ライルの怒り
店内に怒鳴り声が響く。
「なんで獣人のガキだけが居やがる!飼い主は誰だ!」
喚いてるのは冒険者風の男だ、裕福そうな身なりの男を囲むように3人の冒険者風の男達が居る。先頭に立つ男が先程から怒鳴っている。
「まあまあ、此処はガルタの街、王都みたいには行かないでしょう。飼い主はいらっしゃらないのかな?」
裕福そうな男が話すが先頭の男は止まらない。
「ブラグさん、此処は俺が、店のテーブルに獣人が居るなんて王都ではあり得ないぞ!責任者は誰だ!」
店員はあたふたしてる。
ライルは自分が冷静なのを自覚している、いつもそうだ、怒りが溜まる程冷静になる。隣りを見るとタマは膝の上に置いた手をぎゅっと握り締めて顔を下に向けている、自分が言われてると理解してしまったのだ。周囲の皆は突然の事に唖然としている。
ライルはいつもより強めにタマを抱き締める、そして耳元で「タマは何も悪く無いよ、何も気にしなくて良いんだ、あのおじさん達はにいちゃんが怒っておくからタマはここで待っててね」と言うとライルは立ち上がる
「皆さん、タマとアリッサちゃんの事よろしくお願いします、少し彼らと話して来ます」
そして前に出るライル、冒険者風の男達の前に立ち先頭の男を睨む。
「お前が飼い主か、飼い主もガキじゃないか」
先頭の男が侮るように言う。
「お前、口臭いから喋るなよ」
ライルの言葉に男の口角が上がる。
「良い度胸だなガキ、謝るなら今の内だぞ」
そう言って笑う男達。
「大した事ないあんたらに謝る理由が無いな」
ライルも笑う、憤る後ろの男達。
「やめときな、後ろの奴等はB−、俺はB+の冒険者だぜ、殺しはしないが死ぬほど痛い思いする事になるぜ」
「奇遇だな、俺も冒険者だ、お前らを死ぬ手前まで痛めつけるのは簡単そうだ」
ライルの言葉を聞きリーダーっぽい男が表情を変える。
「そうか、お前冒険者か、なら見逃せないな。冒険者は同業者に舐められたら終わりだ」
男はブラグと呼ばれた裕福そうな男を見る、ブラグはそれに頷きで返す。
「裏行こうか坊主、今更逃げられないぜ」
「そうか、俺もお前らを逃す気は無いよ」
男達が出て行く後をついて行くライル、そんなライルに声が掛かる。
「ライルさん!、俺達も!」
「皆さんはタマ達を守っててください、大丈夫ですから」
とライルは笑顔で手を振る、そして男達の後を追い外に消える。
残されたアリト達はどう動くべきか迷っている、ミシェルとアリッサはタマを気遣いエンナとルーシーは外に出ようとしている、それを止めてるアリト、武器防具無しでライルの応援に行っても邪魔になると理解しているアリトだが非常に歯痒い思いもしている。そこにハマナが「衛兵呼んで来ます」と駆け出して行く、アリトが「頼んだ!」とハマナに声を掛ける。
一方ライル達は路地裏で対峙していた。
「おっさん達、武器抜かないの?、抜いてくれないと正当防衛って言えないじゃ無いか」
「ガキ相手に抜けるか!、お前こそ武器は良いのか?」
「俺はこれで良いよ」
ライルが手に持ってるのは先程の店で出されている肉切り用のナイフだ。
「舐めやがって!」
先程B−と言われた冒険者がライルに殴り掛かって来た、その腕に向かってライルはナイフを振るう。
音も立てず冒険者の肘から先が消えた、次の瞬間ポトリと右腕の肘から先の部分が地面に落ちる
「えっ」
右腕の肘から先を無くした冒険者が一瞬惚ける、次の瞬間自分の右腕を押さえて冒険者が喚く。
「うるさいよ」
そう言ってライルはナイフを横薙ぎに振るう、冒険者達3人の右脚、膝から先が転がる。右脚を失い倒れる冒険者達、何が起こったかも分からず自分の右脚を見て呆然とする冒険者達。唯一無傷のブラグが悲鳴を上げる、その声を合図に冒険者達も自分の身に起こった事を理解したように声を上げる。
「だから煩いって言ってるだろ」
とライルがB+冒険者の顔を蹴り上げる、そのまま他冒険者の頭も蹴っていく。
「おっさん達それでよくBランク帯の冒険者なんて言えたね、王都の冒険者って程度が低いんじゃないの?」
「なっ、何だお前は、何なんだ!」
ブラグの悲鳴が路地裏に響く。
「ただのBランク帯の冒険者だよ」
「なんで…なんでこんな事をする!」
「喧嘩売って来たのはお前らだろ、今更何言ってんだ?」
ライルの物言いに言葉を無くすブラグ、その時B+冒険者が声を出す。
「俺達はどう詫びれば良い?」
「俺の家族を侮辱した事を詫びろ、それとその侮辱した俺の家族にも謝れ」
「わかった…済まなかった」
B+の冒険者は素直に詫びる、そして他の者達にも謝罪を促す。
「悪かった…」
「謝罪する…」
「わっ、私も謝罪しなきゃいかんのか?」
「ブラグさん!」
B+の冒険者が声を上げる。
「す、済まなかった、謝罪する」
ライルへの謝罪は終わった、後はタマに謝罪させるだけだ。
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