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#35 お別れと質問攻め

帰り際のマルティーノは面白かった。


「マジックを見たかった。まだベルヴェルート先生に謝れていないぞ。ん?帰れば魔法の練習が出来る?え?帰るとベルヴェルート先生とベルンハルトとディーシャとマリサと会えないのか?ぼくはどうすればいいのだ。」


帰るんだよ、君の父上であるシモーネ・ケンドリック様が「帰る」って言ってるんだからしょうがないじゃんか。でもマルティーノがぼくらと離れるのを寂しいと思ってくれているなら複雑だけどちょっと嬉しいな。

ベルヴェルート叔父さんは気にしてないと思うよ。普通の人相手だとあのウィンドカッターもどきは殺人未遂だけど。ケンドリック公爵からは随分怒られて「次に言うことを聞かなければ魔法は禁止だ」って言われたそうだから、もう無茶はしないだろ。

叔父さんがやってた『刀で攻撃魔法を切る』やつ、早く教えて欲しいな。叔父さんが魔法で防ぐんじゃなくて刀を抜いたのは意味があるはずなんだよなぁ。


キーストラの街5日目の、野盗の襲撃を受けた日は夕食では集まらなかった。

翌日の朝食後に集まってキーストラの街の守備隊長から報告を受けた。


「捕らえた襲撃者は25人ですが、20人と5人は別のグループのようです。20人のグループは数人の残党が居ます。5人はまだ不明です。取り調べと調査は継続中です。」


まだ危険人物は居るってことだよね。襲撃から叔父さんを見てないから調査で動いてるんだろうな。

そんな状況だから、6日目は屋敷でのんびり過ごして終わった。

7日目の朝、ケンドリック侯爵とマルティーノの見送りで貴族用の東門に来ての、興奮して混乱しているマルティーノだ。


「マルティーノ、また一緒に魔法の練習をしましょう。」


「そうだなディーシャ、また練習しよう。ベルンハルトもマリサもな。」


ディーシャは別れの挨拶かな。マルティーノはもうディーシャと会えないかもってわかってない気がするけど、これ以上混乱させられないから余計なことは言えないな。


「新しい魔法を練習しておくよ」


「わたしも!また一緒に練習しようね!」


東門が開くと外にはケンドリック家の兵が整列していた。門の近くに10人、遠くには20人くらいいるのかな。遠くに多くの兵が控えるのは貴族の作法か何かかな。今度、聞いてみよう。


ケンドリック家の馬車はゆっくりと動き出した。

マルティーノ、魔法の練習は始めたばかりで練習したがってたから上手くなるんだろうな。

馬車がかなり遠くに行ってから、ゆっくりと東門は閉められた。


「行っちゃったね、マルティーノ。次はいつ来るのかな。」


マリサは少し寂しそうだ。すると父上が言った。


「マリサ、今度は私たちがケンドリック城に行こう。」


マリサが目を輝かせて「絶対行く!いつ?」と聞いている後ろで今度はディーシャが少し悲しそうな顔をした。


「ディーシャさんも一緒に行こう。タツミ領以外のエイバラーン王国を見るのも勉強になりますよ。しばらく先になりますけどね。」


父上がそう言うと、ディーシャは父上とアレックス様を交互に見てからいつもの素敵な笑顔に戻った。しばらく先って、そろそろディーシャたちは帰るんだからまたエイバラーン王国に来る話でもあるのかな?


ぼくらも一休みしてからベサイブに向かう馬車に乗った。

途中のイエゥボ村で昼食かな。それはいいんだけど。


なぜ、ぼくだけナーバダ公爵家ご一行の馬車に乗せられたのかな?

正面にディーシャが座ってニコニコしているのは幸せだ、それは良い。ぼくの右に座るアレックス様の圧がスゴいんですけど。なんだろう、この圧。ディーシャの隣に座ってるプリヤ様もディーシャと同じくらいニコニコ顔なのがすごく気になる。

変な緊張感があっていつものようにしゃべれないんですけど。


「ベルンハルトくんは生活を便利にする魔法が好きなの?」


プリヤさんから普通に質問されただけなのに狭い馬車の中でこの4人だと普通にしゃべる自信が無い。けどがんばるしかない。


「はい。ぼくは荒事が苦手なので自分からは関わりたくないんです。貴族だとそうも言っていられないらしいですけど。タツミ領は魔法使いが多くて魔道具の研究も盛んです。そんな領内の魔法使いや魔道具士と話しているととても楽しいのです。新しく便利な魔法や魔道具が出来れば領民の生活も豊かになります。なので普段の生活が便利になる魔法を教えてもらったり自分で考えたりしている時間がとても幸せなのです。」


あー、緊張して一気にしゃべったけど変なこと言わなかったかな。ディーシャとプリヤさんはニコニコしてるから大丈夫っぽいな。


「領民の生活向上が趣味の延長にあるのは貴族として幸せなことだな。足も速くて運動も出来るようだが勉強はしているのかな?」


なんだか面接を受けている気分になってきたぞ。


「家にある本は読んでいますが、タツミ家では専属の家庭教師はつきません。エイバラーン王国の多くの貴族は5才くらいから家庭教師がいるらしいですが。ただ普段から領民も含めたまわりの大人がいろいろ教えてくれるので、再来年の小学校入学までにはタツミ領以外の文化や歴史が不足するくらいでだいたい中学校の内容は理解していると思います。兄上もそうでした。」


プリヤさんがちょっと驚いてるな。でも造船村のユージやシェイラもぼくと変わらないんだよね。よその貴族は違うのかな。あとで父上か母上に聞いてみよう。


「じゃあ小学校に行かなくても問題無いのかな?」


「いえ、小学校には行きます。今、兄上が通学していますが、学校で集団でこそ学べることや、それを友人たちと体験できること、それらが楽しいだけでなく屋敷で家庭教師の先生から教えてもらうだけでは経験できない、と聞いています。兄上はとても楽しそうに教えてくれるのです。」


それからはひたすら質問攻めだったので、イエゥボ村で昼食後に家族と同じ馬車に乗った瞬間、爆睡した。つかれた。

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