#63 謝罪
~ルルン~
20代くらいの青年。
イラスト、アニメ、ゲームが趣味。
文章は丁寧に書き込むけど遠回りな表現は苦手。
小説の腕はアマチュアなので、優しく見守ってね。
#63 謝罪
3月中旬。
ここ数日、変な噂を流されて普段通りの生活が
脅かされていた今日この頃。
誠による噂の元凶は一旦収まり、すっかり落ち着いて...などはいなかった。
「なあ、聞いたぞ。三股ってのは嘘だったらしいけど
水野さんにチョコをもらったのは本当だったらしいじゃん!!」
またクラスの馴染みのない男子たちに声をかけられた。
「もうすぐホワイトデーだよな、お返しとかすんの?すんの?」
「おい、てめぇら!何翔のこと困らせてるんだよ?!」
今度は池戸が助けてくれた。
「ひ...池、戸さん...!これはこれは...」
「痛い目見たくなけりゃさっさと翔から離れろ。」
ひえー、と逃げていく男子たち。
クラスメイトなのだがな。。。
「あり、がと、池戸...」
「フン...お前にも迷惑かけたからな。
こんなことでよければ力になってやる...」
池戸もずいぶん変わったな。
...そして山村と幸佳がやってきた。
「おはよう、友、池戸。」
幸佳もこくり、と頭を下げた。
「今日は幸佳と一緒だったから...友ひとりだったけど、大丈夫だったかい?」
噂が流れてから特に心配してくれている。
「あ、実はさっき...」
池戸のほうを見てみたが、そのときにはもう池戸の姿はなかった。
「そういえばさっき池戸のやつがいたねぇ。...大丈夫だったかい?」
むしろ池戸のおかげで助かったんだよ、山村。
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昼休み。
山村と一緒に過ごしていると、美里愛が山村に声をかけた。
「こんにちは、山村さん。休憩中すみませんが厚木先生がお呼びです。」
委員長状態の美里愛はとてもとても丁寧だった。
「ありがとう、それじゃあ...」
すると僕の腕を引いて山村と一緒に職員室に向かおうとする。
「...委員長さんはもう用事は済んだのではないですか?」
「いえ。私と翔も見届け人としてお呼ばれしているのです。」
そ、そう、だったのか...
---職員室にやってくる。
するとそのまま隣の相談室に案内された。
「先生。翔...春野さんと山村さんを連れてきました。」
相談室には誠と厚木先生、福岡先生もいた。
「おう!そこに座っていいぞ!」
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誠に福岡先生、山村に僕...
ということは、例の噂事件についての話かな。
「...まずは誠さん。春野さんと山村さんに言うことがあるのではないですか?」
福岡先生が強い口調で誠に言う。
「はい...翔、さん、山村、さん。
この間は変な噂を流させてしまって申し訳ございませんでした...。」
そう言って深々と頭を下げる誠。
ちゃんと反省してくれたならもういいよ。
「...では、山村さん、佐加井さん。
謝罪を確認いたしましたので、噂の鎮火をよろしくお願いします。」
噂の...
「噂の鎮火、ですか...?」
山村も呟く。
「はい、そうです。これ以上余計な噂が流れないよう、
噂を流している者や噂を信じている者たちにすべて嘘だったと伝えるのです。」
「はい、分かりました。」
美里愛がすぐに承知していた。
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翌日。
もう変な噂は流れてはおらず、ようやくいつもの日常が訪れた。
「おはよう、友。」
さっそく山村が声をかける。
「おはよう...山村...。」
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昼休み。
山村と過ごしていると、久しぶりに美歩が話しかけてくる。
「うーっす。やっと気軽に話しかけられるっすねー。」
ここ数日、気を遣って話しかけて来なかった美歩たち。
協力してくれてありがとな。
...そうて水野さんと幸佳もやってくる。
「お、お疲れ様、です翔くん、山村さん...!」
そう声をかける水野さんはなんだか嬉しそうだった。
「あ、皆さん、ちょうどよかった。僕です、このはです...。」
そう言って教室に入ってきたこのは。
しかもひとりではなかった。
「あ、彼が僕の友達、岩田義輝くんです。」
そう、誠に操られ噂を流していた人だ。
「.......」
このはの後ろに隠れ、うつむいたまま申し訳なさそうにしている岩田くん。
「友達っすか?よろしくっす。」
美歩が岩田くんに声をかける。
すると美歩を見た岩田くんは泣き出してしまった。
「ひゃあぁ?!自分、生き別れの姉弟にでも似てたっすか?!」
変な設定をするな、美歩。
「ち、違うですよ...彼は...」
すると山村が岩田くんに近づいていた。
はああ?とよくわかっていない美歩。
「悪いのは誠だ。君も辛かったね...」
そう言って岩田くんを優しく撫でている山村。
僕も岩田くんの隣に行ってあげた。
するとそれを見ていた誠と池戸もやってくる。
そのまま誠が山村に声をかけた。
「...なあ、山村...」
岩田くんを撫でたまま無反応の山村。
しかし誠は続ける。
「僕は...君に憧れていたんだ...」
誠の話が始まった。
「君は昔から、勉強ができ、友達ができ、みんなに頼られる。
だから僕もみんなに頼られたくて、必死に努力した...」
最初の頃は誠にもいい刺激を与えていたのか。
「その甲斐あって、僕は君と肩を並べるほど勉強や運動ができるようになった。
けれど、誰かに頼られるような存在にはならなかった...!」
勉強はでき、親や先生からは褒められても
クラスでは山村のライバルとしか見られていなかったものな。
「気がつけば勉強漬けの日々。君に勝つことだけが僕の生き甲斐となっていた。
だから僕は君と戦い続けたいと思った...!それなのに...!」
それなのに、いつも友達と遊んでばかりの山村を見て
怒りや悔しさがこみ上げてきた...そんなところだろうか。
...誠は崩れ落ちていた。
「完敗だよ、山村...退学でも追放でもなんでも受ける...だから...」
「だったら最初から言えばよかったのにな」
山村のひと言で顔を上げる誠。
顔をあげたその先で山村が手を差し伸べていた。
「友達になるか?誠。お前にも勉強以外の生き方を教えてやる。」
誠は山村の手を取ったあと一緒に立ち上がった。
おお、おおー!!
すると2人の周りからは
大きな拍手と笑顔がこぼれていた。
「山村...お前ってやつは....!」
拍手でいっぱいの中、誠は泣いていた。
「よかったです、ううっ...」
このはももらい泣きしている。
「本音を伝えるのってとっても勇気のいることです...
今度誠さんにも勉強教えていただきますね...!」
水野さんも半泣きしている。
「こういうの苦手なんっすよー...ううっ、ううっ...」
美歩だって泣いている。
「フン...」
池戸は向こうを向いているが、きっと泣いているだろう。
そして山村が僕に話しかけてきた。
「...ありがとう、友。君のおかげで誠と仲直りできるようになった...」
ぼ、僕...?!
特に何もしていないのに...
「君と過ごしているうちに、僕は...友達という存在の温かさ、優しさ、大切さ、
そのすべてに気がついたんだ...だから、誠のやつにも教えてあげたかった...」
山村...
「僕からも礼を言わせてもらう...ありがとう、翔...!」
誠からも礼をもらう。
「よし、誠。今日は特別に幸佳と一緒に勉強してもいいぞ!」
すると誠よりも池戸のほうが食いついてくる。
「おい、山村!俺も幸佳と勉強させろ!」
涙でいっぱいだった空気は笑顔へと変わる。
春を告げる風が、みんなを次のステージへと連れて行ってくれるのであった。
続く...!
はじめまして、ルルンです。
クスッと笑える作品を作りたくて文章を書きはじめました。
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