#18 onetuber(ワンチューバー)
~ルルン~
20代くらいの青年。
イラスト、アニメ、ゲームが趣味。
文章は丁寧に書き込むけど遠回りな表現は苦手。
小説の腕はアマチュアなので、優しく見守ってね。
#18 onetuber
7月になったある日の夕方。
今日は休日で姉と二人、仲良くゴロゴロしている。
[本日午後、東京都の住宅で刃物を持った男が...]
「あー、またこればっかり。なんでこうニュースって
こんなことばっかなのかねー...」
流れているテレビに文句を言い、チャンネルを変える姉。
[えー、こちらが刃物を持った男が現れたという現場です。現場周辺では...]
ピッ
[午後4時頃、刃物を持った男性に切りつけられ...]
ピッ、ピッ、ピッ...
「あー!うるさいうるさいうるさい!!」
だったら消したらどうなんだ...
...と、ふと僕はスマホで見ている動画を止め、
「だったら姉ちゃんもこれ見ろよ...」
そのまま姉に向けて静止している画像を見せる。
「何これ!!美味しそーっ!!」
...音月由珠羽。
世界的動画サイトonetubeにて、
チャンネルページの登録者数100万人を超える超人気onetuberだ。
そんな彼女の食べ歩き動画を見ている最中だった。
「ねえねえ、誰これ?翔の彼女?」
...誰でもかんでも彼女にするなぁっ!!ってかそんな訳ないだろ!!
---
すっかり由珠羽の動画が気に入ってしまった姉。
自分のスマホでも検索し始めた。
他の動画を探している最中、
姉はサムネに見覚えのある店が映ることを確認する。
「あれっ...ねえねえ、この動画って...」
そう言って動画を再生する姉。
[ようこそ!由珠羽の食べ歩きチャンネルへ!
今回はこの最近できたパン屋、
ふわふわベーカリーさんを紹介していくよぉ!!]
あ、その動画...
[わあ!すっごくおしゃれですね!そしていい匂い...!]
そう、この動画で紹介されているパン屋とは...
開店当日、僕と姉で足を運んだが店長の体調不良により延期された
あのパン屋だった。
「うっわぁ!!これ、絶対美味しいじゃん...!!」
すっかり動画に釘付けの姉。
「ねえねえ!今から買いに行こうよーっ!」
しかしもう夕方6時を過ぎている。さすがにもう売り切れ...
「翔が行かないならちょっと行ってくるー!」
そう言っていつのまにか着替えを澄ませ、さっさと家を出ていった。
やっぱり好きなことへの思いつきは即決だ...!!
---
それからおよそ1時間。
ようやく姉が戻ってきた。
「パン...ほとんど売り切れてたぁぁ...」
でしょうね!!
「で、でもでも!残り少ないパンをGETしてきたよ!!はい、これ。」
そう言って袋からあんぱんとカレーパンを取り出す。
...って、1時間かかってたったこれだけー?!
まあ残っていただけまだいいか。
そう思ってカレーパンをもらおうとしたら、
「待って!あー、カレーパン?カレーパンが、食べたい?」
僕の手を止める姉。
「あー...実はー...そのー...あのー...」
姉ちゃんもカレーパンが食べたかったのか。
「い、いや!やっぱりいい!私は別にあんぱんも美味しそうだなーって...」
優柔不断にさせてしまった。
「わ、わかったわかった...半分にすれば...」
「あ、そうだねー」
思いのほかすぐに納得してくれた。
---
午後7時。
パンを片手に、動画を見ている姉と僕。
「へー、すごいね、この人。登録者100万人かー...」
これで姉も由珠羽のファンだな。
...まあ僕は登録者40万人の頃から見ているけどね。
などと口に出すと、誠と同じように
マウントを取ってしまいそうだったのでやめておいた。
すると今度はこんな動画を見つける。
[ようこそ!由珠羽のチャレチャレチャンネルへ!]
先ほどの食べ歩きチャンネルとは別のチャンネル。
いわゆるサブチャンである。
[今回はね、なんと公園に来ていますー!]
その動画は僕も見たことがない。
[何をするのかというと!!そう、およそ10数年振りの逆上がりでーす!]
「さ、逆上がり?!」
驚く姉をよそに、動画は続く。
[皆さん逆上がり出来ますかー?多分小学生の頃みんなやったと
思うけど...]
すると動画を見ながら姉が言い出す。
「逆上がりくらいで動画にできるなら...
私だって、動画投稿すれば見てもらえるよねー?!」
まあ誰だってそう思うだろう。
しかし現実はそう甘くはない。
[せーのっ!!...きゃああっ!!]
動画の中では、まったくと言っていいほど上がっていない由珠羽の姿が。
コメントを見てみると、
[逆上がりに挑戦する由珠羽ちゃん、かわいすぎ!!]
[全然できてなくて草。けどかわいい。]
などの高評コメントがある一方、
[逆上がりぐらいできて当然だろ!!]
[こんなこともできないとか身体能力低すぎだろwww]
など、由珠羽のチャレンジを馬鹿にするコメントも。
どうやらこの動画は数年前に炎上した動画だったらしい。
「ほら、ワンチューバも大変かもな...」
-------------------------------------------------------------------------
翌日。
いつものように学校に行くと、
隣にいる山村の口から思わぬ言葉を耳にする。
「やあ、友。おはよう。いきなりだが、音月由珠羽って知っているかい?」
え...今何て...
ちょうどそのとき、ガラガラ、と大きな音を立てて
教室の扉が開き、厚木(先生)が現れる。
「えー!みんな!!今日はこれから特別授業が行われる!!
何でもこの学校の創立の記念の...」
「創立100周年イベントっすよねー」
やはり美歩が反応する。
「そうだ!なぜ知っている!!」
いや、先週創立100周年イベントの
プリント配られたんからみんな知ってるよ...
「そういうわけで体育館に集合だぁっ!!!」
相変わらず朝から気合い入っているなぁ...
...そんなわけで体育館へ集合した僕たち全校生徒。
時間になると、さっそく校長先生がステージの上にやってくる。
「えー、皆さん。本日は、この学園の記念すべき100周年の日であります!!」
おおー、とざわつきやや盛り上がりを見せる体育館。
「皆さんお静かに。えー、そこで今回、この大変めでたい日にピッタリの
ゲストをお呼びしております。皆さんと共に盛大なイベントにしましょう、
以上です!!」
わあああ、と再び盛り上がりを見せる体育館。
いつも話の長い校長先生がこれだけ短く済ませるとは...
きっと校長先生自身も浮かれているのであろう。
...さて、そのゲストとは...
すると体育館中の電気が消え、ステージの上だけに明かりが残る。
音楽と共に、アナウンスが入る。
「お待たせしました、本日の100周年記念イベント、ゲストはこの方!!
世界的動画投稿サイト、onetubeで登録者数100万人を超える
超人気onetuber、
音月由珠羽さんです!!」
わぁぁぁぁ!!と大きな歓声と共に現れたのは、
なんと本物の音月由珠羽だった...!!
続く...!
はじめまして、ルルンです。
クスッと笑える作品を作りたくて文章を書きはじめました。
気軽に反応を頂けると嬉しいです。
少しでも楽しんでいただける作品を目指していきます、
どうかよろしくお願いいたします!




