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#8 山村の秘密

~ルルン~

20代くらいの青年。

イラスト、アニメ、ゲームが趣味。


文章は丁寧に書き込むけど遠回りな表現は苦手。

小説の腕はアマチュアなので、優しく見守ってね。

#8 山村の秘密


ゴールデンウィークも終わった5月の終わり。

学校では中間テストの時期が差し迫っていた。

そんなある日の昼休み。


「やあ、翔くん。もうすぐ中間テストだねぇ。僕と一緒に勉強でもするかい?」

さっそく山村が話しかけてきた。


「嫌だよ、昼休みまでそんな、勉強したく、ない...」

「じゃあ僕の彼女たちも一緒に勉強すると言ったら?」


「わ、わかったよ...一緒に勉強するよ...」

け、決して山村の彼女たちに会いに行くわけじゃない......!!

頭ではそう思っていても、本能はそう簡単に騙すことはできなかった。

...って、彼女、たちだと...?


---


山村と図書室に連れてこられた僕


「あ、ゆうくーん!みんな待ってたよーぉっ!」


見ると3人の女子生徒たちが教科書やノートを広げて待っていた。

おい、お前...もし僕がいなければ大変なことに...このナルシスト野郎っ...!

...と、高ぶる感情(の僕)をよそに、山村は、


「お待たせ、みんな☆

今日は僕の友を連れてきたよー?」

僕の知らないところではこんなことに...!

すると僕から見て左側の女子がこんなことを言い出した。


「へえー、ゆうくんが男の子を連れてくるなんて珍しーい。いいの?

恋のライバルになるかもしれないんだよー?」

「そうだよー、私たちはゆうくんにしか興味ないのにぃ。

自由に選べなくなっても知らないんだからねー?」


変な汗をかいてきた。落ち着け、俺。

こんなところで屈している場合ではない...!!


「きゃああああ!!」

すると突然、図書室で鳴り響く悲鳴。

さすがにみんなざわつきはじめた。


「こ、これ...一体何事ですか...?図書室で悲鳴なんて...」

慌てて席を立つ図書の先生。


「ちょっと見てくる。」

そう言って悲鳴のするほうへ歩いていった山村。

慌てて僕も後を追う。


悲鳴がしたのは、あまり人気(ひとけ)のない、いちばん奥の場所。

高い本棚と本棚に囲まれているその場所で、

呆然と立ちすくむ男子生徒と、その横で気絶しうずくまる女子生徒がいた。

あれ、この子、どこかで見た覚えが...

すると山村が、うずくまる女子生徒を抱えてさらに奥へと連れていった。

なんだなんだと騒ぎが大きくなる図書室。


「えー、皆さん。静かに。

えー、急に体調が崩れることくらい誰だってあります。

ですので落ち着いて...ここは担任の先生に任せますので連絡を...」


何かを知っているかのような図書の先生。

するとすぐに担任の熱血教師、厚木(先生)がやってきた。

え、担任の先生って...厚木...?だとしたら、さっきの彼女は...


「おい!!大丈夫か!!梶原!!」

やっぱりそうだ。同じクラスの梶原(かじわら)さんだ。

彼女はクラスでもなかなか馴染めず、ずっとひとりで過ごしている。

それもそのはず、緊張すると気絶してしまうという

極度の人見知り体質のせいで。


「せ、先生...」

「わかった、すぐ保健室に行こう。山村!!お前も手伝え!!」


厚木と山村に援護されながら、3人は保健室へと向かう。

しかしなぜ、彼女は気絶してしまったのだろう。


その答えは先ほど彼女の前で立ちすくんでいた男子生徒が知っていた。

「あ、あの...ちょっと...僕...が本を取ろうとしたら、その...

隣で背が足りずに上の本に届かなかった彼女がいて...

それで...その本を取ってあげた...だけなんです...!だから僕は何も...」

なるほど、それを彼女は好意があったと勘違いして気絶、か...

事情を知らない彼には悪いが、僕はすべてが繋がってスッキリしていた。


---


それから、山村と幸佳のことが気になった僕は保健室へと

様子を見に行った。

そうして保健室の扉を開けようとしたその時。

ガシャンと扉が開いて中から山村と厚木が出てきた。


「は、春野...?!まさかお前....!」

「いいんです先生。彼は僕のお友達ですから。」


何のことやら、と立ちすくむ僕に、山村が続けてこう言う。


「先生。彼にも僕の秘密を教えようと思います。」

「な、なにぃ?!」


---


先生と山村、そして僕の3人は保健室奥の相談室で

山村の話を聞くことになった。


「そ、それで秘密って...」

僕がさっそく話を聞きにいく。


「ああ、さっきの彼女のことなんだが。」


確か悲鳴が聞こえたとき、まったく動じず

彼女をなんとかしようとしていた。

厚木(先生)のごくり、という音とともに緊張感が漂うこの部屋。


「実は彼女、僕の妹なんだ。」


ダン ダン ダーン

...と、衝撃音が聞こえてきそうな驚きっぷりでこちらを見る厚木。

おいおい、真面目な話をしているのに邪魔をするな。


「彼女は僕より半年違いの妹なのだが、実は...

僕と妹は、母親だけ同じで父親が違ってな。」


ちょっと複雑な家庭環境みたいだな...。


「そう、、母は僕を産んだ後に離婚、再婚した。

その再婚相手との間に産まれたのが妹というわけだ。」


だから苗字が違うのか...


「その後、再び離婚する際、僕は妹と一緒に父親...といっても僕にとっては

義理の父なのだが。

...まあ父親のほうに連れていかれることになって...」


まったく母親失格だな。

...当時の山村は反抗できなかったのだろうか。


「そのときから妹は引きこもりになり、

小中はほとんど学校に行かなくなってね...。」


可哀想すぎだろ...


「それで...妹の将来を心配した父が

高校だけでも、と僕と同じ学校に妹を通わせるよう手配したんだ。」


なるほど...それで先生方は事情を知っているわけか。

義理の父がまだいい人でよかったな...

きっと責任を感じているのだろう。


「そんなわけだ、春野。だから先生はこいつらがいじめられるんじゃないかって

心配して...!!うぉーんおんおん!!」

そう言いかけて突然大声で泣き出す厚木。


「せ、先生...これはちょっと大げさだけど、、

妹や僕のことを心配してあえて皆には秘密にしてくれているのは本当だ、よ☆」


まあ確かに...いきなりすべてを話したら、

妹や山村の関係が気になって首を突っこむ(やから)が出てくるかもしれない。

それに妹はあんな状態だものな。同じクラスとはいえ

裏でいじめられたりしたら取り返しがつかない。


「で、でも...クラスのみんなには話したほうが...」

「もちろんそのほうが安心だと思うよ。けれど...」

「けれど...?」


キーンコーンカーンコーン...


...と、話を聞いている間に予鈴がなった。

もうすぐ昼休みが終わる。


「おっと、その話はまた後にしようか。では先に教室に戻らせてもらうよ☆」

...と急いで席を立ち去ろうとする山村。

僕もさっさと席を立ち、山村を追う。


「まったく...いい友達ができたみたいだな...」

ひとり相談室に残された厚木はそう呟いた。

僕に秘密を語ったということは、山村に信頼されている証なのだろう。

教室へと向かう山村の背中が、いつもよりも幼く見えた...。


続く...?


はじめまして、ルルンです。


クスッと笑える作品を作りたくて文章を書きはじめました。

気軽に反応を頂けると嬉しいです。


少しでも楽しんでいただける作品を目指していきます、

どうかよろしくお願いいたします!

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