表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/44

#30 野盗の生き残り

北部の商隊を襲って皆殺しにした。

商人と護衛の冒険者でちょうど20人。20人分の身分証が手に入った。今、俺たちは24人。随分、減っちまった。50人以上いたのにな。

農場の放火に行った手下どもは、はじめの何回かは成功したがすぐにほとんどが捕まった。捕まったと聞いていないやつらも戻ってこない。

村を襲った時は10人やられた。村に兵は二人いたがヤツらと村人ごときに10人も。その後、勝手に山に入ったやつらも10人くらいいなくなった。


24人になったところで良い知らせが入った。

「キーストラの街に貴族が来る。そのうちの1人誰でもいいから()れば賞金を出す。貴族ならガキでもいい。」

なかなかの大金だ。ガキ1人でもいいのか。


あのグループの仕事は時々やっていた。

規模が小さい仕事の割には金がよかったからな。

今回は、規模がでかかった。でかすぎた。俺たちには釣り合わない仕事だったと今なら思う。だが飛びついて手下どもを大量に減らした。まあ、北部に行けばいくらでも雇える。「メシ、食わしてやるぞ」と声を掛ければついてくるヤツらはいくらでもいる。


今回、ガキひとり()ったら少しの間、北部に潜ろう。

オレとデックが生き延びればいくらでもやりなおせるからな。何人かは自力でこの街を出られれば連れて行ってやってもいいが。


キーストラの街。

『タツミの陸の玄関口』だけあって、全員の身分証が無ければ入れない。20人は商隊として、俺たち4人は冒険者として商隊とは別口で街に入る。

襲った商隊がこの街を超えたタツミ領での通行証を持っていなかったから、20人は「キーストラの街で出来るだけ売買したい。あとは骨休め。」と理由付けして街の門をくぐった。俺たち4人は元々持っていた冒険者のランクカードで入った。


安宿(やすやど)もあるが数が少ないようで目立つかもしれない。高級過ぎない宿に入った。宿の者に聞くと、「安宿は主にはじめてこの街に来た劇場の出場希望者が多く泊まっている」そうだ。その希望者も、採用されれば出演者に準備された住居に移れるらしい。


街を見に行っていたデックが宿に戻って来た。


「どうだ?」


「俺たちがいたスラムとは真逆の浮かれた街だ。(かね)が乱れ飛んでるよ。そこら中に兵士が居るが金属の鎧じゃなくて革鎧だからか、客で街に入ってる冒険者とは良く見ないと見分けがつかねぇな。」


だいたい、偉い貴族や大きな町の護衛は金属の鎧を身に着けている場合が多い。


「よう、コニャック。今回の仕事な、確かにケンドリックの親子が城から出たこのタイミングがいいのはわかるけどよ、こんだけ兵士がごろごろ居る街で出来んのかよ。」


俺たちはガキの頃のスラムからつるんでいるが、いつまでたってもデックはイケイケなのかビビリなのかがわからねぇ。どっちのスイッチも有るんだよな。


「俺たち二人はいつものように後ろから見てりゃぁいいんだよ。ビビんな。それに俺たちだけじゃねぇ。別口(べつくち)も入ってるらしいからな。そいつらがやったとしても先に戻って『俺たちがやった』って報告して(かね)を貰っちまえば勝ちだ。」


「そうかも知れねぇけどよ、なんかなぁ。今までもデカい商隊とか村くらいは襲ったけどよ。ここはなんか違うんだよ。空気がヤベぇんだって。」


コイツの言うことを聞いて助かったことは何度かあった。


「わかったわかった。もう街に入っちまったんだ。さっきも言ったが俺たちは見てるだけだ、いいな?。それにお貴族様は1週間いるんだ。6日の内のいつ動くか決めるのは俺たちだ。別口は俺たちの騒ぎに合わせて動くはずだから勝手にやらせときゃいい。」


なぜかは知らないが、ケンドリックの親子はこの街に1週間留まるらしいと仕事を振って来たヤツが言っていた。「その間に動けばいいだろ?」なんて言ってやがった。「別口が動く」ってのもそいつの話だ。別口の件はどういうつもりで俺に教えたのかもわからないが、せいぜい利用させてもらう。


「しょうがねぇな、お前について来て面白おかしく生きてきたんだ。明日は街を好きに歩いて楽しませてもらうよ。」


デックはやっと腹を決めたようだ。こいつは1度落ち着けば仕事は出来る。


「ところでよ、デック。俺が宿で寝ていた間に見てきた街の様子を教えてくれねぇか。」


「ああ、兵士とかの街の守りの話で無くて遊ぶ場所ってことだな。

 街は思ってたより広いぞ。馬車用の道が2つあってな、街の東側の端っこが貴族用で西側の端っこが商人用だ。ここは一般客が入れねぇから話で聞いただけだがな。入口近くにはこの街だけで商売する商人用のエリアがある。街の南側に倉庫がかなりあるらしいが、そっちはタツミ御用達とかしか入れないらしい。

 でな、俺たちがいるエリアは商店や露店、劇場がいっぱいあって賑わっていてここが一つの街のように区切られてる。劇場の演者が住むエリアさえ身分証を見せて通っていたな。」


「なんだ、結局街の守りが固いって話に戻ってるじゃねぇか。」


「しょうがねぇだろ?それを調べてたんだから。とにかく明日は街をふらついてみりゃぁ分かんだろ?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ