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宿命の少年たち 〜因果に囚われ、殺し合う〜  作者: 如月
第二章 青年時代・アドル編
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030 VSデッドリィファミリー3

「アドル!!ここは私一人に任せてちょうだい。」

「はいはい。分かったよ。」


 エレンは意気揚々と二人の前に立ちふさがった。それをアドルは仕方なさそうに眺めて、壁にもたれかかり、すっかり観戦モードである。


「ふっ、我らに一人でだと?」

「その慢心、我らが打ち砕いてやろう。」

「デッドリィファミリーの幹部が一人、縛鎖のオリバーと。」

「デッドリィファミリーの幹部が一人、連鎖のリック。」

「「そう、我らロック兄弟が!!」」


 ヘレンにしたようにロック兄弟は口上を口にして、一連の流れを再度行った。

 二人の声に合わせて背景でどんと花吹雪が舞う。あと何回花吹雪を舞い上がらせることが出来るのか、はなはだ興味がつかないことだ。


「打ち砕けるものなら、打ち砕いてみなさい。私が相手してあげるわ。」

「ふっ、大言壮語だな。」

「ふっ、我らの力存分に味合わせてやろう。」


 こうしてエレナとロック兄弟の戦闘は始まった。待ちの構えをするエレナにロック兄弟はお得意の足止めと魔法連撃によるコンボをお見舞いする。

 必然、エレナは近づいてくるオリバーの鎖鎌を素手でいなしながら、魔法攻撃を軽やか避けていく。ヘレンと同じ展開へと突入すると思われたその時だ。


「へぇ、いいわね。でも……。」

「ぐはっ……!!」

「兄者……!!」


 エレナはオリバーの鎖鎌を掴むと、逆に自分の方へと引っ張りリックの魔法攻撃の盾にする。

 それと共に飛んでくるオリバーの身体目掛けて拳を振り、あまりの衝撃にオリバーの身体がその場に崩れ落ちだ。


「ふふっ、あなた軽いわね。」

「くそっ……、”エナジーボール”。」


 オリバーがエレナに瞬く間に制圧されると、リックは動揺を浮かばせながらも黄色に光る魔法球をエレナに懸命に飛ばす。


「ていっ。あなたも軽いわよ。」

「嘘、だろっ……!!」

「ほらっ、動揺する前に次があるでしょう。」


 だが、エレナの拳で振り払われてダメージを一切与えることが出来ず、弾き返された魔法球はそのまま壁にぶつかると消滅してしまった。

 その様子にリックは思わず攻撃する手を止めて、信じられないものを見るようにエレナに目線を向ける。


「まっ、ぐはっ……!!」

「動揺する暇があったら魔法を撃たないと、ね。」

「リック!!」

「あら、起きたのね。仕切り直しにしてあげるわ。」


 次の瞬間、リックの目の前にいつの間にか移動したエレナが腰を落とし、リックの腹目掛けて正拳突きを撃ち放つ。

 ズドンと大きな音と共にリックは壁へと突き刺さっており、その身体がずるりと壁を伝って地面に投げ出された。

 悲痛なオリバーの叫びが部屋中に響き渡り、エレナは部屋の中心で好戦的な笑みを浮かべた。


「リック、大丈夫か?」

「ぇ、えぇ。後一撃を貰えばもう倒れてしまうが、なんとか。」


 オリバーはすぐさまリックの方へと駆け寄り、身体を起こすのを手伝う。

 麗しい兄弟愛を見せるロック兄弟とは反対に、エレナは部屋の中心で好戦的な笑みを浮かべて待っている。どちらが悪者か分かったものではない。


「くっ、恐ろしい女だ。我らもリスクを負わねば。」

「まっ、まさか、呪装具を!?」

「ああ、幹部以上は持たされているだろう。」

「……分かった。使おう。」


 ロック兄弟はエレナとの圧倒的な力量差を感じ取っていた。一瞬の攻防で二人がやられたのだ。エレナの力量が凄まじいのは身をもって体感している。

 故にデメリットがあるが強力な効果が多い呪装具でも使わなければ、その差を少しも埋めることが出来ない。


「あら、作戦会議は終わりかしら?」

「ふっ、我らに時間を与えたこと後悔させよう。」

「ふっ、これで我らの勝利は確実だ。」

「へぇ、力量の差は見せつけたはずだけど?」


 エレナの前に二人揃って立ち上がるロック兄弟は懐から黒い靄が出ている指輪と杖を取り出したのだ。


「ぐっ、おぉおおおおおおお!!」

「がっ、ぐがあああああああ!!」

「ふふっ、戦いはこうでなくてはね。」


 指輪を装着したオリバーの身体を黒い靄が覆うと、苦痛の声をあげつつもその身に溢れる全能感にオリバーは酔いしる。

 一方でリックもまた杖から漏れ出る黒い靄に包まれて、杖からささやかれる魔法を撃て、すべてを壊せという声に抵抗しながら、目をぎらつかせてエレナへ目線を向けている。


「リィイイイック!!」

「オリバァアアア!!」

「……これはどうなのかしら?」


 もはやロック兄弟の二人の中には会話もない。ただ、エレナという目の前の敵を打ち倒すことだけが思考を支配している。

 そんなロック兄弟にエレナは若干引き気味ではあるものの、臨戦態勢に移行してロック兄弟の出方を伺った。


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