#11 新たなおともだち
~ルルン~
20代くらいの青年。
イラスト、アニメ、ゲームが趣味。
文章は丁寧に書き込むけど遠回りな表現は苦手。
小説の腕はアマチュアなので、優しく見守ってね。
#11 新たなおともだち
中間テストも無事に終わった週末金曜日の夜8時。
珍しく仕事で帰りが遅くなっていた姉。
その帰り道...
「んー、今日は遅くなっちゃった...早く帰って翔とご飯食べよー...」
そんなことを言いながら僕の通う学園の前を通り過ぎようとしたとき、
門からそそくさと学園を出ようとする男子生徒が目に入る。
「あれ...翔の友達...?」
そう呟いて、門のほうに向かった姉だったが、
(い、いけないいけない。なんか勝手に声をかけて
変な人に思われたりしたら大変...!
でもあの寂しそうな顔、なんか声をかけずにはいられないっていうかー!!)
こんなところでひとり優柔不断になって門の前で立ちすくんでいた。
すると目の前には不審な顔で立ち止まる男子生徒の姿が見える。
「あ、あのー...僕に何か用、ですかー?」
のんびりとした口調の彼は、不思議そうに姉に尋ねる。
「あ、いや...そのー、用、は特にないんだけど...あはは...」
「そうですよね、僕に用なんて...
ごめんなさい。突然こんな夜遅くに声をかけたりして...」
なんだかとても寂しそうな口調の彼は、しゅんと背中を丸めて帰ろうとする。
するとそんな様子を見た姉は、彼を呼び止めてこういった。
「ねえ、君!家へおいでよ!何があったのかは知らないけれど、
私そんなしょんぼりしている人は放っておけなくてさあ...」
「へええ?」
訳も分からず姉に手を引っ張られ、家に連れてこられた彼。
一方で家にいた僕は、まだ帰ってこないと少し心配していた頃だった。
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ガチャ。
「ん、お帰り。」
その一言を聞いた彼は、突然
「こ、この声...もしや翔さんですか?!」
と声だけで僕に気がつく彼。
「あ、やっぱり翔の友達だったー?
ごめんね、急に引っ張ったりしてー...」
なんだなんだと玄関のほうへ行ってみる僕。
するとそこには小柄で長い前髪、さらに眼鏡姿の男子生徒がいた。
「え、えっとー...」
まずい。僕と同じ学園の制服。
しかし僕は彼のことを全く知らなかった。
少なからず同じクラスにはいないはずだ。
それなのになぜ僕の名前を...
戸惑う僕に対し、彼が口を開いた。
「す、すみません...急に名前を呼んだりして...
し、失礼しました...」
申し訳なさそうに頭を下げ、この場を下がろうとする彼だったが、
「まあまあ落ち着いて。明日はお休みでしょ?
みんなで夕食にしよ。翔もいいでしょ?」
う、うんと頷く僕。
正直今は彼のことをちゃんと知りたいし。
それに、たまには3人で夕食にするのも楽しいかもな。
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夕食を食べながら、色々と聞きたいことを整理している僕。
すると先に話しかけてきたのは制服姿の彼だった。
「あ、ありがとうございます...その...」
相変わらずうじうじしている様に、姉が
「いいよいいよ。ほら、冷めないうちに食べて食べて。」
...と温かい味噌汁を差し出す。
「い、いただきます...」
しかし謎はまだ解決しない。
味噌汁を飲む彼に、僕は思いきって質問をしてみることにした。
「あのー、君は一体...」
たどたどしく質問する僕に、姉が食べる手を止めて話に割り込んできた。
「ええ?翔の友達じゃなかったのー?」
とも、だち...?
まあ確かに彼みたいにおとなしそうな人ならば、一度声をかけたら
すぐに仲良くなれそうなタイプだ。
しかし話したどころか出会ってすらいない。少なくとも僕のほうからは。
すると今度は彼がこう言う。
「とも、だち、なんて滅相もない、です...だって、僕は...」
ええ、と驚きを隠せない姉。
一方の僕は彼にこう伝える。
「いや....!君のことをもっと知りたい...!
そしたら...友達に、なれる、からさ...」
それを聞いてへえー、と感心する姉と、へえぇ?と関心を持ってくれた彼。
「そう、ですか...ありがとう、ございます...でも...」
今度はなんだよ、せっかく友達になれるかもしれないのにさ...
先ほどからあまり話が進まなくてじれったいと感じている僕。
一方で姉はというと...
「しまったなぁ...ほら、彼の親に連絡とかしなくて大丈夫?
それとも...帰りは一緒に送ってあげようかな?」
帰り時間の心配をしていた。
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それから少しして。
そろそろ夜の10時を回ろうとしていた。
「あの...僕、そろそろ帰り、ます...」
そうだね、もうそんな時間か...と立ち上がる姉。
結局今のところ名前すら聞けずにただただ食事を共にしただけだった。
このままではあまり気持ちよく家に帰すこともできない。
そう思った僕は、なんとか名前だけでも...!と彼に声をかけてみる。
「あ...そうでした...名前...すみません...」
いいから早く、と彼を少し焦らせてしまうと、
たじたじになって黙ってしまった彼。
そ、そうか...焦らせない、焦らせない...
少しすると、焦りがなくなったのかようやく名前を教えてくれた。
「僕は杉岡...杉岡このは。同じ新球学園の...1年...2組です...」
ああ、と、ようやく僕の名前を知っていた理由が明らかになった。
そう、隣のクラスの子だ。
そういえば、と学校でのこのはについて思い出す僕。
いつも山村といるとき、羨ましそうに見ていたり、
水野さんに声をかけたとき、近くで聞いていたり、と...
今思えば、僕が気にとめていなかっただけで
ずっと僕の近くにいた気がする。
僕と友達になりたくて...
けれどなかなか声をかけられないまま、月日だけが過ぎていって...
...と、すべてを理解した僕は、このはに向かって笑顔でこう言った。
「よろしくな、このは。」
すると、このはは、
「お、女の子みたいな名前、って...笑わないんですか...?」
と驚いてこちらを見ている。
へ...?と姉と顔を合わせる僕だったが、
「なに言ってるんだ、このは。
似合ってる名前だと思うぞ。」
うんうん、と頷きながら
「そうだよ。私は...人の名前を馬鹿になんてしたりしないよ。このはくん...
すごくいい名前と思う。」
姉も一緒に優しくこのはを包み込む。
「ふ、ふたりとも...ありがとうございますぅぅぅっ!!」
突然膝から崩れ、泣きはじめる。
よほど自分の名前にコンプレックスを抱いていたのだろう。
「よかったよかった。じゃあ...改めてよろしくな、このは。」
はい...!と笑顔で泣きながらこちらを見るこのは。
笑顔になった3人の間には、温かい友情が芽生えていた...
続く...?
はじめまして、ルルンです。
クスッと笑える作品を作りたくて文章を書きはじめました。
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