市民権
目を覚ましたタマは微妙に以前と行動が変化した。どう変わったかと言うとライルの身体に触れたがるようになった。座れば隣にピタッと張り付き、立ち上がれば脚に擦りゆって来る。タマの心境の変化をライルは好ましく思ってるのでタマの好きにさせてるのだが…
「タマ、料理中は危ないよ…」
ライルが炒め物をしてるのにタマは脚にしがみ付いてる。
「タマ、近くに居ると油が飛ぶよ」
だが離れないタマ。ライルは諦めて朝食を作っていく、炒め物を仕上げ皿に盛りつけテープルに運ぶ。しがみ付いていたタマもライルの動きの邪魔はしないようにしてか脚から離れてる。
「タマ、朝御飯にしようか」
ライルの言葉を聞いたタマはライルの隣に椅子を引っ張って来る。そしてライルの座る椅子にピッタリと並べる。
「のせてー」
タマを持ち上げて椅子に座らせてやる。椅子に座ったタマが上目遣いでライルに「いっしょにすわろ?」と言う。ライルも椅子に座るとタマが肩を寄せて来る、食べにくく無いかな?と思いながら食事にする。
「タマは好き嫌いしないね」
「きらいなたべものないよ」
「じゃあこれからも色々食べさせてあげるよ」
「うん、たまいろいろたべるー」
5歳児にしては身体の小さいタマだが食事はよく食べる、今までの環境を考えると成長が遅いのも頷ける。
「タマ、今日は役所と冒険者ギルドに行くよ、タマの市民権得る為に役所へ、タマに色々教えてくれる先生を探しに冒険者ギルドへ行くんだよ」
「?、しみんけんってなに?」
「まぁ簡単に言うとタマがちゃんとウチの子になってにいちゃんと暮らせるようにする為に市民権が必要なんだよ」
「ずっといっしょにいられる?」
「そう、ずっと一緒に居られるように役所に行くだよ」
「わかった!、タマ、やくしょにいくー」
朝食を終えて出掛ける準備をする、タマにカーラさんの店で買った1番良い服を着せ準備を終えて自宅を出る。
「さぁタマ、手を繋いで行くよ」
「うん!」
タマと手を繋ぎ中央区に向かい歩き出す。人通りの多い通りに出ると逸れないように少し強めに手を繋ぎ直す。ライル自身も背が高くなく150㎝程度なのでタマと逸れると大変だ。
20分程歩き役所の前に到着する、朝9時頃なのに人の出入りはそこそこある。
「タマ、この中に入るから手を離さないようにね」
「うん、わかった!」
タマの手を引き役所内に入る。受付のカウンターまで行き用件を伝える。
「市民権を得る為に来ました、手続きお願いしても良いですか?」
受付嬢はライルを見て感心した様に言う。
「申請受け付けます、若いのに市民権得ようなんて偉いわね〜」
そう言って後ろに何か指示を出す受付嬢。
「僕じゃ無いですよ、この子の市民権です」
そう言ってタマを抱き上げるライル。
「獣人の人が市民権得ようなんて私の業務では初めてね、お嬢ちゃん、お名前は?」
「タマだよ」
「そう、タマちゃんは市民権ってわかる?
「にいちゃにきいた、もらえるとにいちゃとずっといっしょにいれる!」
「タマちゃんは市民権が欲しいのね?」
「うん!」
「それでは2人ともこっちに来て」
受付嬢がカウンターから出て来る。受付嬢に個室へと案内され勧められた席に座る。
「あなたが後見人で良いの?、身分証明出来る物ある?、それと未成年が後見人になるのは厳しいわよ?
「ギルドカードと推薦状があります」
「推薦状?、ではギルドカードから貸してくれる?
ライルは受付嬢に冒険者のギルドカードを渡す、ライルから渡されたギルドカードを見て受付嬢が驚く。
「あなた凄いのね!、まだ若く見えるのにB−なんて…、紹介状も見せてくれる?
そのまま紹介状を渡す、受付嬢が封を切り中身を確認する。
「あ〜、これば申請通るわね、冒険者ギルドのギルマスの口利きなんて…、良いわ、このままタマちゃんの市民権獲得手続きに進んじゃいましょう!」
色々な書類に書き込んでいくライル、書類の記入タマへの聞き取りも終了し今後の流れを確認して行く。
「これで申請するから明日の昼以降にもう一度此処に来てね、多分すんなり書類は通ると思うわよ、来る時に金貨2枚忘れずに用意しといてね」
受付嬢にお礼を言い部屋を出る、タマが少し興奮した様にライルに尋ねる。
「これでしみんけんってのがもらえるの?」
「明日になるけど多分貰えるよ」
「やったー」
と喜ぶタマ、そんなタマをライルが抱え上げる。
「じゃあ次は冒険者ギルドだけど…まだ時間早いから1度家に帰ろうか」
タマを抱いたまま歩き出すライルであった。
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