表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/44

#11 砂浜に行こう

翌日。

朝から獣医のトースガー先生が来てくれて、


「もう体調は落ち着いてるよ。むしろずっと室内だからときどき庭に出して日光浴させてあげてね」と。


するとユージが、リヤカーに乗せて海に行こう、と言い出した。

これからここで暮らすなら海を知れ、狼たちよ、とか言ってる。

かっこいい風に言ってるけど全く意味がわからない。


理由はどうでもいいけど目的はいいな、とユージを除く3人で海行きを決めた。


シェイラがスペシャルリヤカーを引いてきた。


馬車を改良するアイデアが出ると、技術街の職人と魔道具職人がコラボして試作品をリヤカーで作る。

車輪のベアリング、タイヤの調整、全ての補強と軽量化、さまざまなサスペンション、試作のブレーキ。もちろん全てがイコールにはならないけれど、リヤカーなら「試して課題を潰して」が安く早く出来る。


本体の横に「快適くん23号」と書いてある。

最新のゴムタイヤと板バネとスプリングとゴムブッシュを組み合わせたサスペンション。

目玉はモーター駆動にシャフトドライブ。モーターは魔石の魔力で動く。


。。。いや、これって3輪スクーターをつくろうとしてる試作品だから最高機密だろ。

他国のディーシャと、ディーシャの護衛のユニカさんに見せるの、マズいじゃんか。

ユージ、シェイラを止めろって。


「ディーシャ、これは世界一のリヤカーなのよ!」


シェイラがぶっちゃけた。もう知らない、止まらない。

「自動で動く」とアクセルの説明を始めた。

「快適くん23号」のアクセルはレバー式で、握るとゆっくり動き出してぼくら子どもが歩く速度でスピードはキープ。制限重量以内なら道に勾配があってもスピードは一定で、レバーを離すとゆっくり止まる。

2年前、ぼくが一人の魔道具職人と話しているときに


「せっかく船のプロペラを回すモーター技術があるんだから、こんな乗り物、作れない?」


と、「出前用3輪スクーター」のイメージスケッチと、ドライブシャフト、アクセル制御のイメージを伝えたら彼女の職人魂に火がついてしまった。

企画書を通して予算を獲得した。

制限重量とスピードキープの問題は、この「23号」でほぼクリアしているらしく、先月会ったときには


「いよいよベルンハルト様のスクーター試作1号を作りますよ」


と燃えていた。亀並みスピードとは言え、前輪とハンドル制御のバランスをとるのは大変だろうと思う。しかし、彼女が頑張ってくれれば数年後には、3輪スクーターを進化させて2輪のモーターサイクルも夢ではないのだ!乗ってみたいのだ!


って、脱線して妄想してたら置いて行かれそうになった。



一応、安全を考えて、リヤカーの前にぼくの護衛のデカーン、リヤカーの後ろにディーシャの護衛のユニカさん、リヤカーの引手はユージ、ぼくはリヤカーに乗って非常時に子狼2匹を抱えて飛び降りる係り、ディーシャとシェイラは安全なリヤカーの横を歩く。


スクーター試作のためのリヤカーなので、耐荷重は200kg。スクーターにした時、人が100kgで荷物が100kgの想定だ。普段は250kgの重りを載せて試運転しているらしい。


「これ、売り出したら世界中でヒットするんじゃないですか?たぶん、我が主アレックス様も

 興味を持つと思います」


「ユニカさん、これ、うちの領内だから使えるんですよ。

 もし売るとしたら各国の王都か、整備されている州都などの道路事情が良い街ですね。」


今、言った以外の場所はでこぼこで幅もまちまちな道路が当たり前。

きっとモーターのトルク制御が劣悪な道路にはまだ対応できないレベルだと思うんだよな。


ここ、タツミ領は何もない山を切り開くことからはじまった。

100年で道路を整備する。街道は大型の馬車がすれ違う幅を確保、街や村も、道路と建物の配置とか考えた、等々の、初代様の「道路100年計画書」も残っている。


ユニカさんは「残念です」と言った後「欲しかった」とつぶやいた。




造船村の海岸は、平地のちょうど真ん中あたりで溶岩がかたまったような仕切りがあって、南側が砂浜、北側には陸地と海で船を出し入れできるドックがある。


砂浜が見えてくると「子どもがたくさん」とディーシャが驚いている。

下はよちよち歩きから上は未就学の9才まで、多くの子どもたちが砂浜を駆け回っている。


「。。。ベルンハルト様、子どもが多く走り回っているのはいいんですが、速すぎませんか?砂浜ですよね?」


ユニカさんは、見てはいけない変なものを見てしまったようなテンションだ。


「この村は、200年前からこうだそうです。そして村でいちばん足が遅いのがぼくです」


この村の子どもは初代様のころから砂浜を走って自然に足腰が鍛えられていて、身体強化が得意な子どもは更に速くなり、その遺伝子も蓄積されて最早サラブレッド状態だ。


「あんなに速いのに、一番遅いんですね。。。」


散歩中に競争したことがあるディーシャとユニカさんは、ぼくのスピードを知っている。

差をつけすぎたらマズいと思って、ユニカさんに負けてディーシャには勝った。


「小学校入学前の子どもで一番速いのはシェイラだね。次がユージ」


そう、一緒にいるのは最速の子ども二人なのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ