#25 台風
~ルルン~
20代くらいの青年。
イラスト、アニメ、ゲームが趣味。
文章は丁寧に書き込むけど遠回りな表現は苦手。
小説の腕はアマチュアなので、優しく見守ってね。
#25 台風
8月2日。
奄美大島に台風接近中のこの日。
強風域の中、父のミス(?)によりカップ麵を買いに行くことになった僕らは
さっそく近所のスーパーに訪れる。
するとそこには、東京では珍しい光景が広がっていた。
「うわあ、なんにもなーい!」
入って早々、そう叫ぶ姉。
「そりゃあ船止まってるからな...」
見ると生鮮食品である肉や野菜はもちろん、パンや牛乳、お菓子といった
ところまで品切れ状態だった。
「そっか、東京ではこんなことないんだっけか。」
うんうん、と頷く姉。
そうしている間にカップ麵コーナーを探す僕。
「えーっと...」
さっそく見つけたが、やはりここも種類が少なくなっていた。
「あ、見つけた?」
姉がやってくる。
「うん、けどほとんど...」
そう言いかけていると、姉はまた優柔不断になっていた。
「ああーっ!新商品のカップ麵だー...って高ぁ!!
噓でしょ、1個350円もする...けどどうしよう.....!!」
それ以外にはあと2種類ほどしかない。
すると父が黙ってその新商品カップ麵をかごに入れる。
「これくらい父が買ってやる。他に欲しいのはないのか?」
さすが父親。子どもには激甘だな。ということは、、、
僕も欲しかったその新商品カップ麵をかごに入れようとする。すると...
「お前のはこれな。」
そう言って僕の入れようとしたカップ麵を阻止して
ミニカップ麵を突きつける父。
「ははは、冗談冗談。もちろんいいに決まってる!」
突きつけたミニカップ麵と僕の入れた新商品カップ麵をかごに入れなおす。
まったく僕だけからかうなよ...
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家に帰ってきた。
相変わらず外は強い風が吹いている。
「お帰りお帰り。ほら、今夜には暴風域に入るみたいよ...。」
母は台風の心配をしていた。
「まあ雨戸も閉めたし、大丈夫だろ。」
母の心配をよそにかなり強気な父。さすが台風慣れしている。
「まだカップ麵残っとったんね。よかったよかった。」
一方のおばあちゃんはカップ麵の入った袋を眺めてそう言っている。
まあね、とさっそく袋からカップ麵を取り出す姉。
「おやおや、美月。今食べるためじゃないんだよ...?」
えっ、と驚いて袋から取り出すのを止める姉。
今食べてたら意味ないだろうよ、美月!!
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夜。
風が戸を叩き付けるほど強い風が吹き荒れていた。
そろそろ暴風域に入った頃だろうか。
予報では明日明け方まで暴風域とのこと。
2階にいた僕は、台風を心配した山村と電話をしていた。
「友。台風のほうは大丈夫かい?寂しければ僕と...」
「うん、心配してくれてありがとう。ここは全然大丈夫。」
何か言いたげだったので先に手を打っておくことにした僕。
風は確かに強いが、常に吹き荒れているわけではない。
「そうか。それならよかった...」
安心している様子の山村。
「な、なあ...幸佳は元気にしてるか...?」
せっかくなので山村に幸佳の様子を聞いておく。
「ああ...幸佳は...めちゃくちゃ君のことを心配していたよ...!
木が倒れて家が潰れたり、大雨で家が浸水したりしてないか...って...」
かなり大げさだな。
「ぜ、全然そんなことはないよ。幸佳には心配ないよと....あれっ、
もし...もし...?」
突然電話は切れてしまった。
通信障害か...。
----一方の山村は。
「ああああ大変だ大変だ!友?友!」
だから大げさなのである。
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しばらくして、電話は再び繋がるようになった。
「お、おお!友!!大丈夫か?!怪我はしてないか?!」
「お、大げさだって...大丈夫。大丈夫。ちょっと電波の調子が悪いだけ...。」
台風に慣れていない人って大変だな。
「そ、そうか...」
再び落ち着いた山村。
しばらく沈黙が続く。
「あ...えーっと...」
沈黙に耐えきれずなんとか場をつなごうとする僕。すると
「いや、無事ならいいんだ。僕は友のことが心配で眠れなかっただけだよ...」
やはり友達想いなんだな、山村ってやつは。
「あり、がと...」
それじゃあ、と電話を切ろうとすると...
「か、翔!!お土産...待って...るから!!」
幸佳の声が聞こえたが、そのまま電話を切ってしまった。
まったく...
...と2人のことを思い浮かべてそのまま眠りにつく僕なのであった。
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翌日。
朝、起きると部屋は真っ暗だった。
「まだ明け方なのかな...」
そう呟いて電気をつける。しかし...
カチッカチッ...
電気はつかなかった。もしかして...停電?!
すると廊下のほうから懐中電灯の明かりが見える。
「おお、翔おはよう。今は朝の10時だ。ちょっと暗くて分かりにくいがな。
ハハハハハ!」
そう言って笑う父。停電だというのに元気だなあ。
父と一緒に下へ降りていく僕。
すると玄関からの光で少しだけ明るいリビング。
ちょうど僕以外のみんなもそこにいた。
「あ、翔!おはよう!」
カップ麵を食べながらこちらに声をかける姉。
「おはよう、翔。やっぱり停電しちゃったわね...早く直るといいんだけど...」
母は不安そうにしている。
「大丈夫っちば。まだ30分くらいしか経ってないがね。」
おばあちゃんも平気そうにカップ麵を食べている。
「そうだぞ玲奈。もう暴風域は抜けたんだから大丈夫。」
そう言って父は母と姉の間にいくと、
「それに、もしもの事があったら俺が守る。玲奈も、美月も。」
そう言って2人の肩に手を置く。
...って俺は?!
「あなた...」「お父さん...」
朝から一体何を見せられているのだ...
と、呆れる僕に父が声をかける。
「も、もちろんお前のことも守るから安心しろ!ただ、
やっぱりレディーファーストといってだな...」
はいはい、と言って顔を洗いに向かう僕。すると...
「あ、電気ついたよ!」
部屋中の電気がつき、一気に明るくなる。
おお、と改めて電気の偉大さに気がついた。
やっぱり台風が来ると大変だな...
そう思う僕であった。
続く...?
はじめまして、ルルンです。
クスッと笑える作品を作りたくて文章を書きはじめました。
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