだ……?
全身から変な汗が噴き出てくる。
そして――
「織坂白焔君だね? ついてきてもらおうか。」
To be a continue.
CHAOS Break 第三章いかがでしたでしょうか。
いやぁ~、久しぶりの投稿ですね~。
しばらく書いてなかったんで話がどういう流れなのか忘れてましたよ(笑)。
今回は戦い要素がなかったのであまり面白くはなかったと思いますが、次回は期待していてください!
それではまた次回のあとがきでお会いしましょう。