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宿命の少年たち 〜因果に囚われ、殺し合う〜  作者: 如月
第二章 青年時代・アドル編
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009 道中の村にて

 王都への道中。アドル一行が街道を進んでいると、何かが焦げ付いたような匂いが辺りを充満しだした。

 その異臭にアドル一行は顔をあげると次の村がある位置が轟々と燃えており、なにかしらの事件が起きていることは想像に難くなかった。それを確認したアドル一行の斥候を担当するライネが先行して森へと走っていく。


「皆もライネについていこう!!」

「ええ、そうね!!プリマとヘレンは後からついてきて頂戴。」

「分かりました。」

「へ~い。先行はお任せしますねぇ。」


 ライネが斥候を出ている間も状況は刻一刻と変化していく。状況が悪くならに内に対処をするため、アドルとエレナの二人はライネに続いてすぐさま駆けていく。

 回復兼補助要員のプリマはその護衛、ヘレンとさらにその後を追っていく。人員がばらけるのはいいこととは言えないが、プリマが落とされるのが一行にとって痛手である。故のこの対応である。


「ライネ、状況は!!」

「山賊が村を襲撃中。敵影8。いずれも前衛。」

「分かった。エレナ、後ろから襲撃する!!ライネはその補助を頼んだ!!」


 ライネに追いついた二人は村の様子を見て顔をしかめた。村の状況は見るからに悪く、家に火を付けられ、地面に横たわり息を引き取っている男が二、三人と見える。

 その村に火をつけているのは薄汚い格好をしながらも、急所に防具を身に着けた集団である。下種な笑いを浮かべながら村人を追いかけているのを見るに、この者どもが悪人なのは間違えないだろう。


「任せなさい。」

「分かった。」


 アドルの指示に二人は頷きを返すと、一行はまとまって行動を開始する。




 黒い渦から直剣を取り出したアドルはその身に怒りと共に魔力を漲らせて、山賊たちの後方より奇襲をかけた。急所を守っていると言え、質の悪い防具である。大した効果はなく山賊ごとアドルの剣によって斬られる。

 それに続くようにエレナも別の山賊を殴り飛ばす。殴り飛ばされた山賊の防具は拳型に凹みが作られており、当然その衝撃を受けた山賊は二度と立ち上がることはない。


「な、なんだ、てめぇら!!」

「敵襲だ!!仲間をやりやがった!!」


 虚を突かれた山賊たちは足踏みをそろえる様子もなく、浮足立ったままアドルとエレナの方へのしのしと走っていく。

 そんな山賊たちはアドル達三名にとっては敵にもならない。まず、ライネが短弓に矢を番えて射ち放つと、ひゅっと風を切る音と共に矢が空中を走り、山賊の一人の目にずぶりと突き刺さった。

 そして、アドルとエレナに大ぶりで剣を振り上げた山賊たちはと言うと、隙だらけの身体に剣と拳を突き刺されたのだった。


「つ、強いぞ!!」

「に、逃げろ!!」

「ライネ!!」

「ん。」


 瞬く間に二人と三人をやられた山賊たちはその場から背を向けて走り出す。その後ろをライネは短弓で狙いを定めると、次の瞬間には足に矢が突き刺さっており、勢い余ってその場に転がり倒れた。

 先頭を走っていた山賊が倒れるとその後ろを走っていた山賊は恐怖から、ひゅっと喉から声にもならない声を漏らした。そして、涙を目に浮かべながら必死に逃げていく。


「いっ、痛てぇよ~。た、助けてくれ。」

「「ひっ……!!」」


 痛い痛いと叫びながら地面を転がる山賊たちを尻目にアドル達は逃げていく山賊を追いかけていく。

 必死の形相で逃げている山賊であるが、しかし、アドル達との距離は縮まっていく一方である。


「ライネはそいつを頼んだよ。聞きたいことがあるから、よろしくね。」

「ん。任せて。」


 転がる山賊をライネに任せたアドルはぐんっと加速して、逃げる山賊に追いつくとその背を切り伏せた。

 十分に手加減されたそれにより、山賊たちの命は助かったがもはや走る気力もないようで、痛い痛いとその場で泣きじゃくるだけだった。

 だが、これ以上の苦しみが待つ山賊たちはそのことに気が付いているのだろうか。


「エレナ。プリマを呼んでくれる?」

「分かったわ。」


 こうして、村を襲っている山賊を仕留めたアイン一行であった。




 アイン一行が一堂に集合すると、そこには縄で縛られた山賊たちの姿もあった。

 もう痛いと叫んでいることはないのは、プリマの回復魔法によるものだ。だが、その顔色は決して良くない。ようやく自身の今後の処遇について思い至ったのだろう。青白い顔でガタガタと歯を打ち鳴らしながら、アドル達の顔を伺っている。


「ふふふ。山賊を捕まえたのですか。」

「うん。根城を特定したいとね。」

「流石ですね。ここからは私たちにお任せください。」


 山賊たちはこれから自身の根城を吐くまで拷問を受ける。それも回復魔法が使えるプリマ付きである。肉体的な痛みを加えられながらも、絶対に死ねない恐怖は想像を絶するものだろう。

 根城を言っても地獄。言わずとも地獄。果たして山賊たちはどれだけ持ちこたえられるだろうか。プリマの美しい微笑みを見るにそう長いこと持ちこたえられはしないだろう。


「う、うん。……お手柔らかにね。」

「ふふふ。善処いたします。」

「……。」


 にこにこと笑みを浮かべるプリマをアドルは若干引き気味な様子で見送ったのだった。


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