#5 GW(ゴールデンウイーク)-招集編
~ルルン~
20代くらいの青年。
イラスト、小説、ゲームが趣味。
文章は丁寧に書き込むけど遠回りな表現は苦手。
小説の腕はアマチュアなので、優しく見守ってね...?
#5 GW-招集編
4月の終わり。昭和の日。
本格的なゴールデンウイークを前に、姉とその予定を話していた。
夕食を食べながら...
「んんーっ、このマスタードうまぁーっ!!
目玉焼きにめっちゃあうじゃん!!」
今日の夕食は、目玉焼き乗せカレーと簡単サラダ。
「おいおい、せっかくカレーの上に乗ってるのに
マスタードかけるのかよ...」
「だって試しにかけてみたら美味しかったんだから仕方ないじゃーん!」
そもそも目玉焼きにカレーをかけて食べたいと言い出したのは姉だったのに...
それはそうと、
「...あぁ、目玉焼きの話じゃなくて、今度のゴールデンウイークの話。」
話を元に戻す。
「そうだったわね。えーっと今度の休み、おばさんが車でどこか
連れていってくれるって話だったよねー?」
そうそう。僕が姉のところに来たことを知ったおばさんが
僕に会いに来るのと同時に遊びにまで連れていってくれるとのこと。
「どこか、って...これから決めるのか?」
「そりゃあそうよー!んで、私が大人数で行きたい!って言ったら
なんとおばさん、ミニバン出してくれるってー!!楽しみ!!」
お、大人数...?
一体誰を...?
姉の友達、などと期待した僕の考えはすぐに裏切られることになった。
「だからよろしくね!!美歩とか藍とか優雅とか!!」
「...は?」
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それから学校で3人を誘ってみたところ、まさかの全員OKだった。
--1 山村
「なんだって?!嬉しいよ、翔くん!!さすが我が友&姉!!」
「い、いきなり明後日なんだぞ...?予定とかは...」
「あるわけないだろう。強いて言えば...
家でひとりで過ごす予定、だったかな☆」
なるほど、山村って本当はただ...
...と、その言葉にはこの前の話とは矛盾がある。
「妹や家族は...?予定とかあるんじゃないのか...?」
「ああ、妹は父と実家に帰るんだ。」
何っ?父と妹...?
「...山村は実家に帰らないのか?」
「まあ...色々あって今回はひとりのほうが楽なのさ☆」
な、なるほど...
今はあまり深堀しないほうが良さそうだ。
それはそうと、まずは山村の許可が出た。
--2 水野さん
「えっと...私、が、ですか...?」
相変わらず謙虚な姿勢だ。
「う、うん...その...無理にとは、言わないから...」
姉以外の女の人に話しかけることのない僕は
どのように誘ってみたらいいのかわからなかった。
すると、さっきまで静かだった水野さんだったが、
「行きます!はい、絶対に行きます!!」
突然目を輝かせてこちらを見ていた。
この反応には、姉の誘いだとわかっていても自分が誘ったみたいで嬉しかった。
「い、いいのか?明後日で...予定とか...」
「あったとしても、そちらを優先しますよっ!!」
今までの水野さんとは大違いだ。
まるで内なる情熱が水野さんを突き動かしているよう。
「うおっ?水野さんがはしゃいでいる...?!」
「誰だよ、あの男は...もしかして彼氏?」
「すげー、いつもはあんなに静かなのに、どうして...?」
...と、つい廊下で呼び止めてしまったため、
ほかの生徒の目に入ってしまっていた。
「す、すみません...また明日っ!!」
明後日だよ、水野さん...
なにはともあれ、水野さんからも許可が出た。
--3 新井
「えー、マジー?いいんっすかー?」
相変わらずノリが軽い。
「あ、明後日だぞ。急な誘いだから他に予定があれば...」
「ないよ。大丈夫。自分一人暮らしなんだし。」
それならいいのだが。
「それに...藍も一緒に来るんだろ?」
なぜそれを...と聞くまでもなくすぐに話してくれた。
「あいつがさ、さっき嬉しそうに話しに来てよ。
ちょうど自分も行きたいなーって思ってたところ。」
本当、仲がいいんだな。この2人。
こうして美歩からの許可も出て、3人と僕、そして姉とおばさんの6人で
出かけることになった...。
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ゴールデンウイーク初日の朝。
ピンポーン...
早くもインターフォンのチャイムが鳴る。
「あ、はーい!」
そう言って姉が扉を開けると、そこにはおばさんの姿が見える。
「おばさん!!久しぶりー!」
「久しぶりね!美月、それに翔。」
真っ先にやってきたのは僕と姉の
父方の姉、友梨亜おばさんである。
「へえー、なかなかいい住まいじゃないのー。」
おばさんは家に入って早々、興味津々で部屋の中を見回しはじめる。
「こんな若いのにこれだけ十分なところに住めるってことは
美月も頑張っているのねーぇ。」
「いやあ、おばさんに比べればまだまだだよー、、、」
おばさんは地元から上京してから大手企業に就職し、
今ではその会社で部長として働いている。
女性で大手企業の部長になるのだからなかなかのものだ。
家の家系でも一番年収がよく、時々僕たちにも
シャインマスカットや黒毛和牛などを送ってくれる。
優しくて容姿もよく、みんなから頼りにされている人だ。
...それなのに、家族どころか彼氏すらいないのはなぜだろう。
「それでそれでー、彼氏さんとかはー...?」
にやけた顔の姉は、さっそくおばさんに禁断の質問をする。
「やーね、もう!美月ってばー!私もう50過ぎだってわかってるでしょー?
今更彼氏なんてつくる気ないワ。」
自分の年齢も気にしない、本当に元気なおばさんだ。
などと話をしていると、
ピンポーン...
再びインターフォンが鳴った。
どうやらみんなが来たらしい。
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外に行ってみると、そこにはちょうど3人とも集まっていた。
「お、おはようございます...今日は...その...」
真っ先に挨拶をする水野さん。
「大丈夫よ、気を使わなくて。」
すぐに水野さんをフォローする姉。
「...あ、こちらがそのー、私たちのおば、、、えーっと...
いや、先にみんなの自己紹介が先かなー?えーっと...
この子たちは翔のーそのー...」
こんなところで優柔不断になるな!!
...と聞いて呆れる僕をよそに、みんなが勝手に自己紹介をしはじめた。
「こんにちは皆さん。僕は彼の親友である山村優雅と申します。
以後お見知りおきを ☆」
おばさん以外皆知ってるだろ!!
...とツッコむのはさておき、自己紹介は続く。
「あの、はじめまして。私...翔くんと同じクラスの水野藍です...。」
翔くんと呼ばれたときはドキっとしたが、彼女はおばさんに対して
自己紹介をしているんだった。
「うっす。自分もその同期の新井美歩っす。」
相変わらず淡白な自己紹介だ。
けれどいつも通りの美歩で逆に安心した。
「みんなよろしくねー!...あ、そうそう。私は美月と翔のおば、
春野友梨亜。...まあ私独り身だから、別に気を使わなくて大丈夫よ!」
おばさんとは思えないほどのテンションに、水野さんは
さっそく圧倒されている。
「す、すごいパワフルなお...お方ですね...」
「やだもー!気を使わなくていいって言ったばかりなのにー!」
あはははは、とおばさんが笑いだすと、みんなも笑い出していた。
みんなといると、なんだかんだでとても楽しいんだな、とあらためて思った。
続く...?
はじめまして、ルルンです。
クスッと笑える日常系作品を作りたくて作品を作りはじめました。
作品の投稿にはあまり慣れていないので、
暖かい目で気軽に見てもらえると嬉しいです(^^♪