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貴方という光  作者: 宝月 蓮
本編

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3/7

ルナの過去

(初めて政敵を死に追いやったのは……即位して間もない頃だったかしら……?)

 ルナは浅く乱れた呼吸を整えて、ゆっくりと思い出していた。






♚ ♕ ♛ ♔ ♚ ♕ ♛ ♔






 海難事故により、ルナの両親である先代国王夫妻が亡くなった。

 当時ルナはまだ成人(デビュタント)したばかりの十五歳。

 わずか十五歳で女王として即位することになったのだ。

 当然、まだ若いルナを侮る貴族も存在した。

(もっと小柄で愛らしい見た目なら、弱さを武器に戦えたのだけど……)

 ルナは鏡に映る自分を客観的に見つめていた。


 ロベール王家の証である、月の光に染まったようなプラチナブロンドの長い髪にアメジストのような紫の目。そして女性どころか並の男性よりも高い身長、可愛らしいというより彫刻や美術品のように神々しい顔立ち。


 もしルナが想像したようなか弱そうな見た目であったならば、相手もルナを分かりやすく侮り、更にポロリと機密情報などを目の前で漏らしてくれていたかもしれない。

 人は自分よりも格下だと見做した相手の前では気が緩み、うっかり重要情報を漏らしやすいのだ。

 しかし、その戦術はルナには使えない。

 若過ぎる(ゆえ)に侮られることはあっても、格下扱いはされず政敵も気を張ってしまうのだ。


(チェスやポーカーと同じだわ。今持っている駒やカードで戦わないといけない。長きに渡って続いているナルフェック王国を、ロベール王家を、(わたくし)の代で終わらせるわけにはいかないわ)

 両親の死を悲しむ暇がなく、国の頂点に立つ者として隙を見せず気を張って行くしかないルナであった。

(大丈夫、(わたくし)なら出来るわ)

 ルナは品が良く、考えを悟らせないようなミステリアスな笑みを浮かべた。






♚ ♕ ♛ ♔ ♚ ♕ ♛ ♔






「女王陛下、いくら何でも民の税金を低くするだなんて」

「民への負担を減らすことで、民の生活を楽にすることが出来ますわ。民が富めば、国が富む。長い目で見たら、貴方も富を得ることになりますわよ、ガスパール」

 ルナが話している相手はデュノワ伯爵家当主のガスパール。

 ルナの政敵の一人である。

 彼はルナの減税政策に反対し、あわよくば自身が王の座に就こうとしているのだ。

 ルナとしては、貴族からのクーデターも厄介ではあるが、ナルフェック王国内の貴族であれば掌握は可能。貴族以上に数の多い平民の方が厄介であった。平民に集結され革命でも起こされたらたまったものではないのである。

「ですが」

「あら、ガスパールは待つことが出来ないのですね。この前訪問した孤児院の子供達ですら、待つことが出来ましたのに」

 ミステリアスな笑みでルナはガスパールを挑発する。

 もちろんわざとである。

 こう言えばガスパールが一旦引くことが分かっていたのだ。

「……もちろん、長い目で見て待つことが出来ますとも。孤児ごときですら出来ることが、この私に出来ないわけがありませんから」

 ガスパールは悔しげにそう答えるのであった。

(ガスパールがこの国の膿であることには間違いないわ。でも、放置しておいて自然治癒で治るのか、それとも……()()()()()が必要なのか……どうなるのかある意味楽しみね)

 ルナは内心冷たくほくそ笑んだ。


 その後、ガスパールはルナへの反逆を目論んだが、行動を起こす前に証拠が見つかり投獄された。そして見せしめとして一族連座で公開処刑されたのである。


 ある意味ルナが間接的にガスパールを死へと追い込んだのだ。


 更にルナがやったのはそれだけではない。

 自身が育てた諜報部隊を使い、政敵の元へ潜入させた。

 そして諜報部隊には、政敵同士いがみ合い、足の引っ張り合いや衝突するように情報を操作させた。

 するとルナの思惑通り、政敵達は互いに争いを始めた。その後、内乱を起こそうとしたという罪で投獄し、そのまま処刑へ持って行ったのだ。

 自滅するよう追い込んだ政敵はかなりの数になった。


 そして、諜報部隊を使い、他国を滅ぼした後に自国へ編入させるということもしていた。その際、その土地で流れた血は数知れず。






♚ ♕ ♛ ♔ ♚ ♕ ♛ ♔






(政敵は仕方がなかったとは言え……連座で彼らの家族の命まで奪ってしまったわ……。政敵同士の争いで犠牲になった民達もいた。直接ではないけれど、何の罪もない民達まで(わたくし)は……!)

 改めて、自分がやってきたことの悍ましさに気付いたルナ。

(シャルル様……)

 ルナは隣で穏やかに眠るシャルルに目を向ける。

 ルナにとって、シャルルの存在は太陽のように眩しく見えた。

(新たな命を育もうと、親になろうと前を向いているシャルル様。だけど(わたくし)は……)

 ルナはそっと自身の腹部に触れ、人知れず一筋の涙を流すのであった。

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その後のルナとシャルルはこちらをご覧ください→『あなたの瞳に映る花火』
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