油断
休憩の後は引き続き地下9階での狩りである、皆やる気に満ちてるようで短い間隔で戦闘を回してる。戦闘でのライルの出番はめっきり減り、あれ?これ俺いらねえんじゃね?、とライルが考える程には上手く回っている。タマに会いたくなってきているライル、帰っても良いかな?とか思っている時事件は起こった。
「ライルさん!敵が増えました!」
アリトからの救援要請だ。前を見ると前線に他の魔物集団が合流しつつある、アーチャー3にメイジ3、他にナイトとガードも居る。戦闘していた集団と併せると20匹を超える集団になる、ライルは即座に指示を出す。
「アリトさんにエンナさんは急いで後方へ、ミシェルさんは判断任せます、ルーシーさんは援護の準備を、ハマナさんは後方警戒で」
指示を出したライルは剣を横薙ぎに構えたまま前方に走る、途中アリトとエンナに射線が被らない位置で剣を横薙ぎに振るう、剣を振るうとその先に居たゴブリン達の上半身と下半身が分かれる。その間にアリトとエンナがライルの後ろに回り込む、それを見計らってライルがもう一度剣を横薙ぎに払う。
その瞬間ゴブリン達の動きが停止した、少し間を置いてゴブリン達が崩れ落ちる。無事ゴブリン達を一掃出来たようだ、ライルは密かに冷や汗を拭う。帰りたいなどと考え事してる間に襲われたのだから内心かなり焦った、焦りを見せないように気をつけながら皆の所に戻るライル。
「皆さん無事ですか?」
「はい、皆怪我は無いです」
アリトが代表して発言する、ライルも皆の無事を自分の目で確認する。
「すみません、状況を把握するのが遅れました」
ライルが頭を下げる、その様子を見て皆が恐縮する。
「ライルさんに責任はありません、ゴブリン共の湧く場所が悪かったのです、タイミング?って奴が悪かっただけですから気にしないでください」
とアリトがフォローする、フォローもタイミングも勇者由来の言葉である、因みにゴブリン等の魔物の名称も大半は勇者由来だったりする。
「ライルさんの助太刀に入る間は絶妙でした」
とエンナ、彼女にしてみたら絶体絶命かと思われた瞬間にライルが助けに入ったのだから。
「そうですよ」
「だよねー」
とはハマナとルーシー、2人とも見てる事しか出来なかったのを悔しくて思っている。
「ライルさんは自分の仕事をしっかりしましたよ」
ミシェルに言われライルの罪悪感が大きくなる。
「いえ、僕が悪かったです、油断してました、これからは気を引き締めて行動します」
再度頭を下げるライル、周りが困ってしまう、その時ミシェルが手を打ち鳴らし一言発す。
「許します」
そのミシェルの一言で場の空気が落ち着いた、流石ミシェルである。
「さぁ剥ぎ取りしましょう!」
ミシェルの号令で皆が動き出す、ライルもアイテムボックスに素材や武具を仕舞っていく。仕舞いながらライルはミシェルの評価を更に上げる、ライルの中でミシェルはかなり出来る有能な人となっていた。
「そろそろ地上に戻りませんか?」
ライルが提案する、皆も了承したので地下10階に降りる事にする。地下10階に到着しボス部屋の大扉を開け中に入る。
「今日も僕が片付けますので皆さんは戦闘準備だけして待機願います」
そしてあっさりとゴブリン達を全滅させるライルである、神妙な顔をしてても結局は早く帰りたいのだ。
「流石ライルさん!」
「一撃ですね」
「早速素材拾いましょう」
「今日は幾らになるかな?」
「片付けましょう」
アリト・ミシェル・エンナ・ルーシー・ハマナの言である、皆ライルの行動に慣れたようだ。
「収納しますから剥ぎ取りよろしくお願いしますね」
素材や魔石に武具などを収納していくライル、全て回収し終わって転移の魔法陣へ向かう一同。
「では戻りましょうか」
皆で転移陣に乗り地下1階に戻る、そのまま地上に出て買取りのカウンターへ、前日と同じで倉庫に回される一同。倉庫に収納した品を出していく、後は査定待ちだ。
「わかってましたが…一度の探索で持ち込む量じゃ無いですね」
ミシェルが少し呆れ気味に言う、周囲の皆も頷く。
「でも便利でしょ?」
そのライルの言葉にも皆が頷く、一貫性の無いメンバー達である。
「査定終わりました」
査定人から声が掛かる、昨日より量が多いので金額は期待出来る。
「金額6枚丁度ですね」
査定人からの声に周囲が沸く、ミシェルだけが「えっ」「えっ?」と周囲から取り残されている。
「パーティ貯金の分を引いて1人頭銀貨8枚でどうですか?」
「貰い過ぎだと思います」
とアリト。
「ホント、他パーティに行けねぇなぁ」
とエンナ。
「アリトさんに一生付いて行きたいわぁ」
とルーシー。
「武器の購入資金にします」
とハマナ。
「何かが間違ってる…」
とミシェル。
「それと明日はアイテムボックス無しで行きます、素材収集も勉強しないといけませんからね」
一部から悲鳴が上がる。
だがミシェルだけは納得した顔をしている、自分の通った道(金欠でのボス戦)を皆にも歩ませたいのだ。
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