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宿命の少年たち 〜因果に囚われ、殺し合う〜  作者: 如月
第二章 青年時代・アドル編
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031 VSデッドリィファミリー4

「ぐおおおお!!」

「ふふっ、中々いいじゃない。」


 唸り声をあげたオリバーはエレナに向かって突進していく。リックとの連携など一切考えていない強引なものだが、その勢いは凄まじいものでエレナと力で圧倒している。

 が、力だけではエレナには勝てない。力押ししようとするオリバーに対してエレナは技術による対抗を試みる。オリバーの攻撃の勢いを殺し、受け流す。無防備になった身体に打撃を加える。


「ぐっ、ぎぃいいいい!!」

「もう少し強く行くわよ!!」

「がぁあああああ!!」


 無防備に喰らったオリバーのはずだが、その場に根を張ったように身体を吹き飛ぶことはなかった。

 エレナがテンションを一段階あげて、オリバーに攻撃を加えようとする。そこへ狙ったようにリックの魔法が襲い掛かる。

 先ほどの二倍はあろう程大きな魔法球は寸分違わずエレナの方へと向かっていき、流石のエレナもこれを弾き返そうとは思はない。回避行動をするため一旦オリバーから距離を取ろうとする。


「マデッ……!!」

「なっ……!!」


 が、オリバーに腕を強引に掴まれてエレナは身体を持ち上げられる。そして、魔法球の進路にエレナの身体を持っていく。近づいてくる魔法球を防御しようとエレナは魔力を一か所に集める。

ついに魔法球がエレナに接触するとエレナに衝撃と共に相当なダメージが蓄積する。もし、この時エレナの防御が間に合わなかったら、決着がついていただろう。


「ぐおぉおおおお!!」

「くっ……!!」


 しかし、まだロック兄弟の猛撃は続いている。オリバーはエレナの腕を掴んだまま、エレナを地面へと叩きつけたのだった。

 人外じみた力により叩きつけられたエレナは痛みに顔をしかめ、腕を解かせようと抵抗するが、オリバーはエレナを掴んで離さない。そればかりか再度持ち上げ、また地面へと叩きつける。


「かはっ……!!仕方、ないわね。“リインフォース”。」

「ぐぉおお?」

「良くもやってくれましたわね。」


 エレナは重なるダメージからか血反吐を吐く。そして、幾度も繰り返された地面への叩きつけにより痛む身体に補助魔法をかけた。最高峰の補正値で肉体強度を自己強化する魔法“リインフォース”である。

 その魔法でエレナとオリバーの力関係は再度逆転する。エレナが抵抗しようとしてもびくともしなかったオリバーの腕がエレナの腕から離された。


「ぐ、ぐおおおお!!」

「はぁ~。」

「グワーッ!!」


 力と技術。そのどちらもが勝ってしまえば、勝利はついたも同然である。エレナの攻撃によりオリバーの身体は地面に沈むことになった。

 こうなってしまうのを嫌いエレナは補助魔法を使わないようにしているが、負けて死んでしまえば勝負などということさえ出来ない。追い込まれれば魔法を使うしかなく、これを使って時点でエレナの中では負けたも同然のことだった。


「ぐっ、ぎぃいいいい!!」

「……こんなものかしら。」

「バ、バカナ……。」


 リックが放った魔法はエレナの肉体強度の前に敗れた。肉体強度を上げれば必然、ダメージや衝撃に対しても強くなること。魔法にまで強くなる効果は本来ないはずだが、打たれ強くなるのは確かだ。

 圧倒的な戦力差にリックは呪装具に侵された正気が戻ってくるが、その絶望でついに呪装具に意識を乗っ取られる。

 すると、呪装具により乗っ取られた肉体はその意志に操られ、変貌していく。


「ガ、ガガ、グガガガガ……!!」

「……。」

「ガーーーーーーー!!」


 呪装具はエレナに対応するためリックの身体に黒い鎧をまとわせた。その後、それぞれ属性の違う魔法球を浮かばせて順にエレナに射ち放っていく。

 しかし、その魔法球は一つたりともエレナには当たらない。それは呪装具のコントロールが悪いのではない。ただ、エレナがそれ以上に早く動いているだけである。


「バカナ!!バカナバカナバカナ!!」

「ふんっ!!」

「ガッ……、グギィ!!」


 ついにエレナの拳が呪装具の鎧に打ち付けられる。一度では壊れない攻撃でも、エレナが何度も攻撃するとひびが入り、鎧が欠ける。

 呪装具の修繕スピードを大幅に上回りエレナの攻撃は留まることを知らない。


「終わりね。」


 呪装具はもはや修繕に回せるだけの余力はなく、エレナの攻撃が完全に鎧を打ち砕く。

 そして、エレナは最後の一撃をリックに叩きつけて、完膚なきまでにロック兄弟を下したのだった。




「お疲れ様。」

「……リインフォースを使ってしまったわ。」


 アドルの言葉にエレナは落ち込んだような表情を見せた。


「ははは、あの場面では仕方ないんじゃない?」

「抜け出せる手段がなかったものね。事実上の私の負けね。」

「いや、エレナの勝ちだよ。最初から相手は道具ありきなんだからね。」

「……それでも悔しいわ。」


 落ち込んだ様子のエレナにアドルは微笑みを浮かべて慰めるが、エレナはそれでも悔しそうで、アドルも困ったような表情をする。


「ははは、僕はエレナが無事でよかったよ。」

「……ふふっ、ありがとう。さて、ヘレンを追いましょうか。」

「うん。」


 それもアドルがエレナの無事を喜ぶ言葉を口にすると、曇った顔は晴れていき二人はヘレンを追いかけるために出口から出て行ったのだった。


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