応援
路地裏から出て先程の店に戻るライル達、店の中は騒然としていた、どうやら衛兵が踏み込んだようだ。店長らしき人物がお客に謝罪してる様子が見える、その店長の隣に進み出たライルは店中に聞こえるように大声で謝罪する。
「皆さん、お騒がせしてすみませんでした、先程の方々とは和解しましたのでご安心を。お騒がせしたお詫びとしてこの場の御支払は全て僕が持ちます、皆さん大いに飲食を楽しんでください」
そう言って皆から見える様に手の平に乗った金貨の山を見せつける、そして店長に金貨を10枚渡し謝罪するライル。意外な事に店長は連れて行かれたライルの事を心配していたらしくライルの顔を見てホッとしていた。
「店長さん、ホントにすみませんでした。お金も足りない様なら言ってください」
ライルは頭を下げる、その様子を見て店長がライルの頭を上げさせるように言う
「お客様は悪くありません、悪いのは先程来た連中です。貴族や裕福な商人などが差別意識が強いと言いますがアレは酷い、逆にお客様の啖呵は気持ち良かったですよ」
と店長は笑うと先程ライル達が座って居た席に案内してくれる。
「私はね獣人差別が嫌いなんですよ、私の様な年寄りは奴隷解放時の事をよく覚えています。当時半数の市民は奴隷解放を歓迎したんですよ、歓迎しなかったのは奴隷を所持していた連中です」
ライルは店長の話を興味深く聞く、同席する皆も同じようだ。その時店を出る若い女性のお客が声を掛けて来た。
「お兄さん、奢ってくれてありがとね。それとお嬢ちゃん、あんな連中に負けちゃ駄目だよ、頑張ってね」
女性はライルにお礼、タマに激励をして帰って行く。意外な展開に皆がキョトンとする。
「応援してくれる人も居るんですね」
少し涙目でミシェルが言う、すると店長が「料理を作り直しますね」と下がって行った。
神妙な面持ちをしたアリトがライルに話し掛ける。
「ライルさん、先程はすみませんでした」
とライルに謝罪するアリト、他の皆も頭を下げる。
「どうしました皆さん?」
ライルが不思議そうな顔で尋ねる。
「何も出来ませんでした、タマちゃんが貶されてる時もその後も、アリッサとミシェルさんはタマちゃんを気遣って側に付いてました、エンナとルーシーはライルさんを追いかけようとしてました、ハマナは衛兵を呼びに走りました、でも俺は何もしてません!、ライルさんに言われた様に待機してただけです。何か俺にも出来る事があったんじゃ無いでしょうか?」
ライルは少し考え言葉を発す。
「皆さんが僕の言う事を守ってタマとアリッサちゃんを守ってくれたのは正解ですよ、ハマナさんが衛兵を呼びに行ったのも間違いじゃありません。僕が怖かったのは皆さんが害される事でした、冒険者の1人はB+の実力を持ってましたから皆さんでは対処が難しかったでしょう、」
「しかし!」
「あの手の輩は僕の方が対処に慣れてます、実際上手くやれたでしょ?、それに皆さんには凄い感謝してるんですよ、タマを守ってくれてありがとう」
とライルは頭を下げる、アリトは何か言いたそうだが黙っている。その時新しい料理と飲み物が運ばれて来た、ライルは「さぁ食べましょう」と空気を変える。だが皆は中々切り替えが出来ないようだ。
「次にあんな連中現れたら私が真っ先に燃やしてやる!」
とルーシー。
「武装してれば私だって!」
とエンナ。
「皆さん落ち着きましょうね、ね」
とはミシェル。
「何かあれば私がすぐに衛兵呼びに行きます!」
とハマナ。
「もっと判断力を付けねば…」
とアリト。
「タマちゃん怖かったよね」
とタマを抱き締めるアリッサ。
「アリッサおねえちゃん、だいじょうぶだよ」
とアリッサの頭を撫でるタマ。中々収拾がつかない状態になっている、その間にもお客から応援の声を受けるライル達。
今日も平和?だなーと思うライルだった。
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