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再会ー交わる視線、揺れる心

ギルドの訓練場。


夕陽に照らされ、石畳は橙に染まっていた。




そこに現れたのは、息を切らしながらも真っ直ぐ前を見据えるリシアだった。


少し前まで剣を握るのも危うかった彼女が、今は違う。


背筋は伸び、瞳は燃えるように揺るぎない光を宿している。




「リシア……」


思わず声が漏れた。




「ケイタさん!」


振り返った彼女が、小走りで駆け寄ってくる。




近づいた瞬間、互いに気づいた。


ケイタの頬に刻まれた小さな傷。


リシアの指先に残る魔力の焦げ跡。




「……修行、してたんだな」


「はい。地獄の毎日でしたけど……でも、掴めたんです。私にしかできない力を」




胸を張るリシアに、ケイタは笑った。


(ああ、やっぱり……隣に立とうとしてくれてるんだな)




「俺もだ。まだまだだけどな。自分の足で立つために、剣を振り続けてた」




沈黙。


ほんの一瞬だけ、お互いに相手を見つめ合う。


以前よりも確かに近く感じる距離。




「……一緒に頑張りましょう」


リシアが差し出した手は、煤で黒ずんでいた。




ケイタはその手を握り返し、力強く頷いた。


「もちろんだ。俺たちは、もうコンビなんだからな」




夕陽の中で握られた二人の手は、互いの決意を確かめるように熱を帯びていた。




――その時。


「……仲睦まじいこと」




冷ややかで澄んだ声が、背後から差し込んだ。


振り返ると、白銀の髪が夕陽を反射して揺れていた。




「セレイナ……」




彼女は細剣を携え、ゆっくりと歩み寄ってくる。


紅玉の瞳が、真っ直ぐに俺を射抜いた。




「……あなたの“あの速さ”。ただの偶然じゃないわよね」


一歩、距離を詰めてくる。


「もっと知りたいの。次は、私の傍で――その力を見せてもらうわ」




言葉の奥には、ただの好奇心ではない強い熱があった。


探り、踏み込み、確かめようとする意志。




「えっ……」


どう答えていいか分からず、俺は苦笑いを浮かべる。




横でリシアが、ふっと息を呑んだ。


胸の奥にざわめきが広がる。


言葉にできない不安――それは、ケイタを取られるかもしれないという小さな棘だった。




セレイナはその様子に気づいたのか、唇を歪める。


紅玉の瞳がわずかに笑みを帯びた。




――三つの視線が交わる夕暮れ。


その空気は、戦場とは違う意味で張り詰めていた。


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