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謝罪



 ブラグ達のライルへの謝罪は終わった、後はタマに謝罪させるだけだ。


「謝罪はする、だがその前に治療を受けさせて貰えないだろうか」

 B+冒険者が口に出す、確かに脚が無いとタマの元に行かせられない、ライルはため息を吐き手元に回復薬を出現させる。


「まずはアンタだ、その腕を繋げる」

 ライルが切断された右腕を拾い腕を失った冒険者に差し出す。


「待ってくれ!、普通のポーションじゃ切断された傷口が塞がるだけで接合されない!」

 その言葉にライルが答える。


「安心しろ、これは"特級"の回復薬だ。今までに何回も切断した手脚を繋いできたから効果は保証する、それより王都じゃ回復薬をポーションって言うんだな」

 ライルの言葉に皆が理解した、この少年は今までに何回も同じように手脚を切り飛ばしてきたのだと。


「じゃあアンタ、自分で切断した手を持ってくれ、そう、切断した断面と断面を繋げておけよ」

 ライルは右腕の傷口に切断された肘から先の傷口をつける様に指示するとつけられた傷口に回復薬を少し掛ける、掛けられた薬が発光すると傷口同士がくっ付き塞がっていく。指を動かし腕が接合されたのを確認する冒険者、問題が無いと判断し同じように自分の脚を持つ冒険者の脚にも回復薬を掛けてやるライル、脚の繋がった冒険者はホッと息を吐く。


「そこで大人しくしてろよ、余計な動き見せたら両腕飛ばすからな」

 無言で頷く冒険者、ライルは残りの冒険者も治療してやる。ブラグは周囲でオロオロしている、回復した冒険者達を立たせるライル。4人を視界の隅に置きライルは言い放つ。


「お前らじゃ俺に勝てない、わかってんだろ?」

「ああ、わかっているし逃げられないのも理解してる」

 冒険者のリーダーが答える、その時近付く大人数の足音が聞こえて来た。


「ライルさん!」

 ハマナが衛兵を連れて来たのだ、衛兵の後ろからアリト達も顔を見せている。


「ライルまたお前か」

 衛兵の中から一際派手な装備の男がライルに声を掛ける。


「隊長さん、お久しぶりですね」

 ライルの顔見知りのようだ。


「何か問題あったか?」

 衛兵隊の隊長がライルに問う。


「いえ、何も」

 ライルが答える。


「よし!、お前ら仕事に戻るぞ!」

 隊長の言葉にブラグが慌てる


「まっ、待ってくれ!、我々は被害者だ!」

 隊長はブラグを見遣る、そしてため息を吐いてブラグに聞く。


「何の被害を受けたんだ?見た所怪我も無いようだが?」

 隊長の指摘に言葉を詰まらせるブラグ、一緒に居る冒険者からも「やめた方が良い」と言われる。そんなブラグに近付き低い声で隊長が語り掛ける。


「お前さんライルに喧嘩売ったんだろ?、止めときなライルは強いぞ、それに領主様のお気に入り冒険者だ。生半可な力じゃ逆に消されるぞ、素直に謝って終わりにしな」

 そう言って隊長達衛兵は去って行く。


「領主様って…ガルタ侯爵の…」

 ブラグは力無く項垂れる。


 そんな中ライルがタマを抱き上げてブラグ達に近寄って来る、冒険者達には緊張が走る。


「タマ、このおじさん達がタマに謝りたいってさ」

 ライルは笑顔だ、笑顔でタマに話し掛けている。その笑顔でブラグ達にも話し掛けてくる、「謝るんですよね」と笑顔でブラグ達に問い掛けるが目は笑ってない。


「済まない、謝罪する」

 B+の冒険者が真っ先に謝罪する、しかしライルは首を横に振る。


「もっとタマに分かりやすい様に言わないと、ね」

 笑顔が怖いとは今のライルの事だろう。


「お嬢ちゃん、さっきは俺が悪かった、怖がらせてごめんな」

 と頭を下げるB+の冒険者、他冒険者も続けて謝罪する。最後にブラグが「お嬢さん、おじさんが間違ってたよ、ごめんね、おじさんを許してくれるかな?」と謝罪する。タマは困った様な顔をしてライルを見る。


「タマはどうしたい?、許さないって言うならにいちゃんがもっと叱ってやるよ?」

 ライルの言葉にブラグ達は背中に冷たいものを感じる。


「にいちゃ、ゆるしてあげよ?」

「良いの?タマが我慢しなくても良いんだよ」

「あやまってくれたからだいじょうぶだよ」

 ライルはタマに優しく言葉を掛ける。


「タマは優しいなぁ」

 笑顔でタマを抱き締めるライル、そしてブラグ達に声を掛ける。


「じゃあ解散って事で、あぁそれと忠告ですが早めにこの街出た方が良いですよ、世の中何があるか分かりませんし」

 ライルは振り返り仲間達に謝罪する、そして路地を出て行く。


 後に残ったブラグ達は急いで宿に戻り出立の準備をするのだった。




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