面接2
翌日昼、ライルはタマを連れて冒険者ギルドに来ていた。併設酒場にて昼食を取り、飲んだくれてる冒険者をひと睨みしてから酒場を出る。
ライルがタマを連れて酒場で食事するのは不良冒険者達に"ウチのタマにちょっかい出したら俺が相手するぞ"との無言の圧力である。過去に色々した事が効いている。
そのまま受付カウンターに行きマリを呼んでもらう、やって来たマリに挨拶してお手伝いさん募集の様子を聞く。
「実は募集は出していません、今回紹介したい方が駄目だった場合に人材募集しようと考えてます」
「ギルドはそれだけその方に自信があるって事ですね」
「ぶっちゃけるとライルくんは運が良いよー、お手伝いさんなんて言葉じゃ言い表せない程出来る人なんだから」
「そんなにですか!」
マリの言葉にライルは緊張してきた、ウチにそんな凄い人が来てくれるのだろうか?
「もう来てるから何時でも面接出来るよ」
「ではお願いします」
「案内しますのでコチラにどうぞ」
マリの案内で個室の前に着く、マリが扉をノックしてから声を掛ける。
「アリアさん、中に入ります」
マリが扉を開けライルとタマを中に促す、ライルが中に入ると女性が立っている。女性は明るい茶色の長髪を首のあたりで縛り肩に流している、瞳の色は焦茶色で顔は整っている。歳は30前後だろうか?全体的に清楚な感じである。
「アリアです、よろしくお願いします」
アリアが頭を下げる。釣られてライルも頭を下げる、マリがライルとタマに席に着くように促す。
「こちらの方が今回の依頼をなさったライルさんです」
マリがライルを紹介する、アリアは再度頭を下げて応じる。
「ライルです、今回は僕の家での家事をアリアさんにお願いしたいと思います、隣に居るタマの面倒も見て貰う事になるのですが…獣人でも大丈夫でしょうか?」
ライルはタマを見ながらアリアに尋ねる。
「人種と獣人種との違いは解りませんが人種と違い無いのなら大丈夫です」
アリアがタマ見て微笑みながらはっきりと答える、その瞬間ライルは"この人なら大丈夫"と確信した。
「では今後よろしくお願いします」
と頭を下げて答えるライル、瞬間場の空気が変わる。ライルが周囲を見回すとマリが何とも言えない顔で、アリアが困った様な顔でライルを見てる。
「ライルく〜ん、面接って言葉の意味知ってる?」
マリがジト目でライルを見る。
「あの…私まだ自己紹介して無いのですが」
アリアが困ったように言う。
「すみません、急ぎ過ぎました、アリアさんの自己紹介お願いします」
ライルは嫌な汗を掻きながらアリアに促す。
「はい、名前はアリアと申します、歳は34歳で2人の子供が居ます、以前はとあるA級冒険者様の下でお手伝いなどをしておりました。その冒険者様が引退する折にお暇を頂き、今回ライル様との面接に応募させて頂いた次第でございます」
「アリアさんはお手伝いなんて言ってるけど実際はギルドとの折衝や秘書的な事もしてたのよ」
どうやら凄い人らしい、ライルが反応に困っているとタマが
「おばちゃんのことばむずかしい…」
と一言、マリが吹き出しアリアが微笑みライルが冷や汗を掻く、アリアがタマに向かい優しく言う。
「ごめんねタマちゃん、おばちゃんライルさんの前で緊張してたの、これからは分かりやすく話すから許してね」
臨機応変に切り替えてきたアリア。
「採用!即採用です!」
とライル、珍しく興奮している。
「おばちゃんうちにきてくれるの?」
「そうだよタマ、それとおばちゃんじゃなくアリアさんって呼ぼうね」
「ありあさん!」
タマが笑顔でアリアの名を呼ぶ。
「すんなり決まったねー」
とマリが笑顔で言う、アリアが「良いのでしょうか?」と少し困惑顔、ライルとタマはニコニコと笑顔、どうやら纏まったようだ。
「では私は退室しますので細かい打ち合わせは御三方でお願いします、ライルく〜ん、私に感謝してね」
とマリが出て行く。
「では細かい事を決めましょう、まず働くのは日の日を抜かした週6日お願いします。時間は要相談で賃金は日当銀貨2枚です、支払いは日払いでも週給でも対応出来ます」
アリアは少し考え発言する。
「週6日は大丈夫ですし賃金にも不満はありません、仕事内容は家事全般でよろしいですか?育児も含めますと時間は長めが良いと思うのですが?」
「タマに関しては月の日・水の日・金の日に家庭教師が来ますのでタマを見てくれます、家庭教師は朝8時から17時まで居ますし僕も毎日17時には居ますので17時以降は大丈夫です」
「それは良かったです、娘が成人前なのであまり遅い時間までは家を空けておけなくて。では私も家庭教師の方と同じ時間がよろしいでしょうか?」
「いえ、無理の無い時間で大丈夫ですよ」
「大丈夫です、8時から17時でお願いします」
と色々と決めて行く。
「では明日からお願いします」
とアリアに頭を下げる、アリアも頭下げ「こちらこそお願いします」と返す、タマもアリアに頭を下げて「おねがいします!」と言っている。
3人は部屋を出てマリに挨拶してから別れる、アリアは帰宅、ライルはマリに相談だ。
「マリさん、EかDランクで素行の良い冒険者居ないかな?、ちょっとパーティ組みたくて」
「ライルくん後輩冒険者の指導でも始めるの?」
「違うとも言えないかな?」
「ギルドとしては助かるし指導は昇格にも影響するよ」
「ホント!なら丁度良いかな、家庭教師のミシェルさんとパーティ組むのに人が足りないんだ」
「あーあの娘ね、だから組む人材選ぶ訳ね」
「だから頼める?」
「良いよー、厳選しとくね」
マリにお願いしてライルはタマの手を引き帰路につく。
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