エピローグ
妊娠中期に入ったルナ。
安定期に入ったので、自身の妊娠を国全体に公表した。
それにより、ナルフェック王国全体がお祝いムードになっていた。
女王としての仕事も出来る範囲でやっているが、シャルルを始めとする周囲にも頼っている。
「ルナ、何か表情が明るくなったね」
キトリーがヘーゼルの目を嬉しそうに細める。
現在は休憩中なので、キトリーには砕けた態度を許しているルナである。
「……そうかもしれないわね」
ルナは品良く微笑む。
相変わらず相手に考えを読ませないミステリアスさはあるが、憑き物が落ちたような雰囲気である。
「今まではもしかしたらマタニティブルーだったのかもしれないね。妊娠初期はホルモンバランスの影響で色々あるからさ。中には過去のトラウマを思い出す人もいるみたいだし。でも、そういうのを甘く見たらいけないよ」
さっぱりと笑うキトリー。しかしヘーゼルの目は真剣そのものである。
「そうね。だけど……良い結果を生み出せたわ」
ルナは窓の外に目を向けた。
穏やかな天気である。
自身の不安や過去の選択を包み込んでくれたシャルル。
(私も、親になるのね)
穏やかな表情で、ルナは少し大きくなり始めたお腹に触れた。
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その後、シャルルと共に王宮の薔薇園をゆっくりと歩いていた時のこと。
冬であるにも関わらず、品種改良した薔薇が咲き誇っている。
「あ……」
ルナは立ち止まる。
「ルナ様、どうかしましたか?」
シャルルは少し心配そうに覗き込む。
「今、子供が動きましたわ。お腹を軽く蹴られた感覚がありました」
ルナは自身の腹部に触れる。
「僕にも触らせていただけますか?」
「ええ、どうぞ」
ルナはそっと自身の手を腹部から離した。
するとシャルルが優しく宝物に触れるかのように、ルナの腹部に手を持って来た。
サファイアの目は、愛おしそうにルナとお腹の中の子を交互に見る。
シャルルの大きな手が、ルナの腹部をそっと撫でる。
すると、ピクリと反応があった。
「動きましたね」
シャルルは嬉しそうにサファイアの目を細めた。
「ええ」
ルナも、嬉しそうにアメジストの目を細めるのであった。
数ヶ月後、年が明けてもうすっかり春になっていた。
王宮の一室で、元気な産声が響き渡った。
ルナは無事に男児を出産したのである。
無事に出産を終えたルナは、ずっと側にいてくれたシャルルと共に、生まれて来た子供を愛おしげに見つめている。
月の光に染まったようなプラチナブロンドの髪に、アメジストのような紫の目の男児である。
(これからは、シャルル様とこの子と共に……)
ルナは晴れやかな表情である。
アメジストの目は真っ直ぐ未来を見据えていた。
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