試験の後
ライルとオイゲンは地上に戻って来た、先ず向かうのはマリの居る上級カウンター。この時間(18時頃)いつも混んでる受付ホール、だがギルマスが一緒なのでライルの前は道が空く。窓口でマリを見付け声を掛ける、マリは素早くカウンターから外に出てくれた。こちらへどうぞとマリに個室に案内される、個室に入り席に座るとマリが話し掛けてきた。
「アリトさん達は15時頃戻って来ました、ですがタマちゃんを保護しないといけないとか言いながら早足で帰りましたよ」
ミシェルはタマの面倒を見る為に帰ったようだ、安心するライル。
「昇格試験の話は明日でも良いですか?、タマが心配なので早く帰りたいのですが」
マリがギルマスを見る、頷くオイゲン。
「では明日にしましょう、アリトさん達も明日の午前中にカードの更新に来る事になってます」
「では明日一緒に来ますね」
マリとオイゲンに挨拶して冒険者ギルドを出るライル、家に帰る足も早くなる。
自宅に着きチャイムを鳴らしてドアを開ける、リビングから顔を出したタマがライルを見て駆け寄って来る。
「にいちゃおかえりなさい!」
笑顔で出迎えてくれたタマ、そんなタマをライルは抱き上げる。タマを抱いたままリビングに入ると着替え終わったミシェル、エンナ、ハマナ、ルーシーが「お帰りなさい」とライルを迎えてくれた。
「皆さん、タマのお守りありがとうございました。僕が居ない間に何かありませんでしたか?」
「何もありませんでしたよ、タマちゃんには食事も取らせました。ライルさんが帰って来るまで皆で遊んでました」
と笑顔で答えるミシェル。
「事情説明したらアリアさん、私達の分まで食事を用意してくれました。美味しかったです」
とはハマナ。
「アリアさんとアリッサちゃん、アリトと一緒に時間通りに帰ったから」
とルーシー。
「タマちゃんのお守りならいつでも受けますから、気兼ねなく言ってください」
とエンナ。
「ありがとうございます、御礼にちょっと珍しいお菓子は如何ですか?王都で貴族しか買えないお菓子なんですが」
女性陣は興味深気に「頂きます」と答える。ライルは抱いていたタマを降ろすとアイテムボックスから20㎝四方の箱を取り出す、中には茶色い粒が並んでいる。
「チョコレートと言うお菓子です、数年前王都でガルタ侯爵の伝手で買いました」
時間停止のアイテムボックススキルを持つ、ライルならではの品である。
「美味しいので食べてみてください」
女性陣は躊躇い気味にチョコレートを摘み口にする、食べた皆は驚きの顔をする。
「初めて食べる味だ!」
エンナが興奮して感想を述べる。
「甘くて濃厚ですね」
とハマナ。
「ん〜!」
ルーシーは言葉にならないようだ。
「これは…高そうですね」
ミシェルが不安気にライルを見る。ライルはタマにチョコレートを食べさせながら事も無げに言う。
「一箱金貨3枚ですね」
ミシェルはこめかみを押さえる、他女性陣も手が止まる。
「えっ、一粒幾らだ?」
エンナが一粒持ったまま狼狽えてる
「銀貨1枚ちょい?」
ルーシーは適当だ。
「銀貨1枚に大銅貨2枚と銅貨5枚ですね」
ハマナは冷静だった。
「いつもの事ですが常識が行方不明になってますね」
ミシェルが珍しく辛辣だ、鬱憤が溜まってるのだろうか?
「にいちゃ、これおいしーね!」
笑顔のタマを前にライルはミシェル達の言葉を聞いてない。
「そうだミシェルさん、明日冒険者ギルド行きますよね?僕も一緒に行って良いですか?」
「そうでした、私からもお願いが。明日の午前中タマちゃんの家庭教師お休みさせてもらって良いですか?」
「構いませんよ、昇格絡みですからね」
「ありがとうございます、では明日朝一緒に行きましょうね。朝迎えに来ますから」
ミシェル達とライルの家で待ち合わせる事になった。
「ところでライルさん」
「何ですかルーシーさん」
「タマちゃんとお風呂入りたい!」
「駄目……でも無いのか、タマが良ければ良いですよ」
ライルの言葉を受けて素早くタマに擦り寄るルーシー。
「タマちゃんタマちゃん、お姉ちゃんと一緒にお風呂入ろっか」
「いーよ、にいちゃといっしょに3にんだねー」
場が固まる。
「いや、ライルさんと一緒はちょっと…」
流石のルーシーも嫌なようだ。
「僕もちょっと遠慮しておきます」
ライルも嫌なようだ。
「タマ、ルーシーさんとお風呂入っておいで。ルーシーさん、今お湯入れますね。今のうちに着替え取りに行きますか?」
「こんな事も有ろうかと着替えは用意してあるの」
手提げ袋をライルに見せるルーシー、どうやら下着だけ持って来たようだ。
ライル宅では珍しく夜になっても騒がしい日であった。




