#32 副担
~ルルン~
20代くらいの青年。
イラスト、アニメ、ゲームが趣味。
文章は丁寧に書き込むけど遠回りな表現は苦手。
小説の腕はアマチュアなので、優しく見守ってね。
#32 副担
9月に入って1週間。
学校のリズムにも慣れ、すっかり元の生活に戻ってきた。
そんなある朝のHRの時間。
キーンコーンカーンコーン...
「えー、皆のもの!!今日から私は学校の職員の...」
すると突然、ガラガラと扉が開く。
「厚木先生!お話は済みましたか?」
いつものように話す厚木(先生)を遮ったのは
美歩ではなく副担の先生だった。
普段は滅多に顔を出さない副担の登場にざわつく教室。
「これ!何をそんなにざわつくことがありますか!
いいですか?厚木先生は職員研修により
今日からしばらく席を外されるのです!」
「お、おう...そういうことだ...」
あの学校一熱血の教師と自負する厚木が押されている...?!
めったに見ない光景に驚きを隠せないみんなであった。
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...厚木が研修でいなくなったということは、彼の担当教科である体育の授業も
別の先生が担当することになるのである。
そして何故か例の副担がそれを担当することになった。
「皆さん。本日の体育は体育祭の練習だと聞きましが
自主練習とのことでしたので、念のため私が見に来ることになりました。」
おいおいマジかよ。
せっかく体育館を使えるし、
山村とドッジボールでもしようと思ったのに...
「これこれ。誰ですか?!ドッジボールをしようと企んだ人は...!」
ギクッ...
思考を読まれた...?!
と思ったら...
「いけませんねえ、新井さん...誰も見ていないからって
練習をサボってはいけません!!
昼休みにでもしてください、ドッジボールなんて...!」
副担に怒られたのは美歩だった。
それもそのはず、美歩の手にはドッジボールのボールが握られていた...
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昼休みになった。
いつものように山村と一緒に昼休憩をしていると...
ガラガラガラ...
教室の扉が開く。
そこに立っていたのは夏休みの登校日、幸佳を襲おうとした彼だった。
「お、お前は...」
「くく...見たぞ。厚木のやつが学校を出ていくところを...!
いい加減俺のところに来い!!幸佳!!」
そう言って幸佳を連れ出そうとする彼。すると次の瞬間...
パシッ!!
後ろから何者かに叩きつけられ、そのまま倒れてしまった。
「...なんだてめえ...!!」
「池戸さん!!!いじめは許しませんよ!!!」
池戸...というその少年を叩きつけ、幸佳を守ったのはあの副担の先生だった。
「職員室に来てもらいます、みっちり指導致しますからね!!」
そう言って、抵抗する池戸を強制的に教室の外に連れ出していった。
副担...やるじゃないか。
...と、それよりも幸佳は大丈夫だっただろうか。
そう思った頃には既に山村と幸佳の姿はなかった...
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保健室に来た。
案の定、山村も幸佳もそこにいた。
「ごめん...守ってあげれなくて...」
幸佳の様子を見にきたはずなのに、山村に謝っていた僕。
「大丈夫さ、友。それより心配してくれてありがと、ね...☆」
そうだ...僕はこの2人を守ると決めたんだった...
「突然のことだったもの...無理もないわ。」
話を聞いていた保健室の先生が僕を慰める。
「まったく...池戸くんってば、厚木先生がいないと勝てると
思っていたのでしょうかねえ...」
ため息交じりに呟く保健室の先生。
「な、なあ...その池戸、って奴...なんとかならないの、か...?」
僕は山村に問う。
「僕たちに学校を辞めさせる権利はないよ。それに彼は中学時代、
空手の選手だったんだ...」
どうりで強いわけだ。
「彼は中学時代、全国規模の空手大会で優勝候補と言われていた...」
そんなに強いなら敵うはずがない...。
でもどうしてそんな彼が...
「...その大会直前、たまたま学校に来ていた幸佳を見つけて恋に落ちたらしい」
そのときから幸佳のことが好きだったのか。
「空手の大会で優勝して、幸佳にカッコイイところを見せられる
絶好のチャンスだった矢先、、一緒に帰る僕を見つけてしまったわけだな。」
な、なるほど...
それは確かにショックかも...
「そしてそのショックで空手の大会は力を発揮出来ず、予選落ち...」
だからあんなに幸佳への執着があるというわけか...
「つまり、池戸のやつが幸佳への執着をやめ、話を聞いてくれない限り
どうにもならないってことさ☆」
そんな明るく言えることではないよ...
けれどこのまま何度も襲われるわけにもいかない...
するとガラガラと保健室の扉が開き、池戸と副担の先生、
さらに研修でいなくなったはずの厚木が現れた。
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「おう!山村!春野!研修の途中だったが
副担の福岡先生の連絡のおかげで走って戻ってきた!」
研修ってそんな走って戻れる距離だったのかよ。
それはともかく...
「...ほら、まずは彼に謝るのです!」
「.....」
黙ったままの池戸に対し、懸命に謝るよう促す副担の福岡先生。
「ああ、池戸。お前のせいで大事な研修日が1日ずれた!!」
「厚木先生はちょっと黙ってもらえます?」
「は、はい...」
厚木の話をすぐに打ち切る福岡先生。まったく、空気を読め、空気を...!
すると黙っていた池戸がついに声を出す。
「ご...ごめん...」
おお、と驚く山村だったがすぐにこう返した。
「ありがとう、謝ってくれて...そして僕も君に謝るよ...
勘違いさせて...君から空手の道を奪って...すまなかった...!」
そう言うと池戸に向かって深々と頭を下げる山村。
それを見た池戸は、
「なぜ、だ...俺は....お前のことを恨んでいたのに...っ!!」
そう言いながら、涙を流して崩れ落ちた。
「よかったわ...これで仲直りできたかしら...」
そう言った保健室の先生の目には涙がこぼれていた。
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放課後。
僕と山村、幸佳の3人で帰ろうとすると、池戸が話しかけてきた。
「山村。幸佳。今まで本当にすまなかった。」
申し訳なさそうに近づく彼に、戸惑っている幸佳。
それもそのはず、幸佳は昼休み、気絶で休んでいたため事情を知らない。
池戸を見て少し怯えている幸佳。しかし...
「今日、福岡先生に戸籍を見せてもらうまで
お前と幸佳は本当に兄妹だと思っていなかった...」
話す口調が柔らかくなった池戸に、幸佳は緊張していなかった。
「な、なあ...お願いだ、、幸佳を...俺に...」
やはりその執着は変わっていないのか。すると山村は...
「いちど怯えた彼女が君に安心して近づくのは難しい。
それでもなお近づきたいというのかい?」
池戸の動きを探っている様子。
「もう絶対に力づくで解決しようとしない!!だから...!」
そう叫ぶ池戸の口を押さえ、山村はこう続ける。
「わかったわかった。それでは今から僕の家で
幸佳と僕と父さんに君の本気を詳しく聞かせてしてもらう、よ☆」
「な、なんだよ!それ!!」
こうして山村に連れられていった池戸。
池戸が反省してくれてよかった...そう思う僕だった。
続く...?
はじめまして、ルルンです。
クスッと笑える作品を作りたくて文章を書きはじめました。
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