おててつないで
タマが皆に受け入れられて喜ぶライル、その流れでタマと出会い保護するまでの経緯を皆に話す。話を聞いた皆は苦虫を噛んだような顔をしている、アリッサなどは顔を青くさせて涙目だ。
「タマちゃん苦労してたんですね」
ハマナが言うと皆が頷く、アリッサはライルの膝に乗るタマに走り寄って近付きタマの頭を抱く。それを見てたルーシーもタマに近寄りタマの頭を撫でる、するとハマナやエンナもタマに近寄って来る、タマの頭は順番待ちのようだ。
それを見ていたアリトは「我々に出来る事があれば何でも言ってください」とライルに言う。
「皆んなありがとう、タマと友達になってくれると嬉しいかな」
「「「「勿論です」」」」
一同が同じ言葉を発す。
「でもタマちゃんって美人さんだよね」
エンナが唐突に言う。
「タマは可愛いですよ?」
「タマちゃんは可愛いよ」
「うん、可愛い」
何か会話が噛み合ってない気がする。
「いや、そうじゃ無くて獣人って先祖返りみたいに獣の特徴が出てる程"美人"とか"カッコ良い"になるんですよ」
とエンナが説明する、それを聞いたライルはタマの顔を見ながら「タマは美人さんなんだってさ」と喜ぶ。一方のタマは「びじんさん?」とよくわかってない様子だ。皆で「美人さん」「美人さん」と言いながらタマの頭を撫でる、相変わらずタマは「?」となっている。
さっき迄の暗い雰囲気は霧散し和やかな雰囲気に変わる、皆注文した飲み物を飲み終わり次に行こうかと言う空気になる。
「次は武器防具ですね、ボーグ武器防具店って店に行こうかと思ってますが皆さん知ってますか?」
皆知らないと首を振る。
「僕の剣を買った店なんですが中々雰囲気良い店でしたよ」
「ライルさんお奨めなら」
と皆了承してくれる、ギルドを出てボーグ武器防具店に向かう前に少し争いがあった。誰がタマと手を繋ぐかで揉めたのだ、手を挙げたのはエンナ、ハマナ、ルーシーの3人、ライル、ミシェル、アリッサ、アリトの4人は手を挙げた3人に権利を譲る。しかしタマの手は2本だけ、1人は手を繋げない。3人は話し合うが決着はつかない、そこで勇者由来の最終兵器である"じゃんけん"で決着をつける事に。
タマと手を繋ぐエンナとハマナ、その顔は満面の笑顔だ。その後ろではルーシーが2人を睨み付けている、かなり怖い表情だ。
「タマちゃん、歩くの早くない?」
ハマナがタマに聞く。
「だいじょうぶだよ」
タマは笑顔で答える。
「タマちゃんのお手ては小さいねー」
エンナが笑顔でタマの手を握る。
「おねえちゃんのおててはおおきいねー」
タマも笑顔でエンナの手を握る。
後ろでは歯軋りの音が聞こえそうな程の形相でルーシーが睨んでる、やはり怖い。アリッサが気を遣いルーシーに話し掛ける。
「ルーシーさん、私で良ければ手を繋ぎませんか?」
その言葉を聞いた瞬間ルーシーがアリッサに振り向く、その顔は笑顔だ、一瞬ビクッとなるアリッサに笑顔で手を差し出すルーシー。恐々とその手を握るアリッサ、対するルーシーは鼻息が荒い。そんな2組の様子を見ながら笑顔になるライル達、目的の場所はもう近い。
ボーグの店に到着した一同、ハマナとエンナは笑顔でタマの手を離し、ルーシーは名残惜しそうにアリッサの手を離す。タマは笑顔でライルに駆け寄りアリッサはホッと一息吐いてアリトの隣に移動する。
皆で店の中に入ると店員達が一斉に「いらっしゃい」と声を掛けてくる。
「大人数で来たな」
店主のボーグが声を出す、ライルが皆を代表して「先日ぶりです」と挨拶する。
「今日はどうしたんだ?」
「パーティメンバーの武器防具を見繕ってもらおうと思い来ました」
理由を説明するとボーグはカウンターから出て来た。
「誰だ、武器防具が必要なのは?」
「俺です」
「私です」
アリトとエンナが声を出す。
「何が必要だ、予算も言っときな」
「俺は双剣使いなんで片手で振り回せる剣を二振りお願いします、予算は金貨5枚程度です」
とアリトは予算まで言う、冒険者になって半年程で金貨5枚の予算とは大したものである。
「私は盾使いなので皆を守れる盾が欲しいです、私も予算は金貨5枚でお願いします」
エンナの答えを聞いてボーグは考える、そしてライルに告げる。
「ライルよー、普通の若い冒険者ってのは背伸びしてこれくらいの予算がやっとってところなんだよ、やっぱお前はおかしいぞ!」
ボーグの指摘に苦笑いするライル、他の皆は2人の会話を不思議そうに聞いている。
「ライルさんの何がおかしいんですか?」
アリトがボーグに聞いてみる。
「いやだってコイツ初めて来た俺の店で…」
「皆さん聞いちゃ駄目です!」
いきなりミシェルが口を挟んで来た。
「金貨150枚のミスリル剣買ってったんだぜ、しかも白金貨で」
皆が固まる、ミシェルは頭を抱える。
「皆さん、耐性つけましょうね、ライルさんの…」
ミシェルは呟くのだった。
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