#55
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あの戦争が終わり数日が経つ、俺とメルトはあの日あった事を一度たりとも忘れる事はない。
これはアシェリーの願っていた事は叶ったのだろう。
それに、今の世界は前と何一つ変わらない。
平和に見えれば、知っている人からすれば支配されているとも言える。
だが、王宮を壊しておいて魔王は何も報復を俺達にしないと言うのが何か引っかかる。
今日もいつも通り大聖堂に一礼をする。
そして、皆の墓にもお参りをする。
しかし今日はあいにくの雨、強くは無いがすぐには止まなそうだ。
それでも勿論墓参りをしない事はない。
俺はいつも2番隊の墓になると順調に進んでいた足が止まってしまう。それ程までの大切な人だった。
今日も、俺はここだけ一人一人に話をする。
「ストロー、お前とはあまり交流無かったけど、いる時は仲介に入ってくれたり新入りの俺の指示にも何も言わず淡々こなしてくれてありがとうな…
サルド、マジでめんどくさい奴だなって思ってた。
それは最後の最後まで変わらなかった、でも最後に見せた姿、その姿は誰が見ても頼れる男の背中だったもし立場が逆だったら俺はお前みたいな姿は見せられなかった、、」
俺はいつもここで話していると涙が出てきそうになる、サルドの所まではギリギリ堪えていられるが次から本当に涙が溢れそうになってしまう。
堪えないと、泣いてる姿なんて誰もみたくないんだから。
「モリア、多分俺がみた中で1番ギャップに驚いた
身長は大きくて圧はあるけど性格は控えめ、
でも攻撃はド迫力俺はそんなモリアにどれだけ救われたか、本当にありがとう…俺はお前と同じ時を生きれて幸せだよ…」
「ガルファー、最後、何もしてやれなくてごめんな…リーダーとして不甲斐無くて、お前は最初元気があって変わってる奴だと思ってたけど、実際そんな奴じゃなくて、情に熱く誰かの為になら自らを犠牲に出来る強い覚悟を持ってる奴だったな、革命軍に入って初めて話しかけてきてくれたのがお前で良かった。」
やはり俺は涙を堪える事が出来なかった。
俺は袖で涙を拭き、最後は立ち上がって静かに一礼をする。「ありがとう」
時間をかなりかけてしまったと思われるが、メルトは俺と違い1人1人しっかり向き合って話しているから俺より数倍も時間がかかる。
その時俺は静かに見守るだけ。
20分後
「……わ、悪いな、毎度毎度」
「大丈夫、流石に慣れた」
毎回謝るけど直すつもりもないだろうし、直してほしくもない。
俺が勇者像はこうあるべきだと思っているから一人間の意見に左右されて欲しくない。
「今日は天気も悪いし、止みそうにもないから畑に魔法で被せておいて、久しぶりに依頼受けに行くか」
「行くのか!もう気持ちの整理は……」
そうだ、メルトは以降魔法を使う事が無くなった。
理由は「勝てない奴には必要無い」と言っているが絶対に嘘だ。
今日、もしかしたら魔術を使ってくれるかもしれないから、取り敢えず土魔法で屋根を作る。これで水害の危険性も無い。
魔法はやはり便利だ。畑に必要な水が手から出て来るわけだし、耕すのは流石に手動だが、二人分と納める分だからそこまで大きい畑じゃ無いから辛くも無い。
もちろん着いたギルドも前に一度行った事のある中央区から離れた小さなギルド、そこには難しい依頼もあるからそこで難しいのを受けて一度に大量に稼ぐと言う方法をとる。
「レイ!行くぞUターンだ、教会の方!」
「え?」
それはそれは驚きだった、教会あたりは魔物ですら全然近寄って来ないのに依頼が来るほどのモンスターが出て来たのか。もしやSランクの魔物か?
「今回はホワイトサーベルだ動きがとにかく速い、口に咥えてる剣だけは気をつけろよ、他はまあ問題ないだろ」
「久しぶりの実践。魔術は使ってよ」
「分かった分かった、死んだらまずいからな」
頑なに使わなかったのに、ちょっと説得したらあっさり使ってくれた。
これで依頼もすんなりと行くだろう────
少し苦戦していました。
理由は2つある。
1つは強い魔物のくせに体数が多い。倒してもまた次が出て来るし、遂には同時に出て来たりして、ダメージこそ喰らってはいないが終わる気配すらない。
もう1つは……
「危ない!」
「……アイスグランド」
「無駄撃ちはやめろよまじでやばいぞ数日しか経ってないのにそこまで動けなくなるのかよ」
メルトは攻撃を中止して緊急回避、流石はSランク冒険者だ。鋭い一撃もしっかり反応出来ている。
それでも数日前まで最強だと思われていた男に陰りが見える。
そう、もう1つはメルトの衰退、今年32になる人間に強い魔物の長期戦をするなら継続的なトレーニングでもしないと、かなりきついか。
だんだんと動きにキレが無くなっている。
「もう32だ少しは休憩させてくれよ」
こりゃ駄目だ、数日前はあんなにカッコよくて魔王討伐まであと一歩の所までの勇者だったのに叶わなく勝った途端にこのザマです。
俺は別に休憩はいいけど、魔王討伐の想いだけは忘れて欲しくないな。
「分かったよ!終わらせればいいんでしょ……
究極核爆発 多分これで終わった」
「すげーなやっぱその技、大丈夫?痛みとかはないか?」
「無いなあ、やっぱ超級魔法は痛みとか弊害が出るもんなのか?」
「勿論だ、テレポートは攻撃じゃないからデメリットは無いが、ゼロの回復とかだとあいつの才能がすげーから気付かねえだろうけど寿命を削る技なんだぜあれ、
俺は使用回数を制限することで実質ノーリスクで使える。ほぼ全ての超級には制約があるのに対し、レイはそれを持たないのか…」
そう考えると俺本当に最強なんじゃ?と思ってしまう。
「帰るぞ」
「剣だったよね?証拠」
「ああ!1つはギルドに渡さなきゃいけないから俺が持つが欲しかったらお前、持って帰って来てもいいぞ!」
俺はこれは金になると思ってしまったのか、7本も持っていた。7投流なんてしないのに、売れないとこの在庫はまずいぞ!
ギルドに行き、報酬を受け取り、銀行強盗のようにデカい袋にパンパンではなくかなりの余裕を持って教会に戻る。
俺は剣を体に刺さらないよう気をつけ、持って帰る。




