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#39 辰巳虎次郎の日記 #4

辰巳虎次郎(たつみこじろう)30歳 #4


記録の続き。


36人で王都まわりの魔獣狩りを再開してから1カ月くらいでほとんどの魔獣を退治した。


魔獣にやられなかった鹿やイノシシを時々見るくらいになると、「これなら兵が出なくても村のハンターで大丈夫」と言われた。その間も特に休日や訓練の日を使って常識のすり合わせは続けた。

一緒に行動する30人の兵たちも、いろいろと教えてくれるようになった。行軍中に重宝する『虫よけの魔法』とか、頭痛や腹痛、筋肉痛には痛みを和らげるのではなくて治すイメージで魔力を練ると良い、とか。基本は『ヒール』と唱えて使う魔法と同じらしいのだけど、兵たちはそれが他人には使えなくて自分なら効果がある、って人がほとんどなんだとか。聖女のファビオラに聞くと『それで合っている』そうだ。知ってるなら教えてくれればいいのに、と言ったら『瑠海(るみ)には教えたから知っていると思っていた』と答えられた。俺だけ知らなかった、俺だけ。俺だけ。


この先は拠点を王城から近隣の町や村に移しつつ、同じように魔獣をくちくしていくそうだ。

それでいいのか?と少し引っかかったので、以前見せてもらった地図をもう一度見た。皆で地図を見ながら


「これを続けていて間に合うのか?」


と聞くと、私と瑠海以外は苦い顔をした。間に合わないのだと分かった。

すると瑠海がとんでもないことを言い出した。


「虫よけの魔法って、イメージでちゃんと虫が寄ってこなくなるわよね。魔獣限定で退治したり弱らせることって出来ないの?」


いやいや、虫と魔獣は比べられないでしょ、とか。出来るとしてもどれだけの魔力が必要になるか想像できない、とか。その他もろもろの意見を聞いてから瑠海が言った。


「虫よけの魔法って、身体強化以外に魔力を使えないくらい少ない魔力量の兵隊さんでも出来てるよね。その兵隊さんと比べたら悪いかもしれないけど私たち6人の魔力量って合わせたらすごいんじゃないの?」


瑠海以外は皆「効果があるのかなあ?」と疑問に思いつつも口には出さず、でもこのまま多くの人がぎせいになった後に町や村を開放できても意味が無いことはわかっているので、このまま進めながら何でも試してみよう、と30人の兵に周りをけいかいしてもらいながら6人で『周囲、半径1キロメートル範囲の魔獣限定で弱らせる魔法』を試してみた。


結果、うまくいった。

皆、わけがわからないといった表情をしていたが、瑠海だけドヤってた。

魔法を発動した位置かららせん状にぐるぐると円を大きくしながら移動すると、中心から半径300メートルくらいのあたりから倒れて動けなくなった魔獣が見つかりだして、兵たちが始末しながら進むとだいたい半径1キロメートルくらいまで効果があった。


その後2回、1日で3回試して全てうまくいった。

今までの悩みは?と思う結果だったけど、ルイ王子からは「二人の魔力量がぼうだいなことが大きな理由のはずだ」と言われた。そうであれば、結局これが出来るのは私たちだけでスピードアップにならないのかと聞くと魔法使いのヴィレリオ・ケンドリックが「いや、いけるぞ」と言った。


「私たちが王都周辺の魔獣をたおしたから、しばらく休めている多くの兵がいる。少しずつ全方向に復帰してもらう予定だったがそちらはローテーションでしのいでもらって、100人の中隊単位で私たちの魔法発動後の後始末をしてもらえれば、私たちは移動しつつ魔力回復して、を繰り返せる。半径1キロメートルももっと増やせるかもしれない。」


少し打ち合わせをしてからルイ王子は兵10人を連れて王城に向かった。

王や王の側近たちに方針を伝え、兵のへんせいをする係りに方針を指示し、二個中隊を連れて4日後に戻って来た。魔獣をしとめた中隊はそれを王都やきんりんの街や村に運び、こちらも休めるペースで新しい中隊がどんどんやって来る。町や村をきょてんにしながらケガ人もほとんどなく流れ作業になった。


ちょうど王のちょっかつ地を回り終えるころ、西のシャムーコリ州というところからキュウエン要請が来た。王都から直接シャムーコリ州に向かうには深い森を抜けてちょっとした山を越え、更に森を抜ける必要があるので魔獣が増えだした2年前から直接のやり取りが途絶えていた。

シャムーコリ州の南にあるケンドリック州からの報告でしか知れなかったらしいが、それによると2年前までもシャムーコリ州の北に大きく広がる森から魔獣のあふれる量が増えていたので、とうばつした魔獣の毛皮など、加工品の量産体制を整えていた。その頃はまだ『商品が増えた』と喜んでいたらしい。ところが予想以上に魔獣が増えてきて、防衛最優先にシフトしてなんとか小さな村もぎせいにしないよう立ち回ることで商売どころではなくなってきた。

ケンドリック州にとってはシャムーコリ州が防衛線でもあるので、ケンドリック州の穀物とシャムーコリ州の魔獣の加工品や肉との交換で支援していた。

その防衛線がいよいよきびしくなってのキュウエン要請だとか。それは飛竜10頭ずつを王都とケンドリック州の州都に飛ばしたものだった。


私たちはシャムーコリ州に向かいながら、途中の森と山の魔獣をトウバツすべく進みだした。

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