第2話〜奈緒〜
壺風呂を堪能し、ジェットバスに入ろうと思ったが今日はこっちが大人気で、今、比較的人の少ないサウナに入った。ここでは笹倉含む雑念を取り払った。しばらくして、水風呂に入る。これを繰り返す。これこそが究極のリラックスだ。
最後に地方局しか映らない大風呂に入った。
「そういえば、今日の飲み、笹倉の旦那も来るからんだよなー」
大風呂に入り、笹倉の旦那の顔を思い出した。マジメで堅実をそのままにしたような雰囲気の友達だ。実際のところ、根はマジメだが、中身はお調子者というギャップ萌えで攻めた結果、笹倉と結婚したであろう男性だ。男性なのに『奈緒』という女性的な名前だ。
そもそも、彼は大阪のオタクの街で魔王と呼ばれるくらいにはオタクをしていた。
「オタクの街の魔王とスクールカースト上位が大人になって恋人になって結婚しました……か」
……これ、最近の長文ラノベタイトルにありそうだ。
大風呂から出て5分だけもう1度壺風呂にはいり大浴場を出た。
「笹倉とも奈緒とも色々あったけど、仲良くしてくれてるんだよなー」
過去に笹倉と奈緒を巻き込んだ大騒動があったのだ。
笹倉に接近禁止命令を出された元カレが、なぜか俺にコンタクトを取ってきてまんまと騙されたのだ。ここは思い出すと辛くなるので忘れよう。壺風呂を出て、着替えてコーヒー牛乳をガブガブ飲んでいた。
スマホを見ればそろそろいい時間だ。
駅に向かって歩いている。駅直結のスーパー銭湯と言っても多少は夜風を浴びる。
火照った身体に夜風は風邪を引きやすいとは言っても気持ちのいいものだ。
電車に乗り地元の駅についた。
「そういえば、この1駅先のボーリング場で笹倉とその他大勢とボーリングとかゲーセンで遊んだよなー、あれも20年近く前か」
あれは20年前の話。中学1年の頃の話だ。人生初の中間テストを前に、勉強するという大義名分のもと男子4人女子2人で集まった。しかし、学生が集まって勉強するわけもなく、最初は図書館で少しだけ勉強をした。しかし、1時間もしないうちに自転車で移動してボーリング場でボーリング大会、ゾンビ早撃ち大会をした。
「あの時の男女で付き合ったカップルの子どもが市政だよりの新生児の写真に採用されるんだもんなぁ」
これは5年位前の話だ。郵便受けに入った市政だよりをひと通り読むのだが、裏表紙の新生児に何か親近感を覚えた。その事を笹倉に伝えた。
――あぁ、あの子、中学の時にボーリング場で告白してそのまま結婚した子らの子供だよ
駅のトイレで用を済まし、居酒屋へ向かった。
「居酒屋な……」
子供と居酒屋で思い出したことがある。笹倉と奈緒と俺で今日みたいに飲むことがあった。その日から数週間後に笹倉が入院したと聞いた。結果としては笹倉夫婦は子供を1度断念したのだ。
――君は気にしなくていいよ、誘ってくれただけでも嬉しかったから。
そう、原因として俺が飲みに誘った時にはお腹に子はいて、まだ妊娠を確認していなくて、奈緒が笹倉の異変を感じて病院へ行ったがその時すでにお腹の子は亡くなっていた。
「きっと、俺が笹倉夫婦の立場なら永遠と俺を許さないよなぁ」
次回
第3話〜結論〜




