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想定外



 そして6日たった木の日、今日は地下10階のボスに挑む日である。朝からアリト達は落ち着かない様子で酒場にて待機している、ライルとミシェル待ちだ。酒場の掛け時計を見るとまだ待ち合わせ時間まで45分ある、その間に打ち合わせをしていくアリト達。


「皆さんおはようございます」

「おはようございます」

 ライルとミシェルがやって来た、2人はアリト達と合流すると打ち合わせに参加していく。お互いの役割を確認して打ち合わせを終えるとダンジョン入り口に向かう、順番が回ってきたのでダンジョンに入り地下10階を目指す。


「皆さん、気を張り過ぎですよ、そんな緊張しなくとも皆さんなら大丈夫ですから」

 ライルが皆を落ち着かせる様に言う。


「しかしライルさん、他のEランク冒険者はEに上がってから半年は己を鍛えてボスに挑むと聞いてます、我々はEに上がってからまだ1ヶ月、緊張するのは仕方ないのでは?」

 アリトの言い分は最もだとライルも思う。


「緊張し過ぎだと言う話です、気持ちはわかりますが落ち着いて行きましょう」

 パーティの中で落ち着いているのはミシェル1人、Dランクだけあって地下10階ボスは慣れてるようだ。

 一同は地下10階を目指し進んで行く、途中幾度か戦闘もする。ボス戦前に戦闘を経験したからか皆少し落ち着きを取り戻してる。


「皆さん本来の調子を取り戻しましたね」

 とライルが言えば皆苦笑いになる。そして地下10階に到達する一同、皆で最後の打ち合わせをする。最初にジェネラルを倒し指揮を乱し各個撃破する、これがアリト達の作戦である。


「これが初のボス戦だ!、ライルさんに付いて行ってゴブリン達の配置等は分かっている筈だ、皆で協力し勝利しよう!」

 アリトがメンバーを激励する、皆もやる気に満ちているようだ。扉を開けて中に入る、転移陣に乗りボスの間へ。

 既に詠唱を終えているミシェルが皆に魔法障壁を張る、ルーシーも呪文詠唱中だ。ハマナがミシェルとルーシーの護衛に回り弓を構える、アリトとエンナがジェネラルに向かい走り出そうとした時異変に気付く。


「アリト!ジェネラルが2匹居る!」

 エンナが叫ぶ、ジェネラルが左右1匹づつ居るのだ。それぞれのジェネラルが、アーチャー×2・メイジ×2・ガード×1・ナイト×2・通常ゴブリン×5を率いている。


「当たりだな」

 ライルが呟くが誰にも聞こえない。


 アリトは一瞬撤退も考える、考えるが次の瞬間ルーシーの魔法が発動し、左のゴブリン達に火の矢が8本飛んで行く。それを見たアリトは咄嗟に指示を出す。


「エンナ!右のゴブリン達を足止めしろ!」

 指示を出した瞬間ミシェルから魔法が放たれる、反応強化の魔法だ、アリトとエンナに魔法が掛かる。

 ミシェルとルーシーは続けて詠唱を開始している、アリトは左の集団に向かって走り出す。通常種のゴブリンが行手を阻むがアリトの動きに付いて行けてない、すれ違いざまアリトが剣を振るうとアリトに斬られたゴブリンが2匹倒れる。

 既にゴブリン3匹は先程のルーシーの魔法で倒れてる、アリトにメイジとアーチャーから攻撃が来るが反応を強化されたアリトはギリギリで避ける、そのままナイトの攻撃も回避したアリトはアーチャーに肉薄する。

 アーチャーが矢を番える暇も与えずに斬り伏せるアリト、そこにルーシーの眠りの魔法が届く、意識は奪えないが一瞬思考が鈍るゴブリン達。アリトはその隙を突き残るアーチャーとメイジに斬り掛かる、倒れ伏すアーチャーとメイジ、そのままジェネラルに迫ろうとしたアリトの背に残りのメイジの火の矢が直撃する。

 背中に走る痛みに硬直したアリトにナイトが迫る、ナイトの振り下ろす剣を右手の片手剣で何とか逸らすアリトだが続くもう1匹のナイトからの攻撃に左手が追い付かない、だが次の瞬間後続のナイトの首に矢が刺さる、ハマナの攻撃だ。

 矢を抜こうともがくナイトの頭に剣を突き立てるアリト、勢いのままにもう1匹のナイトも斬り伏せる。だがアリトの奮戦もここまでだった、背中の痛みはどんどん増して息も苦しい、まだ左側の集団はメイジとガード、そしてジェネラルが残っている。

 ゴブリン達を正面に見据えジリジリと後退するアリト、チラリとエンナを見ればエンナも奮戦している、だがよく見ればエンナもぼろぼろだ。通常種ゴブリンは倒した様だが上位種相手に防戦一方の戦いになっている、ハマナの援護とミシェルの回復がエンナに集中している、それで何とか持ち堪えている状況。

 アリトが撤退合図を出そうとしたその時アリトの正面に居たゴブリン達が上下に切断された、すぐにライルの仕業だとアリトには分かった、これで試験は失敗か、と思った瞬間ライルの声が響く。


「一回だけ助太刀します!後はどうにかしてください!」

 

 その言葉に背中を押されたアリトがエンナの元に走る、戦いは終盤に入る。




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