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2人の殿下

 交流会から1ヶ月。自宅で王国コメンテーター科の仕事をしていると、開いていた窓から一羽の白い文鳥が入ってきた。文鳥は自分の足を上げてわたしに運んできた手紙を見せる。わたしが手紙を読んでその内容に顔を歪めていくのを、文鳥はじーっと見ていた。内容はこうだ。交流会でわたしがレナードと剣を交えていた時、隣国、マリサリア皇国の皇太子殿下の側近がそれを見ていて。これはすごいと思い、自分のご主人様に報告し。殿下自らもお忍びでボルサーを訪ね。わたしを見て、えらく気に入ったそうな。そして、わたしを自分の婚約者に据えたいと。冗談じゃない。同封されていた肖像画に描かれている金髪赤目の殿下からは人を見下しているような雰囲気が漂っている。こんな人の婚約者になんてなるもんか。この文鳥はくれるらしいからもらっておくけど、絶対に承諾しない。こんなの、リクートお兄様の目に入れたら大激怒するわ。そう思ったわたしは無視することを決め、手紙を破り捨てる。そして、宿題に戻ろうとすると、今度はセキセイインコが窓から入ってきた。その足にも手紙が。わたしがそれを読み、再び顔を歪めていくのを、文鳥とインコの可愛いコンビがじーっと見ている。こっちの手紙はマーリクト殿下からだった。内容は「もう一度婚約者になってくれ」。けど、仮にわたしがOKしたところでリクートお兄様が相手だから、多分無理。まあ、そもそもわたしが許可するつもりはない。わたしはそちらの手紙も破り捨てる。すると文鳥とインコは姿を変えていく。文鳥の方はさっき肖像画に描かれていた男性に、インコの方はわたしがかつて長らく熱愛していた男性に。わたしが二人ー我が国の王太子殿下であるマーリクト殿下と、隣国の皇太子殿下っであるアレックス殿下に礼を執ると、二人はわたしに微笑んだ後互いを睨み付ける。

「これはこれは、マーリクト殿下ではないか。ミリア嬢の()婚約者の」

先に口を開いたのはアレックス殿下。次に口を開いたのはマーリクト殿下。って当たり前か。

「はい。お久しぶりですね、アレックス殿下。かつてミリアのお母上を愛していらした」

「は?」

マーリクト殿下の言葉に、わたしは思わず声を上げてしまい、慌てて口を押さえた。咳払いをした後、改めて声を発する。

「失礼を。その、わたしの母を、アレックス殿下が愛していらっしゃったというのは……?」

わたしが生まれたのは晩年の35歳の時。お母様がもし今生きていらっしゃったら52歳ということになる。対するアレックス殿下は現在37歳。なぜまだ皇位に就いていないのかはまた今度。年齢差は実に15歳。いや、恋愛に年は関係ないけど、その年齢の差から考えるとお母様はお父様と結婚していらっしゃるはずだし、なんならリクートお兄様もいたはずだ。だからこの質問をしたんだけど、当のアレックス殿下の顔は真っ青で、ボロボロと涙を流している。

「嘘だろう?アリア、君は私に嘘をついたのか……?」

アリアというのはお母様の名前だ。そこまで知ってるんだ。わたしが感心していると、アレックス殿下は語り始めた。

「我が国に旅行に来ていた君は、皇宮に滞在して私の相手をしてくれただろう?それで、大好きだと言ってくれたじゃないか。夫と子供がいるなんて、言われなかった!そうか、ミリア嬢、君はアリアの娘だったのか。もう、かくなる上は君と添い遂げよう!」

涙を溢し続けるアレックス殿下は、わたしの手を取って、口付けようとした。そこへ、ノックの音がして、お兄様が入ってきた。あっ、うん、この二人、終わった。わたしがそう考えてしまうほど、わたしの部屋の中を見渡したお兄様からは殺気が溢れ出ていた。

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