#23 お出かけ
~ルルン~
20代くらいの青年。
イラスト、アニメ、ゲームが趣味。
文章は丁寧に書き込むけど遠回りな表現は苦手。
小説の腕はアマチュアなので、優しく見守ってね。
#23 お出かけ
7月31日。今日で7月も終わりだ。
夏休み期間としてはまだまだだが、姉の休みは来週までなので
遊ぶなら今のうちしかない。
昨日は母も帰ってきて、5人で暮らす久しぶりの日常が今ここにあった。
そんなこの日の昼。
「じゃあ遊びに行ってこようかな!」
昨日、一昨日から外に行きたがっていた姉。ようやく遊びに行ける。
「元気ねえ、美月。...翔も一緒に行くんでしょ?」
もちろん、と母に向かって頷く僕。
「そうだな、海に行くならカメラでも持って行ったらどうだ?」
父がそう言って1階の部屋へ向かう。そしてカメラを持って僕のほうへ。
「あったあった。これなら翔でも使いやすいんじゃないか?」
「...って俺が撮るのかよ...!」
思わずツッコむ僕。
「ははは、だって美月のやつは遊ぶことに夢中で、
カメラを渡したところで撮るとは思えんからな!」
それはそうだな。さすが父である。
「だからって俺...スマホでいいよ...」
正直このような本格的カメラはあまり使ったことがなく、扱い慣れていない。
それに万が一壊してしまったりしては大変だ。
「大丈夫大丈夫。ほら、こうやってここを回して...」
いいから早く外に行かせてくれ...。
「おぅ...?なんかすごく嫌そうだなぁ...」
ちょっと残念そうにカメラを置いて解放してくれる父。
なんかごめん。
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それから玄関のほうに行ってみると、姉の姿は見えない。
先に車に乗ったのかな。そう思って外に出ようとしたが、
まだ靴があることに気がついた。...あれ?
すると2階のほうから母と姉の声が聞こえた。
「えーっと、泳ぎに行くならこの服と水着を持って...」
「待って美月!海は人が多いからのんびり森で散歩するのもいいと思うわよ?」
「あ、それもいいかもね!そしたら虫よけスプレーとー...」
「いや、やっぱり海のほうが今の時間帯、綺麗かも...」
親子揃って優柔不断である。
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車に乗り込んだ。
父はこれから仕事があり、母はおばあちゃんとここに残るとのこと。
両親に見送られ、さっそく車は通りへと出る。
「ねえねえ、どこに行くー?」
結局決まってなかったらしい。
「どこって...海に行くんじゃなかったのか...?」
「えー、森で散歩もいいなーって...」
やれやれ。
そう思って島の観光MAPを広げる。
「へえー、そんなものいつのまに見つけたの?」
運転しながらチラチラとこちらを見る姉。
「さっきおばあちゃんがくれた。」
出かける前、おばあちゃんが持ってきてくれたのである。
こうなることを分かっていたのだろうか。
「とりあえず、進行方向にあるのは...」
すると突然、窓の外が暗くなってきた。そして...
「うわっ、急に降ってきた...」
ガラス越しに降ってくる大粒の雨。島の天気は変わりやすい。
バシャーッ、と音を立てて対向車が走る。
「さっきまであんないい天気だったのに...」
そう思ったのも束の間、再び天気は回復し、
さっきまでの雨が嘘のように輝く。
「海...行こっか。」
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「うわー!綺麗な海ー!」
やってきたのは奄美大島北部、倉崎海岸。
東シナ海に面した内海で、その美しさは奄美でも有数である。
そしてこの海岸、奄美クレーターと呼ばれる
日本ではじめて発見された隕石孔の一部で
波が穏やかなため家族連れにも人気だ。
ただ、この海岸にはトイレやシャワーの設備がない。
近くのホテルで借りることもできるが有料になるので注意が必要だ。
....エメラルドブルーと真っ白の砂浜。
さすが奄美大島(南国)の海。
ずっと見ていられそうな美しさである。
夏ということもあって。
浜にはたくさんの観光客の姿が。
「泳ご、泳ご!」
一方、姉はさっそくはしゃいでいる。
羽織を外して浜のほうへと進んでいた。
僕もそのあとをついていく。
...浜を歩き海のそばへたどり着いた姉と僕。2人とも水着は着ていない。
「...ってなんだ、水着着けてきたんじゃなかったのか。」
「今はちょっと足をつけるだけ...ああっ!」
足に波がかかる。だったらもう水着にして泳いだらどうだ...
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それからしばらくして。
近くにあるホテルの更衣室を借り、水着に着替えてきた姉。
「やったー!」
姉はすぐさま海に飛び入る。
一方の僕は、水着に着替えず浜の上から海を眺めていた。
すると姉のあまりのはしゃぎ様にほかの観光客たちも姉のほうを見ている。
しかしまったく気にせず沖へと泳いでいく姉。すると...
「あれっ!どうしよう...!ダイビングマスクがない!ま、あとでいっか...」
どうやらダイビングマスクを車に置き忘れてきてしまったよう。
「...あ!お魚!!やっぱりダイビングマスクがないと見れない...!」
ひとりではしゃいでひとりで困っている姉。
その様子を見た僕は、すぐさま
ダイビングマスクを取りに行...ったわけではなく...
「翔!!ちょっと何撮ってんのよっ!!」
はしゃぐ姉があまりにも映えていたので、スマホでその様子を撮影していた。
そう、撮(取)っていたのは写真だった。
これは水野さんが喜びそうだな。
こちらを睨んでいる姉に、ごめんごめんとすぐさまダイビングマスクを
渡しに海へと向かう。
念のため手に持っておいてよかった。
「翔は泳がないの?せっかく来たのに。」
浜に上がってきた姉が問う。
「まあ...写真を撮るのも楽しい...って思ったからな。」
...と、ふとスマホを見た僕は、今朝父が渡そうとして
(結局)持って来なかったカメラを思い出す。
「...カメラ持って来なかったの後悔してる?」
姉がそう言って僕のスマホを見ている。
「べ、別に後悔というか...」
まあ実際スマホでもある程度撮れるのだが。
「まあいいや!これ、ありがとね!私もう少し泳いでくる!!」
「気を付けろよ...」
そう言って沖に行く姉を見送る僕。
その様子を再び写真として残しておいた。
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夕方になった。
倉崎海岸は内海で、海岸の両側に低い山々が
海を挟んで連なっているため海岸線に沈む夕日を見るには向いていない。
けれど空は淡い橙色と濃い藍色のグラデーションですごく綺麗だ。
更衣室から戻って車へとやってくる姉。
僕が上を見上げていると、何も言わず一緒に空を見上げる。
藍色の空から少しずつ輝き出した星が見えてきた。
「綺麗な空...」
すると段々車の出入りが多くなってきた。
奄美大島の海岸は星空の観察スポットとしても人気があり、
この海岸も例外ではない。
みるみるうちに日は傾き、星たちが空を覆う。
「帰ろっか。」
こうして真夏の島を堪能した僕ら。
ずっとこの景色が残され続けてほしいと願う僕なのであった。
続く...?
はじめまして、ルルンです。
クスッと笑える作品を作りたくて文章を書きはじめました。
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