荷物
アリト達の自己紹介が終わりカインが自分の事を話す。
「私の名前はカイン・ガルタ、領主の次男になる。歳は21で領地で軍務に関わっている、兄に嫡男が産まれたので今は気楽な立場だ、ライルの兄貴分だと思ってもらえれば良いよ」
高位貴族に連なる者としては気安い感じだ。
「兄貴じゃ無いし…」
ライルが小声でブツブツ言ってる、いつものライルとは態度が違う。
「父上からライルには此方からは接触するなといわれている、だからライルには久々に会えて嬉しいよ。」
ライルは苦笑いだ。
「仕事の話に戻るがライルには他に護衛を付けさせてもらう、最低でも騎士を5人伴って行動して欲しい。いやライルに護衛はいらないのはわかってるんだが侯爵家としての面子がね、新人騎士の訓練だと思って同行させて欲しいんだ」
カインの言葉にライルが困った顔をする。
「新人と言っても素人じゃ無くそこそこ使えるぞ、ライルの好きに使ってくれて構わないから」
「わかりました、騎士の同行を了承します。他も自由で構わないんですよね」
「エルザムの街でしっかり行動してくれれば他は自由で構わないさ」
ライルにとっては良い条件だ。
「アリトさん達もその条件で良いですか?」
「はい、ライルさんに全てお任せします」
アリト達はライルに丸投げするようだ。
「では騎士の顔合わせをしようか、ライル何人までなら大丈夫だ?」
カインが人数を聞いてくる。
「出来るだけ少ない方が良いですね」
ライルは人数を制限したいらしい。
「わかった」
カインは近くに控えてた男に何やら伝える、カインに話を聞いた男が部屋から出て行く。暫くすると5人の男女が部屋に入って来た、彼ら彼女達が件の騎士なのだろう。男性3人と女性2人の組み合わせ、男性達が20歳くらいで女性達が20代半ばくらいだろうか。騎士達はカインの前で敬礼した後ライルに向き合う。
「ライル、この5人がエルザムへの往復で護衛に付く。女性騎士の1人は中級騎士で他は下級騎士、ライル、どうかコイツらを鍛えてやってくれ」
カインはニヤリと笑う。
「えー、鍛えるって何?面倒臭いです」
「まぁそう言うなよ、調子に乗った人間の心を折るの得意だろ」
カインの言葉に騎士達が反応する、何と無くライルに向けられる視線が強まったように感じる。
「彼らに対して僕の立ち位置は?」
「護衛対象にして上位者、騎士達を部下として扱って構わないよ」
「わかりました、その様に対応します」
ライルもカインも和かだ。
「では他に話が無ければこれで失礼します」
とライルは頭を下げる、若い騎士達は話を打ち切ったライルに唖然としてる。
「あぁ、また明日な」
カインはライルに頷く、それを受けてライル達は退室する。室外に出ると案内の男が控えており案内され侯爵邸の外に出る、そのまま歩き貴族街の外に出た所でアリト達が大きく息を吐く。
「緊張した緊張した緊張した!」
騒がしいルーシー。
「あれが高位貴族ですか…」
割と冷静なハマナ。
「先程の対応は大丈夫だったのでしょうか?」
「私も何か間違ってた気が…」
アリトとエンナが不安気だ。
「貴族に対する対応としては間違ってますね、普通だったら罰せられます」
ミシェルが容赦なく突っ込む。
「大丈夫ですよ、カイン様とは仲良いですから」
ライルが笑いながら皆に言う、ライルが「本日は解散で」と言い皆が別れるとライルは冒険者ギルドに向かった。
次の日の朝9時、ライルは侯爵邸を訪れている。カインと会い運ぶ予定の荷物をアイテムボックスに収納していく、そして"予定外"の荷物も受け取る。
「まぁ予想はしてましたけど…」
面倒臭そうにライルが愚痴る。
「そう言うなライル、お前にしか頼めない荷物なんだよ」
カインが苦笑しながらライルに答える。
「父上からもライルに宜しく頼んでくれと頼まれてたんだよ」
「侯爵様の頼みなら断りませんけど…」
ライルも少し困った様に答える。
「ところでライルはどうして"予定外"の荷物を予想したんだい?」
カインが興味深そうにライルに質問する。
「昨日帰りに冒険者ギルドのギルドマスターに色々聞いたんですよ、それで情勢とか場所を考えたら"予定外"の荷物もあり得るかな〜と」
苦笑いのライル。
「ライルを子供とは言わないけど、ライルの歳で読まれたのは問題かも」
カインが少し考えて口に出す。
「ライル、多分この屋敷には監視が付いている。強行手段は取らないだろうが一応用心しておいてくれ」
カインの言葉にライルが眉を顰める、簡単な依頼だと思ったら何やら不穏な気配だ。
そして出発当日になる。




